◆第1424号(1998年2月5日付)◆
●栄研の独法化に断固抗議−「行革大綱」決定に抗議の声明−
国民本位の行財政確立を

全厚生は1月26日、「行革大綱」決定に対し、声明を発表しました。

国立健康・栄養研究所の独立行政法人化に断固抗議し、
国民本位の行財政確立を求める声明

 中央省庁等改革推進本部は1月26日、(1)内閣総理大臣の権限を強化する「内閣法改正法案大綱」、(2)1府21省庁を1府12省庁に再編成する「国家行政組織法改正法案大綱」、(3)独立行政法人導入を目的とする「独立行政法人制度に関する大綱」、(4)事務、事業の合理化、国家公務員の大幅な削減を内容とする「国の行政組織等の減量、効率化等に関する大綱」を中心とする「中央省庁等改革に係る大綱(行革大綱)」を決定した。

1.独立行政法人導入問題では、国立健康・栄養研究所を含む84事務・事業が独立行政法人化を図るべく検討するとされた。このことは断じて容認できない。
 全厚生はこれまで、国の行革組織の「一機関一組織」の独立行政法人化も許さないたたかいに取り組み、国立健康・栄養研究所の独立行政法人化について断固反対の立場で運動を進めてきた。
 国立健康・栄養研究所の独立行政法人化は、国家が国民の健康に直接関与するという世界の健康政策の流れに逆行するばかりか、先進諸国が健康栄養科学研究を独立した国立の栄養研究所として健康増進、疾病予防のために機能の充実と発展を図っているなかで、極めて問題であり、引き続き国立健康・栄養研究所の独立行政法人化反対の運動を進めていく。

2.国家公務員の定員問題は、2001年1月から10年間で「少なくとも10分の1の定員削減」及び「独立行政法人化への移行」により25%の削減を求め、定員削減を強力に実施するための新たな削減計画の策定、増員の徹底した抑制が明示された。このことは、職場実態を全く無視したもので、行政の減量・効率化に名を借りた行政サービスの切り捨てである。
 少子高齢化の中で年金相談業務が飛躍的に増大している社会保険職場、入所生の重複障害による看護・介護・訓練業務が複雑化する社会福祉職場、また、感染症、医薬品等の安全性の確保、生活習慣病、環境ホルモン対策等に対する研究の強化・発展が求められている試験研究機関等では、要員の確保が充実した研究、行政サービスの根幹であり、増員こそあれ、定員削減など容認できるものではない。

3.国の行政組織等の減量、効率化等の問題では、これまでの1府21省庁から1府12省庁へ再編成されるほか、事務・事業の廃止、民営化、郵政事業の公社化、84事務・事業の独立行政法人化が明示された。また、各省庁の局、課等の総数が大幅に削減され、地方支分部局の整理・合理化問題では、府省の編成にあわせて整理・合理化を推進することとされた。このことは、国民生活関連部門の縮小と行政サービスの切り捨てにつながるもので、断じて容認できるものではない。

4.内閣機能の強化問題では、内閣総理大臣の国政に関する基本方針の発議権の明確化と内閣官房が国政に関する基本方針の企画立案を行うことが明定された。このことは、今通常国会で審議される予定の新ガイドライン関連法案とも密接に関係し、内閣総理大臣の権限をこれまで以上に強化し、国権の最高機関である国会を軽視するもので、議院内閣制や民主主義のルールを根底から覆しかねないものである。

5.全厚生はこの間、(1)厚生省と労働省の統合反対、(2)国立健康・栄養研究所等の独立行政法人化反対を最重点課題とし、中央省庁等改革推進本部事務局、厚生省・社会保険庁当局への申入れ行動を配置しながら、独自の中央省庁等改革推進本部長、厚生大臣宛の要請署名の実施、シンポジウムの開催等に取り組んできた。また、国公労連が提起する中央・地方での行動、政党、国会議員要請、各種団体要請等に各支部・分会が積極的に結集し、中央省庁再編、独立行政法人導入反対の行動を旺盛に展開してきた。
 今国民が求めている行政改革は、政・官・業の癒着の根絶と行政情報の公開、民主的で国民本位の行政・財政の確立である。

 全厚生は、職場を基礎にした運動の強化を進めつつ、小渕内閣が進めようとしている「ニセ行革」と全面的に対決し、「行革大規模署名」「年金改悪署名」を「両輪の署名」と位置付け、多くの国民・労働者との対話を広げ、行革の減量・効率化、独立行政法人導入の問題点を明らかにし、真に国民生活を重視した行政機関の確立に向け全力で奮闘する決意を表明するものである。

                    1999年1月26日  全厚生職員労働組合



●公務員25%も削減−人事課と厚生科学課に要請−

 全厚生本部は1月26日、中央省庁等改革推進本部の「中央省庁等改革に係る大綱」決定を受けて、官房人事課、厚生科学課に対する申し入れを行いました。
 官房人事課では、丹羽人事調査官に対し「国立健康・栄養研究所の独立行政法人化に断固抗議し、国民本位の行財政確立を求める声明」を手渡し、国立健康・栄養研究所の独立行政法人化に反対し、国研として存続させるよう要請しました。
 また、中央省庁再編後10年間で25%もの公務員を削減することが盛り込まれたことに対して、職場実態を全く無視したもので到底認められないことを申し入れました。
 また、厚生科学課では、高原厚生科学課長に対して「声明」手渡し、国立健康・栄養研究所の独立行政法人化に反対を表明。西沢企画官に対しては、国立健康・栄養研究所の独立行政法人化問題と現在進められている試験研究機関の再編成に対する影響等について話し合いを持ちました。

●栄研独法化反対の声広げよう
試験研究機関支部の代表と意見交換


 全厚生本部は、試験研究機関支部を訪問し、本部・支部との意見交換を行いました。これは、行革をめぐる情勢の特徴とたたかいの具体化、99春闘を精いっぱいたたかう意思統一を図ることを目的に行われたもの。
 杉下委員長を先頭に本部役員は、1月18日の公衆衛生院支部の旗開きを皮切りに精研支部をのぞく、ハ病研、感染研、国立衛研、人口研、栄研の6支部と国立衛研大阪支所分会を訪問。
 意見交換で本部は、とくに国立健康・栄養研究所の独立行政法人化についてふれ、「いま生活習慣病対策など健康・栄養研究所が国立研究所として果たさなければならない課題は緊急かつ重大だ。今後の国会審議のなかでその不当性をあきらかにしてたたかっていきたい」と表明。さらに「政府の行政スリム化推進のなかで他の研究機関についても独立行政法人化の危険性があり、研究機関支部はもとより全厚生全体として最後までたたかっていきたい」と強調しました。
 また、「そのためにも国民本位の行革を求める行革署名と年金改悪反対署名を文字通り両輪の署名として、広範な国民・労働者と大いに対話しながらとりくんでいくことが大事だ」と訴えました。
 意見交換のなかでは、支部から(1)なんで健康・栄養研究所だけが独立行政法人にされなければならないのか、その根拠をきちっと説明させるべきだ(2)結局は広範な国民を私たちの運動の味方につけなければと思う。世論をどう広げるかがカギだ(3)いまの行革の流れのなかで独立行政法人反対はわかるが、個人的には独立行政法人にもいいところがあるのではないかと思っている、などの率直な声がだされました。
 どの支部でも本部の訪問を歓迎、行革をめぐる情勢、とりわけ国立健康・栄養研究所の「独立行政法人制度導入の決定」にたいして、自らの支部の問題としてうけとめ、その不当性を国民にうったえ、国立の研究所として存続するよう粘りつよく運動していくことを確認しあいました。

●99春闘アンケート全厚生分の結果

 集約した結果は表1のとおり全体で1186名分に止まり、ここ数年では最低の集約数になりました。
 これは、指示文とアンケート用紙送付がちぐはぐであったこと、国公からの集計表の送付の遅れや本部のチェック体制の甘さなどに加え、近年の春闘状況の厳しさから、あきらめ感が蔓延していることも一因と考えられます。

暮らし向き
 暮らし向きについての問いには図2のとおり、およそ6割が「苦しい」と答えており、昨年と比較すると「まあまあだ」が約5%増え、「苦しい」が5%減っています。
 しかし、半数を超える人が、「苦しい」と答えていることは事実であり、賃金改善が必要である状況は変わりません。

賃上げ要求額
 賃上げ要求額の集計結果は図3のとおりで、これまでと同じような結果が出ており、3万円と5万円のところが山になっています。ただ、今回の特徴的なことは、3万円以下の要求額が過半数を超えており、昨今の経済状況の厳しさから、より現実的な選択をしているものと思われます。

政府への制度要求(一人3項目選択)
 政府への制度要求についての集計結果は、図4のとおり。この不況と厚生省職員という立場を反映して、「消費税を3%に」「年金保険料の引き下げ・給付改善」「物価・公共料金の引き下げ」「医療保険患者負担引き下げ」という経済と社会保障の項目が目立っています。特に、消費税率のの引き下げ要求は、消費回復による不況克服の期待感が強いことの現れであり、大きな政治課題であることが言えるのではないでしょうか。
 組合員一人一人の要求を集約し国公労連レベルの春闘要求を政府当局にぶつけていくことが翻って要求実現の近道です。
 今後体制の見直しを含め、アンケート活動を総対話運動と共により一層の充実が必要であると考えます。  一つ一つの積み重ねが大きな運動の力になることを肝に銘じ、今後の要求組織運動の取り組みの強化を各支部にお願いして、結語とさせていただきます。(全厚生調査部)


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