◆第1435号(1999年6月15日付)◆
●行革関連法案を衆院で強行
国民犠牲の法案採決糾弾

公務員25%削減、行政サービス低下
 衆議院で審議されていた中央省庁再編関連法案、地方分権一括法案は十分な審議もされないまま、6月10・11日の衆議院本会議で両法案とも自民・自由・公明各党などの賛成多数で一部修正のうえ可決し、参議院に送付しました。
 今回の中央省庁再編関連法案、地方分権一括法案は、先に成立した新ガイドライン法を側面的に支えるもので、内閣総理大臣に行政権限を集中させるばかりか、憲法に明記された「地方自治」に逆行する地方自治体への締め付けが強化され、自治事務とされた地方公共団体固有の事務に各所管大臣の「是正の要求」という強制的な介入・干渉の仕組みを持ち込まれています。また、防衛は国の固有の事務とする観点を拡大的に捉え、米軍用地特別措置法の改悪や、港湾法、水道法などでは所管大臣が地方公共団体に対して是正を命令することができるなどの規定が盛り込まれています。
 これらのことは、アメリカが引き起こす戦争を日本が全面的に支援する体制を整えるもので、日本を「戦争をする国」へ導くものです。
 また、内閣府に、経済全般、財政運営、予算編成の基本方針などを調査審議する経済財政諮問会議をおくこととし、その委員には既に財界からの起用が検討されるなど、日本の政治・経済運営そのものが大企業・財界の思いのままに動かされることとなります。
 具体的な課題として、
 第一に、中央省庁再編では厚生省と労働省を統合し「厚生労働省」を設置することになっていますが、新たな省の任務には「国民生活の安定」や「労働者の福祉」という語句がないばかりか、経済の発展に寄与するために社会福祉や社会保障、公衆衛生の向上・増進がうたわれています。このことは、国民生活の安定に寄与すべき社会福祉や社会保障が企業の営利確保を前提とした制度への変質を狙うものです。
 第二に、独立行政法人問題では、国立健康・栄養研究所を独立行政法人化するとされています。国立健康・栄養研究所は、国民の栄養所要量調査・研究や生活習慣病予防に関して国内における中核的研究機関であり、今後の高齢社会到来とともに、厚生省の政策課題と密接に関連した重要な研究を担うべき機関です。そうした試験研究機関が独立行政法人として国が行う必要がないとする理由は全くありません。
 第三は、公務員の25%削減問題です。既に第九次にも及ぶ定員削減の結果、職員の労働条件はおろか、行政サービスの低下を招いています。そうした職場実態にあるにもかかわらず、25%という国家公務員の削減目標は、行政サービスの一層の切り捨てを進めるものです。

密室協議で修正=分権法を組織問題にわい小化
 地方事務官制度をめぐっては、一部野党から地方公務員へとする修正案提出の動きがありましたが、結果的に(1)引き続き七年間に限って都道府県の職員団体に加入できる(2)新たに厚生省社会保険関係共済組合を創設する(3)社会保険制度の改革に伴い、必要があるときは職員の在り方等について所要の措置を講ずるとの修正がされました。
 修正事項は、社会保険事務に関する利便性確保、事務処理の効率化等に直接影響するものではなく、特に、期限が限られたものの、国家公務員が都道府県の職員団体に引き続き加入できるような法案の修正は極めて問題です。
 また、全厚生として反対してきた行政事務のブロック機関への引き上げについて原案通り可決されたことは、事務の効率性等の観点から問題があります。
 全厚生は、中央省庁再編関連法案、地方分権一括法案が十分な審議もされないまま自民・自由・公明各党が採決を強行したことに強く抗議するとともに、参議院段階での運動を強化し廃案に向けて引き続き奮闘します。



●リレーずいそう=早よ来い総選挙

 梅雨時の代表的な花と言えば紫陽花である。
 我が家にも、ボール状の大きなものと、たくさん集まった小花の周りに平たい装飾花がついたガクものがある。いずれもご近所から頂いたものばかりで、挿してから随分年月がたっており、今では背丈程にもなり、庭先に所狭しと咲き誇っている。
 雨に濡れた時などは、花や緑の色もひときわ美しく、心をなごませてくれる。ところで、国政の動向はどうだろうか。「それにしてもひどい!」と思わず言いたくなるような国会である。周辺事態に備えるとしてのガイドライン(戦争)法案や通信傍受(盗聴)法案、はたまた、地方分権一括法案、中央省庁再編法案、労働者派遣法案などなど、次から次と悪法ラッシュ。それは「憲法の規定などクソ食らえ」の感さえする。国民の付託に応えて正々堂々と政策論争をするのではなく、審議よりも「非公式、非公開の政党間折衝が重視され、ここで決着すれば、議会決定が即座にとられる」という談合決着方式で、民意に反した党利党略の暴挙である。
 悪法推進、とりわけ自・自・公の3党には、必ず厳しい歴史の審判が下るにちがいない。「早よ来い、総選挙」である。「歴史をつくるのは人間であり、社会発展の法則をみぬいて、その方向に自分の人生を重ねあわせて生きる−。」識者のことば・生きざまを肝に銘じ、全国の仲間とともに悔いのない活動をしたいと思う。(藤田茂中央執行委員)



●News−各地のたより−

ニセ行政改革反対=6.8中央行動に1000人参加
 国公労連は、6月8日、全労連・春闘共闘とともに中央行動を展開。この行動には、全体で1,000人が参加し大きく成功しました。全厚生は、本省、統計、人口研の在霞ヶ関支部を先頭に20名が参加。行動は、昼休みの国会請願デモにはじまり、「行革大規模署名」の国会提出とあわせ衆参の各議員へ要請しました。全厚生は、これまでの提出分とあわせて18,600名分の署名を提出しています。続いて、人事院前での要請行動、日比谷公会堂で春闘共闘・全労連、公務共闘、公務労組連絡会主催の「6・8中央総決起集会」を行いました。

新ガイドライン法反対=平和行進静岡県内を歩く
 (静岡県支部発)99年国民平和大行進は、5月19日に神奈川県から静岡県への引き継ぎが湯河原町の千歳橋で行われました。当日、あいにくの雨の中、神奈川県支部から飯塚副委員長が参加し、静岡県支部の飯塚支部長にリレー旗を引き継ぎました。
 今国会で審議されている「新ガイドライン」法案に反対する沿道の人たちの反応も良く、好感をもって行進することができました。その後、県内を行進し晴天の5月31日、杉山副支部長から愛知県支部に引き継ぎました。


●若者の笑顔パワーはじける=エキサイト4に1400人参加

 エキサイト4(国公青年大交流集会)が、5月27日〜29日、山梨石和温泉で開催されました。全体で1400人が参加、全厚生からは40人が参加しました。1日目は開会集会と泉谷しげるライブ、夜はブロック別交流会。2日目はオプショナル企画、夜は全体で大交流会、3日目は、閉会集会。
 参加者は、語り合い、交流し合い、エキサイトして、思い出に残る交流集会となりました。

荻原次晴講演に感動=愛媛県支部・森松實之(26)
 荻原次晴さんの講演に感動しました。双子の兄の健司さんが活躍して成績に差がついたり、兄と間違われたりしたことに対する葛藤や、それをバネに活躍できたことなど、すばらしいと思いました。

泉谷しげるにノリノリ=業務センター支部・佐々木高明(25)
 泉谷しげるはかっこよかった。みんなノリノリでした。全厚生の在京支部からはただ一人の参加でしたので、もっとたくさんで参加できればよかったかな。でも、他単組の人と交流できて、とても良かったです。

人の多さにオドロキ=秋田県支部・羽澤幸久(21)
 まず驚いたのは人の多さで、こんなに大規模な集会だと思わなかった。企画が盛り沢山で3日間がアッという間でした。その中で、全厚生愛知県支部の方々と一緒に夜を興じることが出来たのが最大の収穫でした。とにかく、泉谷しげるライブに始まり、大交流会、そしてエンディングまで、まさにエキサイトした3日間でした。

楽しかった全体交流=岐阜県支部・水野純子(20)
 泉谷しげるの歌は初めて聞きました。ただ怒鳴ってるだけかなーと思っていたら、イメージと違って詞が良かった。ギターも上手かったし、盛り上がりました。2日目の夜の全体交流が盛大で楽しかったです。

有意義な他単組との交流=京都支部・工藤敦智(26)
 昇仙峡コースに参加し、よう歩きました。大自然のすばらしさを満喫しました。司法や法務の他単組の人、地域的には北海道の人が一緒の部屋で、お互いの仕事の話や、地域の話など、交流ができたことが、たいへん有意義でした。


●ベトナムの視聴覚障害者と交流
訪問団に神戸・福岡の両支部が参加

 神戸市にある日本ベトナム視覚障害者交流協会は3月18日から23日まで、ベトナムのホーチミン市を訪問し、視覚障害者と交流しました。これには、神戸視力、福岡視力の両支部の組合員が参加しました。両国の視覚障害者の交流は96年7月につづき2度目。
 交流は、ベトナム国内の職業、スポーツについて調査するとともに、ホーチミン市内の視覚障害者施設に、日本が長年培ったあんま・マッサージ・指圧についての知識・技術と、世界・日本で行われている視覚障害者スポーツを紹介、指導することを目的に行われたものです。
 現地滞在では、ホーチミン市盲人協会カン会長をはじめ多くの人たちと両国の視覚障害者の現状について、教育、福祉、職業など情報交換を行いました。さらに、3校の盲学校を訪れ、先に贈り届けた卓球用具や持参したゴールボールでスポーツを楽しみました。また、マッサージ技術の交換も行いました。
 訪問団は、多くの方々の賛同を得て、訪問した各学校に卓球台、スポーツ用具、文房具、ゲーム用具などを寄贈しました。
 最後になりますが、訪問に際し、全厚生の8支部から浄財をいただきました。寄贈用具などに使わせていただきました。ありがとうございました。(神戸支部・今井進書記長)

大切なのは、相手を思いやる心=福岡支部副支部長・木村秀伯
 私は、福岡からベトナムとの交流会に参加しました。「なぜ参加したのか」「どんな目的を持っていたのか」、今から思えば、何も考えていなかったことだけがはっきりしています。
 私たちが最初に訪れた施設は、親がいない、学校にいけないといった恵まれない視覚障害児に広く開放し、成人までの間、ともに遊び、ともに学ぶ施設でした。私たちは、日本の善意ある方たちからお預かりした寄付金とその一部のお金で揃えた遊び道具やスポーツ用品等をプレゼントし、彼らは私たちに歌をうたい、楽器を演奏し、食事を用意してくれました。
 短い時間でしたが、ともに母国の歌を紹介し、スポーツで汗を流し、誰もが予想したとおりのあたたかい交流ができたと思います。
 私たちが施設を後にする時、彼らは「私たちは何もあげるものがないので、これをプレゼントします」と手作りの民芸品をくれました。心のこもった贈り物です。帰りの車の中で田舎町の景色をぼんやり眺めながら、頭の中では子どもたちとの交流がもう一度繰り返されていました。
 私たちは、彼らに何をしてあげたのだろうか。日本からお金と物を運んだ。おそらく心をこめてのことだったと思う。私たちの善意で一人でも多くの視覚障害者が、明るく、楽しく、健やかに育ってくれたら。でも、この考えも物質文明国日本人の発想だったのかもしれない。純粋な心、屈託のない笑顔にあふれた子どもたちとふれあい、遠い過去に忘れてしまった、とても大切なものを思い出させて、あるいは新たに教えてもらったような気がします。私たちが何かをしてあげたのではなく、彼らが私たちに大切なものを教えてくれたような気がします。
 私たちがしたことに間違いはなかったと思うし、よいことをしたと思います。しかし、その行為にどれだけ心が通っていたのだろう。大切なことは「何をしてあげるか」ではなく、「相手を思いやる心」であって、結果的に何もしてあげられなかったとしても、お互い楽しいひとときを過ごせればそれでよいのかもしれない。日本に帰りわずか10日あまり。あれほど胸を熱くし、新鮮に思えたやさしさが「そんなのあたりまえじゃん」「てれくさくって」と冷ややかな目をしたもう一人の自分が姿を現しつつあります。
 物だけでなく、心も豊かでありたい。


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