◆第1420号(1998年12月5日付)◆
●打ち破ろう新ガイドライン法
'98日本平和大会in佐世保開催


 「打ち破ろう!新ガイドライン法 日米軍事同盟打破・基地撤去」を主テーマに98日本平和大会が11月21日から23日の3日間、長崎県佐世保市で開かれ、基地調査行動をはじめ全国各地のたたかいを交流しあい、草の根から新ガイドライン(日米防衛協力のための指針)法阻止、基地撤去闘争をひろげる決意を固めあいました。
 今年の平和大会は、特別に重大な情勢のもとで開かれました。それは、アメリカの引き起こす軍事干渉に日本を自動参戦させる新ガイドライン関連法案が11月27日開会の臨時国会に提出を予定され、政府・自民党はその早期成立をねらっているからです。
 いま日本はまさに、戦争への道か平和への道かが鋭く問われています。21世紀を目前にして平和な日本と世界をどう実現していくのかが問われているのです。
 そうしたなかで、「新ガイドライン法阻止、日米軍事同盟打破、基地撤去」を掲げて開いた平和大会の成功は、日本とアジアの平和、未来のために大きな勇気をあたえるものとなりました。
 21日の開会集会で問題提起を行った畑田重夫日本平和委員会代表理事は、「新ガイドライン法案はアメリカの引き起こす無法な軍事干渉に日本を自動参戦させるという恐るべき危険な内容をもっている」と指摘し、「この法案の恐るべき内容を知らせる国民多数を対象にした大規模な宣伝と対話の運動を展開しよう。12月8日はかつて日本軍国主義がアジア太平洋へ侵略戦争を開始した日である。二度と日本に侵略戦争をさせない決意もこめて、新ガイドライン法案反対でこの12月8日にかつてない規模で全国の地域・職場・学園から創意ある宣伝・署名行動を大きく展開しよう」とよびかけました。
 平和大会は、基地調査行動、分科会が行われましたが、全国各地のたたかいを通じての発言は、新ガイドラインの危険性を浮き彫りにし、今後のとりくみに展望をあたえ、問題提起の実践がすでに開始されていることを示しました。

●新ガイドライン法案の問題点=解説=

 問題点の第一は、独立国としての誇りも国家主権も投げ捨て、アメリカのいいなりに参戦していくということです。法案には、日本が独自に「周辺事態」を認定する手続きさえないのです。
 武力行使をするのは米軍であり、武力行使をするかどうかの決定はアメリカが行うと政府も認めています。そして、米軍が軍事干渉に出動すると「周辺事態」とされ、日本は米軍協力計画である基本計画を閣議で策定し、米軍への軍事協力を直ちに実行するだけです。このように戦争か平和かの決定権をアメリカにゆだね、日本を戦争にまきこむ法案なのです。
 第二に、「周辺事態措置法法案」といいながら、「周辺」の地理的制限もありません(法案第1条)。これでは、アジア・太平洋地域全般はもちろん地理的範囲は無限定であり、台湾とその近辺も「周辺地域」として日米共同の軍事作戦の対象とされ、日本は中国への重大な内政干渉をおかすことになります。訪日した江沢民中国国家主席もこの点を憂慮したのです。
 第三に、国民主権のじゅうりんという問題です。基本計画は国権の最高機関である国会の承認も必要とされていません(第10条)。
 第四に、自衛隊が海外で行うのは戦争行為そのもだということです。法案では、弾薬・武器輸送、医療支援などの「後方地域支援」(第5条)、米兵の捜索・救難(第6条)、「船舶臨検」(第7条)など自衛隊の米軍への軍事協力をあげ、武器使用の拡大(第11条)も行おうとしています。政府は、こうした軍事活動は戦争行為にあたらないと強弁していますが、これらが憲法が禁止した戦争行為であることは国際的には常識です。
 第五に、国家公務員も地方自治体も民間も事実上、強制動員されるという問題です。法案は「関係行政機関による対応措置の実施」(第8条)ということで各省庁、国家公務員を総動員するとともに地方自治体にたいして「必要な協力を求めることができる」、民間などにも「必要な協力を依頼することができる」(第9条)としています。
 以上のように、戦争か平和かという重大な選択が国民そっちのけで政府の勝手で決められ、私たち国家公務員が強制動員させられることを絶対に容認できません。

●佐世保の「死んだ海」をよみがえらせたい…
中央執行副委員長 加藤重徳


 98日本平和大会に久しぶりに参加させていただきました。最近では3年前に沖縄で開かれた95平和大会に次ぐ参加でした。
 長崎県佐世保市は、明治以来の軍港として「発展」してきた街です。JR佐世保駅から徒歩15分ほどの佐世保港鯨瀬桟橋に立てば、佐世保港の海が静かに広がっています。このターミナルから上五島、大島などへの客船がでます。しかし、この桟橋は米海軍佐世保基地と海上自衛隊佐世保警備隊に挟まれた位置にあります。
 桟橋に立ち感じたことは、実に波静かなことでした。軍艦のほかは漁船も客船もほとんど目に入ってこないのです。まるで活気が感じられません。
 11月22日午前、平和大会の基地調査行動が海上・陸上の5コースに分かれて行われました。わたしは海上コースに参加し、LCAC(エルキャック=ホーバークラフト型上陸用舟艇)恒久基地建設計画反対の住民交流集会(西海町)に参加することができました。
 船上で、日本共産党の山下佐世保市議会議員が佐世保港の実態を説明してくれました。そのなかで、山下議員が「佐世保港の水域の83%が米軍の占有水域なのです。日本は残りの17%の水域しか使えません。民間の客船が停泊も一時的に停止することさえ許されないのです。こんな治外法権を許しておき、アメリカの戦争に協力させられるのはほんとうに終わらさなければなりません」との話が耳を離れませんでした。
 (やはりそうであったのか)あの桟橋で感じた異様に静かな海は、そこからきていたのか。佐世保の海は不気味なほど静まりかえっていました。佐世保の「死んだ海」をわたしたち国民の手に取り戻しよみがえらせるには、米海軍佐世保基地の撤去をなんとしても実現しなければならない、とつよく肝にめいじたのです。
 平和大会には、アメリカ、イタリア、ニュージーランド、フィリピンの4カ国の代表が参加していましたが、フィリピンの代表のコラソン・ファブロスさんが「1991年9月14日、フィリピン上院が比米軍事基地協定を延長する新条約を拒否する決定をしました。しかし、アメリカの搾取と支配に反対するたたかいは終わりではありません」との言葉は、いま、私たちの日米軍事同盟打破、基地撤去、そして新ガイドライン阻止のたたかいへの心からの励ましとなりました。

●働きがいのある社会保険に
高木社会保険庁長官と交渉


 全厚生は、11月25日、社会保険庁と交渉しました。
 全厚生から杉下委員長を先頭に支部代表と本部役員が、全国社保共闘から加納副議長と組織代表者らが出席。社会保険庁は、高木長官、宮島次長、吉武総務課長らが対応しました。
 交渉の冒頭、杉下委員長は、国民不在の「行政改革」や年金改悪が、職場に重大な影響を及ぼすことを強調し、社会保険庁の基本姿勢を質しました。
 長官は、大きな問題を抱えた時期であり全力を傾けたい。地方事務官制度については一般にはわかりにくい問題であり、地方事務官の問題で国民の非難を受けるようなことがあってはいけない。十分意見を聞いてくみ上げるものは取り入れていきたい、と決意を述べました。
 具体的な事項については、総務課長が次の通り回答しました。(要旨)
【地方組織について】
 保険課・国民年金課が都道府県単位の機関として位置づけられた。地方事務官制度の解消時に移行するのが第一歩と考えている。ブロック機関の問題は慎重に検討したい。
【国民年金事務】
 国民年金事務は一番難しくて重要な問題。社会保険事務所が中心になって行うが、広範な手法を検討し、市町村にも「ささえ」としての役割を担ってもらう必要もある。
【福利厚生】
 貸付の返済については厚生省共済のみではなく連合会に相談することも考えられる。しかるべき時期には職員の方にも意見を聞いて検討したい。
【広域人事について】
 ブロック機関については、事務をすいあげるだけではなく、内局からおろすこともある。検討の重要な要素として広域異動の問題はある。従来の慣行をゼロにするというわけにはいかない。
【定員・定数】
 増員は例年になく厳しい。定数の努力はしてきた。事務所長の格付け等質的な問題もある。
【業務問題】
 効率化は可能な限りすすめたい。入力作業の削減を考えなければならない。
 最後に、各県の実情や要求を訴え、杉下委員長から、政治の作用で困難な問題もあるが労使で解決することが重要であり、社会保険庁としての常態的な努力を求め交渉を終えました。

●結成30周年記念=愛知県支部
レセプション等行事開催


 愛知県支部は10月16日、定期大会終了後、名古屋市公会堂4階ホールで結成30周年記念レセプションを開催。200名が参加しました。
 大治太鼓保存会の力強い太鼓で始まり、早川実行委員長、内藤支部長の挨拶などに続き、全厚生東海ブロック連絡協議会の小松議長の音頭で乾杯しました。会場内には、10周年、20周年の記念行事やメーデー、平和行進などの写真を年代ごとに掲示。アトラクションの「天才クイズ」では、愛知県支部や労働組合の歴史を中心とした難しい問題にもかかわらず、若い組合員数名が最後まで勝ち残り、賞品を手にしました。後半は、支部執行委員の島本さんが参加する「サウンド・クリエーション・ウィンドアンサンブル」が演奏。これには今年10月1日付けで社会保険に採用された女性もいて、会場から大きな拍手が送られました。
 レセプションの最後は、歴代支部執行委員長のあいさつや実行委員の紹介など。30年の節目を新たな第一歩とし、今後もがんばっていく決意を固め合いました。
 また、11月3日には、支部結成30周年記念行事第三弾として、知多半島の山海海岸で「地引き網とバーベキュー」を行い、150名が参加しました。よいしょ、よいしょのかけ声で引いた網は、豊漁で、早速、刺身や焼き魚にして賞味しました。ゲームもストライク・アウトや宝探しなどで大いに盛り上がり「また、こんな楽しい企画があったら参加したい」と好評でした。

●人間尊重が貫かれるように
全厚生北欧福祉視察に参加して=業務センター支部 金山乃婦子


 コペンハーゲン市を行く人々は、7月だというのにブレザーや軽いコートをはおり、私たちも寒さにふるえた。福祉視察についての対応にあたったのは、市国際部長で、15年間外国人の対応にあたっているというバリバリした女性であった。
 日本からも年間多数視察に訪れているようで、日本語版のスライドも用意されていた。
 デンマークの福祉は過去100年にわたって築きあげてきた。現状に合わせた福祉を常に追求している。すべての福祉は税金でまかなわれている。税金でまかなうということはすべての人に平等に行う。お金持ちであろうと貧乏人であろうと、家族構成が違っても。
 何かを犠牲にしてお金をもらいたくない。幸せな毎日を送りたいと考えているのがデンマーク人であると。
 デンマークの人口は527万5000人、平均寿命男性72.9歳、女性78歳、67歳以上人口比13.3%、コペンハーゲン市人口48万3000人、67歳以上14.5%、国民年金受給67歳から、基礎年金4500クローネ(約9万円)、他に住宅手当等の諸手当が出る。税金は収入の40〜62%、平均50%。
 年金・医療・教育費無料、住宅手当があり、24時間体制のホームヘルパー。介護については「判定委員会」が設けられ医師の意見が必要とされ、その判定によって介護のサービスが決められている。
 市はいくつかの行政区に分けられ、国の決めた法律に合わせ各自治体が民主主義の法則に合わせて実施している。
 デンマーク人は共働きである。親が子どもに依存する考えは昔からなく、したがって社会的に保障する。いつくるか不安定なボランティアでなく高齢者福祉はしっかりした職員で行う。コペンハーゲン市だけで常勤のホームヘルパーは3300人がいる。
 デンマークは世界で一番高い税金50%だが自分に戻ってくるので文句を言いつつ満足している。
 コペンハーゲン郊外にある老人ホームも見学したが明るく入居者は様々なサークル活動に参加したり、ゆったりした個室でゆっくりしたり、グループホームのダイニングで思い思いで過ごしたりしていた。
 私には93歳、90歳近い両親がおり、日本風に長男夫婦が親と同居という形をとり、めんどうをみている。子どもが多かったので何とか工夫しているが、友人達は一人で介護をして苦労している。
 老人介護は社会的問題であり、ホームヘルパーはじめ社会的支援体制の整備が急がれるが、デンマークのようにすべての人に税金で平等にサービスを受ける権利と民主主義的保障、人権を重視した老人ホームの個室化が望まれる。
 デンマークのように基本的には人間の尊重という精神が貫かれるように要求していく必要があると思いました。

Back  to HOME