◆第1418号(1998年11月15日付)◆
●国立大田病院職員全員の雇用確保を
厚生省は雇用責任果たせ・大田市32名不採用問題で抗議


 国立大田病院の経営移譲を受け入れた大田市は、99年2月1日を目途に開設予定である大田市立病院(仮称)の採用内定を98年10月13日に発表。市立病院への採用を希望し大田市の採用面接試験を受けた180名の国立病院職員のうち、看護婦13名を含む32名を不採用としました。とりわけ看護婦については採用枠118名に対して希望者は110名で、採用定数枠を下回っているにもかかわらず不採用にし、あらためて看護婦30名の一般公募を行いました。「あなたは体格がいいが、それで困ったことはないか」「長年看護婦をしていて、絆創膏の切れ目が見えるのか」などのセクハラ・人権侵害の質問もされました。不採用者には国立病院の存続運動などで中心的な役割をはたしてきた同支部の役員らが含まれています。
 厚生共闘と全厚生、全医労は11月10日、「大田市立病院(仮称)の32名不採用に抗議し、全員採用を要求する共同声明」を発表しました。
 声明では、「これまで国立大田病院で働き、地域医療を支えてきた職員を不採用にしたことは絶対に許すことができない。厚生省と大田市当局の暴挙に断固抗議するとともに、その撤回と全員の雇用確保を強く要求し、不採用者32名が全員採用されるまで、徹底的に闘いを強化していく」ことを明らかにしています。
 大田病院不採用問題で全医労は、11月4日から3日間、厚生省前で抗議の座り込みを行いました。全厚生は、杉下委員長が激励あいさつしたのをはじめ、ともに座り込み抗議しました。また、厚生大臣、大田市長あてに抗議文を送付しました。


●主体的な働き方選び取ろう−女性部第3回総会ひらく−

 全厚生女性部は10月30日、東京・南青山会館で第3回総会を開催し、行革闘争や男女共通の労働時間規制実現のたたかいを盛り込んだ98年度方針案をはじめ、すべての議案を満場一致で採択しました。また、総会宣言と「厚生省の試験研究機関等の独立行政法人化に反対する決議」を採択。八木部長をはじめ新役員を選出しました。総会には、代議員・傍聴など32名が参加しました。
 杉下中央執行委員長は「女性は必ず仲間を巻き込んで運動をしていく素晴らしさを持っている。女性の要求は、全厚生の要求として受け止め、運動したい」とあいさつ。
 国公労連女性協の武城事務局長は、「労働法制改悪反対のたたかいなどでの全厚生の奮闘に敬意を表す。実効ある男女共通の労働時間規制の実現にむけがんばろう」。
 杉崎副委員長は、「厚生省は女性を本気でパートナーとして見る目が欠けている。女性が自立し、主体的な働き方を選び取っていこう」とあいさつしました。
 活動報告と方針提案をした北島女性部長は、昨年度は、人事院規則10−7女子保護撤廃反対や労働法制改悪反対のたたかいに全力をあげてきた。改悪は強行されたが、この運動を今後に生かしていこうと、98年度の方針として、(1)行革闘争(2)男女共通の超勤規制の実現(3)昇任・昇格改善(4)全厚生女性交流集会・国公労連女性交流集会(5)介護休暇・育児休業などの制度改善(6)母性保護の拡充(7)職場環境改善(8)セクハラ防止(9)平和(10)女性部活動の確立強化を提案しました。
 討論では、「支部女性部の役員は若い。役員はしんどいとしり込みする人もいるが、きっと自分の力になって返ってくる」(京都・高橋代議員)「妊婦が仕事を続けにくい現状があり、女性の権利手帳が役に立った」(リハ・吉田代議員)、「人事課との意見交換会で得た回答を所当局との交渉に生かせる。女性の採用が減っている。独立行政法人化を阻止したい」(国立衛研・最上代議員)、「本省は、女性の働き方が仕事か子育てかの両極端になっている。実効ある超勤規制を実現したい」(本省・橋爪代議員)「10月にはじめて男性が育児休暇を取得した」(神奈川・田中代議員)、「女性の権利手帳を使って学習会を開いた。若い女性が『それらの権利は与えてくれたものではなく、運動の成果だったんですね』と。セクハラの学習ビデオ上映会を開催」(業務センター・清水代議員)「支部女性部で当局交渉をした。業務量が増え、残業も増えている。解決したい」(愛知県・水野代議員)などの発言がありました。
 新役員は次のとおり。
▽部長・八木晴美(統計)▽副部長・北島由美子(統計)、小出千鶴子(リハ)▽事務局長・小池文子(本省)▽幹事・酒井綾子(国立衛研)、金子菊枝(神奈川県)、下阪三千代(統計)、谷口いづみ(社会保険業務センター)、塚野尋子(感染研)、山本千鶴子(人口研)、和佐田裕子(統計)▽会計監事、黒沢智子(本省)、橋爪順子(本省)


●国立研究機関の独法化反対
−日本共産党の平賀衆議院議員と懇談−


 国立試験研究機関の独立行政法人化の検討をめぐって、全厚生は11月9日、日本共産党の平賀高成衆議院議員らと懇談しました。
 この日は、国立感染症研究所が独立行政法人の検討対象機関にあげられたのを受けて行われたもの。
 全厚生感染研支部の萩原、五十君の両氏及び本部の加藤副委員長、市川書記次長の4人が平賀議員を訪ねました。共産党からは平賀議員・同有馬秘書、松本善明議員の稲葉秘書らが出席しました。
 懇談では、萩原・五十君両氏が感染研の業務概要を説明したあと、「基礎的・長期にわたる研究の実態からいっても、効率優先の独立行政法人にはなじまない」「ひところ感染症は制圧された、といわれてきたが、新興再興感染症がでてきて、私どもの研究所で地道に研究してきたことから機敏な対応ができた。効率のみを優先して独立行政法人になればそうした非効率な研究は切り捨てられるおそれがある」など、独立行政法人化の問題点を指摘しました。
 また、加藤副委員長は、昨年の定期大会以降全厚生内に「行革闘争本部」を設置し、社会保障を縮小する「労働福祉省」創設に反対していること、試験研究機関については、行政改革会議の最終報告で独立行政法人の検討対象機関にあげられた国立健康・栄養研究所について国立の研究機関として存続するよう署名行動を展開してきたこと、そしていま、省庁設置法案、独立行政法人通則法などの大綱原案が11月末にまとめられるという時期であり、運動としては重要な時期にさしかかっていることなどを述べ、協力を要請しました。
 なお、共産党の議員団では11月11日に国立感染症研究所を視察し、視察後、感染研支部とも懇談しました。


●独立行政法人化反対−女性部が庁と意見交換−

 全厚生女性部は、10月30日、社会保険庁と意見交換しました。
 全厚生は杉崎副委員長、山本中執、女性部の北島部長、根津副部長はじめ幹事、業務センター・神奈川県・静岡県・愛知県・岐阜県・京都の各支部代表が参加。社会保険庁は、総務課三枝調査官が対応しました。
 全厚生は、社会保険業務センターが独立行政法人化の対象機関にあげられたことについて反対であることを主張し、庁の考えを質しました。庁は、業務センターの独立行政法人化はありえないと主張していることを明らかにしました。
 地方支分部局の統合等でブロック機関化の動きがあり、職場に新たな不安が広がっているとの指摘に対して庁は、「ブロック機関ができるのか決まっていない」と回答するにとどまりました。参加者は、「広域人事になれば、働く権利が奪われるのではとの危機感を持っている。いつのまにか決まっていたなどということのないよう対応せよ」と強く申し入れました。
 上位級ポストの拡大と女性の登用について、「働く意欲に影響する」「女性を職場のパートナーとして見る目に欠けている」と指摘し改善を求めました。これに対し、職員の女性比率が高くなっており、女性を任用する時期にきている旨の回答をしました。また、定数については、格付けの引き上げにも努力したいと回答しました。
 業務センターの五級昇格からの男女差別是正については、「平成8年度から段階的に行っているが、一斉に解決することができなかった」と回答。これに対し、「男女で2年の差がある。能力が劣っているとは思えない。解決を」と訴えました。
 男女共通の時間外勤務規制について、「深夜に及ぶ勤務は、母性の破壊であり、家庭破壊だ」と実効ある規制を求めたのに対し、「年間360時間の残業規制はめやすだが、部署に応じた規制が必要。仕事そのものを減らしていかないと難しい」と回答しました。
 社会保険同士の共働きの退職勧奨については「あってはならないし、ない」と回答。煙対策については、全社会保険事務所に空気清浄機を設置する予算を確保した。セクハラ防止については、人事院が12月をめどに指針を出すので対応したいと回答しました。
 年金に対する国民の信頼を取り戻すこと、社会保険事務所に寄せられる声を制度改正に反映できる道を開くよう強く訴えました。また、「県内の研修において、仕事に直結した知識を高める内容を」との要求には、「中身のある研修をするよう通知を出す」との回答を得ました。


●職務を評価し定数拡大を
昇格課題を中心に人事院と交渉

 全厚生は、11月10日、昇格課題を中心に人事院と交渉しました。交渉には、杉下委員長を先頭に本部役員九名が出席。人事院は佐々木課長補佐が対応しました。
 交渉の冒頭、杉下委員長は、要求が一歩でも二歩でも前進する足掛かりにしたいとの態度を表明した上で、公務員をめぐってはすべてにおいて減量が焦点にされているが、職場の現状を考慮して人事院としてふさわしい解決の手だてをつくすよう求めました。
 本省庁では、業務を組織的にこなす上でも係長を七級にする必要があること、また、男女の昇格格差を解消するために適正な指導をすることが必要であることを強調。人事院は、「標準職務表の関係上難しい、考え方は変わらない」「定数査定では男女差別はしていない、各省の運用の問題」などと回答。
 研究職では、三級・四級への昇格段階で枠外が生じていることを強調し適正な評価を要求。人事院は、「必要な定数は措置している」「機関ごとの問題」と回答。これに対して、「省内でやりくりするのは実際には困難」「有資格者であっても定数がなければ昇格できない」などの実態を強調し改善を求めました。
 社会福祉部門では、少数職種があり、他の機関と比べても昇格条件が悪い点を指摘。人事院は、「医療職(二)表は、国立病院等に多いが、標準職務表で必要なところには措置している」と回答。副技師長の要求についての見解を質したことに対しては、「執行体制でポストとしての必要性があるかどうか」との見解を示しました。
 社会保険については、七級枠外の解消の要求に対して、「七・八級は高い格付けであり、枠外がいるから定数を出すというわけにはいかない」などと回答。これに対して、「人事院は枠外のできる俸給表をつくった責任をとるべき」「職務をきちっと評価するべき」と主張しました。
 岡野書記長は、男女差別の問題に関わって、人事院が「任命権者の判断」といったことに対して、「定数を出しているのは人事院であり、人事院にできることは努力すべきだ」と主張。また、研究職の三級昇格の問題に関わって、定数が無ければ昇格できない一方で研究評価を強調し全く一貫性がないことを指摘しました。さらに、30年努力してまじめに働いてやっと八級に昇格することと、勤めてわずか10年程度で八級に昇格することをどう見るのかと指摘しました。
 最後に、長年にわたる要求を真剣に受け止めて努力するよう求め、交渉を終えました。


●イカ労かわら版の函館支部を訪ねて

仲間全員が機関紙づくりに参加・そこに組合活動の原点がある
 函館支部が毎月1回発行している機関紙「イカ労かわら版」は、今年度の第11回全厚生機関紙フェスティバルで最優秀賞の全厚生大賞に輝きました。
 編集長の高橋忠庸さんは、「大賞を受賞できるなんて夢みたいです。継続して発行してきたのが実を結んだのかな」と、半信半疑だと笑います。「ほんとうに、定期発行をつづけられたのも、組合員だけでなく職員のみなさんが快く協力してくれたおかげではないでしょうか。大賞をはげみにこれからも教宣活動を一生懸命つづけていければいいなあ、と思います」と快活に語ります。
 「イカ労かわら版」の編集スタッフは高橋さんの他、島村明盛書記長、佐取幸枝さん、そして未組合員の平瀬芳美さんの4人。同紙は給料日に定期に発行されています。編集会議は発行日の1週間前に開催。熊谷日出夫支部長に今月の組合としてのテーマについて話を聞き、書記長が記事を依頼しています。
 「ただ依頼しても記事が集まらない時があります。そういうときはインタビューして記事にしている」と、高橋さん。
 同紙のカットは平瀬さんが担当しています。平瀬さんは「未組はシャットアウトかなと思っていたのですが、誘われて編集に参加しています。組合の枠を取り外して一緒に機関紙づくりができて楽しい」と目を輝かせます。
 同紙は、全職員に給料日に配布されて約2年になり、組合員と職員を結ぶ生きたパイプとして定着してきています。
 熊谷支部長は「組合の方針を一方的に伝達するのでなく、函館視力で働く仲間全員が参加して機関紙をつくることがすごく大切だと思うのです。そこから組合活動をはじめる、そこに組合活動の原点があるのではないでしょうか」と話します。 函館支部はまだまだ小さい支部ですが、機関紙活動が定着するにしたがって組合員も少しずつ増えています。
 島村書記長は「みんなが参加して作り上げるっていいものですね」。今年4月に塩原視力センターから異動してきた佐取さんは「編集のメンバーに加わりましたが、とにかく楽しみながらつくっていきたい」と話します。
 編集会議は文字通り職場で起こっている声を肴に、ワイワイガヤガヤとにぎやか。そこには、見たり聞いたりしたネタを料理するかわら版の役割と、函館市の魚=イカと、労働組合として「怒ろう=イカ労」をタイトルにした「イカ労かわら版」の面目躍如たる姿をかいま見ることができました。
(支部大会と編集会議を訪ねて 加藤重徳副委員長)

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