◆第1421号(1998年12月15・25日付)◆
●行革中止・年金改悪反対・両輪の署名を国民に広げよう
行革大規模署名と年金改悪反対署名


 全厚生は、行革闘争と国民生活擁護のたたかいを前進させるため、「行政サービス切りすての『行革』の中止、国民生活を重視した行財政への改革を求める請願署名」(「行革大規模署名」)と「年金改悪に反対し、安心して暮らせる老後の保障を求める請願署名」(「年金改悪反対署名」)の二つの署名行動を秋年から来春にかけての最重点課題に掲げています。
 二つの署名は、国公労連が98年度国公大運動をすすめるうえでの「両輪の署名」と位置づけて重視しています。
 戦後最悪の失業率(98年9月の完全失業率は4.3%)、企業倒産やリストラ「合理化」の嵐、医療・年金など相次ぐ社会保障の改悪など、国民生活と将来への不安が広がっています。また、政府・自民党がすすめる「行政改革」「社会保障構造改革」など「六大改革」は、大企業の利潤追求を支援する社会への「改革」をめざしたものです。政府は、中央省庁再編・独立行政法人化に向けての法案を通常国会に提出し、公務員減らしをはじめ社会保障を後退させるなど公的サービスの切り捨てをすすめようとしています。
 深刻な不況を打開するためにも、大企業優先の行政から国民生活擁護・公的サービスの拡充にむけた行財政への改革がいまこそ必要です。そのためにも政府がすすめようとしている「行政改革」など「六大改革」の中止を迫っていくことが重要になっています。
 政府は、60兆円もの税金を大銀行支援のためにつぎ込みながら、消費税率引き下げなど国民が望む景気対策にはいっさい手をつけていません。そうした政府の姿勢を追及し、悪政の根本にある「政・財・官」ゆ着の改革とはかけはなれている「行政改革」の内容を広く国民各層に訴えていくことが、国公労働者の要求前進の展望を切り開くものとなります。
 「行革大規模署名」「年金改悪反対署名」の二つの署名は、行革闘争と国民生活擁護のたたかいを統一してすすめるうえでの文字通り「両輪の署名」です。この署名をたずさえ、国民との総対話と共同を大きくひろげましょう。


●研究機関は国立で存続を
厚生科学課長と交渉し迫る


 12月16日の午後、全厚生は研究機関の代表者を交えて、厚生科学課長と主に行政改革に伴う独立行政法人の問題と組織再編の問題について交渉を持ちました。
 全厚生からは杉下委員長はじめ支部代表者を含め16人が出席、厚生科学課からは、高原課長ら五人が出席しました。
 冒頭、杉下委員長は、今回の交渉は政府の行事、とりわけ独立行政法人化の課題が中心となるとして、これまで国の機関として果たしてきた役割や歴史的な経緯について何ら議論された形跡がないこと、定員削減に着目した国の行政組織等の減量化以外の何者でもないこと、国の機関は憲法原理に基づき国民の諸権利を守るために設置されているものであり、検討はそのことを前提に行うべきこと、など全厚生の基本的な立場を表明しました。その上で、現在の秘密主義的なやり方で、現場はたいへん混乱していること、現実に名前が上がっている職場ではたいへんな不安があり、私たちは独自に「国研」であるべきとのいろいろな表明を行ってきたが、現状を踏まえて、厚生科学課として具体的な回答なり、決意を伺いたい、と迫りました。
 これに対し、高原課長は、厚生省の組織再編準備室と行革推進本部事務局とのやりとりの中で、意見は聞かれるが厚生科学課自体としては決定権はない、独立行政法人は、あくまで国でやると言うことであり、会計や身分を緩和し、自主性を持つものであるということと理解している、区分はどこかというと国の職員として大臣の指揮命令系統が直接及ぶ必要があるかどうかが問題と表明。
 また課長は、感染研や国立衛研は、健康危機管理体制の中で、感染症対策や医薬品の安全対策等でいざというときに大臣から命令が出れば国として動ける。感触としては、感染研については、冷たくない反応となっており、国立衛研は、ちょっと待ってもらえるのかなと言う感じ。栄研については押しつ押されつという感じだ、と述べました。
 再編計画については、基本方針は変わっていないが、行革を見据えた上で対応したい、などと回答しました。
 次に各支部の参加者から意見が出され、特に栄研の取り扱いについて将来的な問題も含めて具体的な回答を求めました。これについては、仮定の話は出来ないが、他の機関との関係も見ながら、現在高いレベルでのやりとりを行っている、栄研については責任を持つ、と表明しました。
 組織再編については、平成7年の計画を基本にしながら落ち着いて考える、無視するものではないが、前提にするものでもない、と答えました。
 公衆衛生院の移転計画については、計画どおり平成14年は難しい、行革全体のあり方も見据えた上で、ビジョンを立て直す、と回答しました。
 交渉の後半は、人口研や衛生院の図書職員の昇格に関する問題や国立衛研の上位級定数拡大の問題など、各機関の抱える昇格や定数の問題についてやりとりし、その改善を要求して終了しました。

●米・英がイラクに武力攻撃
支持表明の小渕内閣と米・英に抗議


 アメリカ政府は12月17日、イギリス政府とともに、イラクへの軍事攻撃を行いました。
 これは、イラク政府が国連による大量破壊兵器査察を妨害していることを理由に、イラクのフセイン政権転覆と新政権樹立を目的としていることをクリントン政権自身が明らかにしています。
 イラクの査察問題については、国連安保理で真剣に協議が行われていた最中であるにもかかわらず、両国が国際法と国連憲章に反して、他国の政府の転覆を目的にした武力行使を行ったことは許されるものではありません。
 イラクの査察拒否は批判されなければなりませんが、だからといって、武力行使が正当化されるものではありません。
 国際的に批判が高まる中で小渕内閣は、いち早く、アメリカ政府の武力行使に理解と支持を表明し、国民から批判の声が上がっています。
 全厚生は、12月18日の中央執行委員会において、「アメリカ・イギリス両政府によるイラクへの軍事攻撃に抗議する」決議を行い、アメリカ・イギリス両政府と小渕総理大臣に対して、抗議決議を送付しました。

●国立大田病院全員の雇用確保を
12.6市民集会に全厚生も参加激励


 島根県大田市で不採用の撤回、希望者全員雇用の運動がつづけられている国立大田病院の市への移譲問題について、国公労連・医労連などでつくる国立医療闘争委員会と国立大田病院移譲問題対策会議は12月6日、市内サンレディー大田で、「より良い市立病院をつくる市民集会‐希望者全員の採用を」を開きました。
 国立大田病院は来年2月1日から大田市立病院に経営が移譲され、32人の職員が不採用の通知を受けたことから、希望者全員の採用を求めて運動がつづけられています。
 雇用問題について「熟慮中」と表明していた熊谷國彦市長は、運動の盛りあがりのなかで看護職の不採用者10人について5日、改めて採用試験の面接を行いました。面接後記者会見した市長は、「今日面接した全員を採用する意向を厚生省に伝えたい」、他の不採用者についても「働き場の確保につとめたい」と述べていました。
 市長の前向きの見解を受けて開かれた集会には約450人が集まり、全厚生から杉下委員長、加藤副委員長が参加。香川県支部の森支部長と藤田中央執行委員のふたりは車で五時間かけてかけつけました。
 集会は江尻医労連委員長の開会あいさつで始まり、遠山全医労委員長が経過報告に立ち、地元での宣伝・署名行動や厚生省前行動をはじめ全国の仲間のみなさんの支援をえて運動してきたと述べ、「全員の採用を勝ち取るまでがんばる」と決意を表明しました。
 杉下委員長は藤田国公労連委員長の後に連帯あいさつに立ち、全医労の仲間たちの粘りつよい奮闘に心からの敬意を表したあとで「兄弟組合として全面勝利までともにたたかう」と決意を述べました。

●全厚生方針に確信を
自治労の暴挙に抗議する


 今年5月末に政府が、地方分権推進計画を策定・国会報告し、これに基づいて、地方分権関連の法案づくりの準備がすすめられています。
 こうした情勢を背景に、全厚生は、地方事務官制度廃止後の組織・機構をはじめとする執行体制や福利厚生事業を含む労働条件に関する要求を社会保険庁に申し入れ、その実現を求めています。しかし、「地方事務官の地方公務員への移管」を要求している自治労は、県議会等に社会保険行政を都道府県の法定受託事務とし、地方事務官を地方公務員にする旨の要請行動を行っています。
 社会保険職場に自治労組合員のいない岐阜県や香川県でも同趣旨の請願が出されましたが、支部の機敏な対応や自民党議員などの反対意見などで、「審議無しで採択無し」「取り下げ」などとなっています。また、審議に当たっての修正で「地方分権推進計画を推進する」方向ともとれる内容になっている県もあります。
 全厚生は、当該組合や組合員の存在を無視した自治労のなりふり構わない暴挙に厳しく抗議するものです。

根も葉もないデマ流す
 また、研修同期などを通じて、「地方移管を要求しなければ全国異動になる」などと、全厚生運動を故意にゆがめる妨害の動きが報告されていますが、人事異動の問題に関しては、12月5日付の全厚生新聞でも報告した通り、「強制的な広域人事に反対」する全厚生の要求に対して、社会保険庁は「従来の慣行をゼロにするわけにはいかない」と明確に回答しており、「地方移管を要求しないと全国異動になる」などということが根も葉もないデマであることは明らかです。
 仲間の英知で築きあげた道理ある全厚生方針に確信を深め、揺るぎない取り組みをすすめることが重要となっています。

●歴史さらに発展を・業務センター結成40周年レセプション

 業務センター支部は11月20日、センター食堂で支部結成40周年記念レセプションを開催し、本部、各支部からの来賓や参加者など約100人が参加しました。
 レセプションでは、主催者・来賓のあいさつの他、40周年記念合唱団による「花を贈ろう」「翼をください」の合唱やゲームなどで、大いに盛り上がりました。また会場には、華道部や新日本婦人の会の絵手紙などが展示され、華やいだ雰囲気に。レセプションの最後には、40年組合員の方たちに若い組合員から感謝の花束が贈られました。
 業務センター支部は1957年全厚生保険局年金業務室分会として発足しました。
 当時のことを記録した年史をみると、低賃金、過重労働で人間扱いされなかった様子が伝わってきます。労働組合結成こそがその状態を解決するための最大の武器であったことがわかります。
 今、職場の状況は当時と比べると、私達の先輩の努力により労働環境は大きく改善されていますが、逆に年金・医療保険をはじめとする社会保障制度がどんどんと後退する中で仕事に対するやり甲斐とか、誇りが失われつつあります。労働組合離れが言われて久しいですが、社会保障の問題でも、その解決には政治状況を変えなければいけません。その中心的力、役割を担うのは、国民の中の圧倒的な数を占める私達労働者であり、労働組合だと思います。
 私たちが本当に安心して暮らせる社会、男性も女性も人間らしく働き、子育てができる職場にしていけるよう、先輩が築き上げてきた歴史をさらに発展させ組合員とともに要求実現のためたたかうことをあらためて決意した40周年記念レセプションでした。

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