◆第1417号(1998年11月5日付)◆
●中央省庁再編・独立行政法人反対−シンポジウム開催−


 全厚生と全医労で構成する厚生省労働組合共闘会議(遠山亨議長・全医労委員長)は10月27日、東京都千代田区永田町の星陵会館で「中央省庁再編・独立行政法人化反対」「安心できる明日のために充実させよう社会保障」をかかげた「医療・年金・介護を考えるシンポジウム」を開きました。
 これには労働者・労働組合、市民団体から約200人が参加し、全厚生からは9支部・本部40人が参加しました。
 シンポジウムは冒頭、遠山議長が主催者として問題提起をかねてあいさつを行いました。そのなかで遠山議長は「政府がすすめようとしている中央省庁再編、とりわけ国立病院・療養所や試験研究機関の独立行政法人化には全医労・全厚生とも組織をあげて反対している。医療・社会保障の後退をなんとしても阻止しなければならない」と表明しました。
 つづいて、加藤重徳厚生共闘事務局長(全厚生副委員長)をコーディネーターにパネルディスカッションに入り、医師の高柳新氏(全日本民医連副会長)、西岡幸泰専修大学教授、介護保険を考える市民の会の中尾元信氏(特別養護老人ホーム「あかね苑」事務長)、年金実務センター代表の公文昭夫氏の四人のシンポジストが、それぞれの立場から医療・年金・介護・福祉についての問題点を指摘しました。

医学水準と社会保障水準は車の両輪=全日本民医連副会長 高柳 新氏
 地域医療の第一線で活躍している高柳氏は、最近の病院でおこっている事例にふれ、「60歳の娘さんが入院中の87歳の母親を手にかけるという痛ましい事件があった。病院での殺人としてほんとうにショックだった。医療保険制度が改悪された昨年秋前後からこうした病人を殺す事件や自殺者が目立ってきている。ほんとうにたいへん深刻だ。医学の水準と社会保障の水準はもともと車の両輪でなければならないのに、患者さんが病院からおいだされるなど命がほんとうにないがしろにされている。こうした攻撃に患者・国民、医療関係者がいったいになって跳ね返していく必要がある」と強調しました。

医療・社会保障が利潤追求の場に=専修大学教授 西岡幸泰氏
 西岡氏は、厚生省と労働省を統合して「労働福祉省」を創設し、その新省の編成方針では「社会保障構造改革の推進」を第一にかかげていると指摘し、「80年代の臨調行革以来、社会保障の改悪はまさに連続性をもっている。当時は社会保障費を削って公共事業にまわしていたが、いまは質的にちがっている。バブルでの焦げ付きを消費税の引き上げなど、国民にしわ寄せし、銀行には60兆円もつぎこむ。そして医療・社会保障を削るだけでなく利潤追求の場にしようとしている。国民の反撃で挫折させなければならない」と呼びかけました。

保険あって介護なし公的責任の放棄追及=特養ホーム事務長 中尾元信氏
 中尾氏は、介護保険の導入による問題点、介護の現場の実態、措置制度の解体などにふれ、「介護保険の導入は生活そのものを抜きにして福祉を介護だけにしてしまう。介護保険料は未定だし、40歳から64歳まで保険料を払いつづけて介護が必要になっても99%の人が介護を受けられない。さらに利用者負担は一割かかる。いい介護を受けようとすれば利用者負担は増える」と指摘しました。
 さらに、要介護認定におけるコンピュータ判定の問題点、民間企業の参入など福祉の市場化の問題点を指摘し、「介護保険法は公的責任の放棄だ。特別養護老人ホームも終の棲家でなく通過施設となり、カネがあるかないかが命の切れ目になる。介護保険はイメージが先行しているが、まさに社会保障改悪の先兵だ」と批判しました。

年金大改悪阻止へ国民的な大運動を=年金実務センター代表 公文昭夫氏
 公文氏は、政府・厚生省がすすめようとしている99年の年金大改悪の内容にふれ、「賃金スライド」の廃止、支給開始年齢のさらなる繰り延べや現行支給開始年齢引き上げスケジュールの前倒しなど、「国民・労働者に大きな負担増を押しつけようとしている」と指摘。一方で、厚生年金など公的年金の積立金は204兆円にのぼっており、この額は6年分の給付額に匹敵するが、イギリスの積立額は2か月分、ドイツのそれは1か月分などであり国際的にみても異常。「年金大改悪阻止にむけて、国民的大運動をもりあげよう」と強調しました。

この力を運動に−参加者の感想−
 これらの報告を受け、日本医労連、新日本婦人の会、生活と健康を守る会、国公労連、年金者組合の代表が、社会保障の拡充にむけて共闘していく決意を表明しました。
 閉会あいさつに立った杉下茂雄副議長(全厚生委員長)は、「社会保障の縮小につながる中央省庁再編・独立行政法人化を跳ね返していきたい。たえず目を外にむけて、多くの方々と共闘し、医療・年金の改悪阻止にむけて全力をあげたい」と決意を表明し、シンポジウムを終えました。



●全厚生青年交流集会in琵琶湖


 全厚生青年交流集会が、10月23日から25日かけて、滋賀県大津市を拠点に開催されました。  前回、小豆島での開催以来3年ぶりとなりましたが、全体で98名が参加し、3日間で大いに交流を深めました。
 青年交流集会は、23日に開会し、記念講演として滋賀県水産試験場の藤岡氏より「琵琶湖の魚と環境問題」と題する講演を聴きました。この講演を通じて、環境を守ることは一人一人の努力が欠かせないこと、一部の心ない行動が生態系や住民の生活に重大な影響を与えることを学びました。
 23日の夜は、立食で大交流会を開催。県名ビンゴゲームや京都支部青年部のダンスを堪能(?)し、最後は猪木が飛び出し、猪木風団結ガンバロウで締めくくりました。
 24日は、16班に分かれ京都市内に繰り出し、指定スポット3カ所を中心に交流を深めつつ古の文化を味わいました。紅葉には早いのが残念との声もありましたが、まずまずの様子。中には、禅の境地にはまりすぎて宿に帰るのが1時間以上も遅れた班もありましたが、迷子や怪我や事故などもなく最終日を迎えることができました。
 25日は、杉下委員長から「情勢をよく見つめてみんなで話し合うことの重要性」を強調するあいさつを受け、京都探索の結果を班別に話し合い、それぞれから報告しました。最後に、本部から集会のまとめを簡単に行い、次回は「神奈川県」で開催することを確認しました。
 心配された雨もどこへやら、病気や喧嘩などもなく、楽しい思い出を胸に刻んだ3日間となりました。

次はエキ4で
   国公労連青年協主催のエキサイト4が99年5月27日から29日に山梨県・石和温泉周辺で開かれます。泉谷しげるライヴをはじめ大交流会、学習系スポーツ系の分科会など楽しい企画がいっぱい。次はエキ4で会いましょう。



●大倉修二さんを囲む会ひらく
 大倉修二さんを囲む会が10月23日、第一ホテル東京で行われました。先の大会で全厚生中央執行委員長を退任し顧問となった大倉修二さんの長きにわたる活躍へのねぎらいと今後の活躍に期待し、激励するために開かれたもの。全厚生組合員やOB、国公労連や他組合、厚生省から河村人事課長、諸江参事官、社会保険庁の吉武総務課長はじめ150人の方々が出席。また、大倉修二さんの妻孝子さんと息子さん夫妻も出席しました。
 杉下委員長のあいさつで開会し、藤田国公労連委員長、河村人事課長、伊藤本省支部長があいさつ。野路雄大さんのギター演奏、秋田県支部の阿部さんの居合演舞で大いに盛り上がりました。  河村人事課長は、健全な労使関係の形成に果たした大倉さんの役割は大きい。功績に感謝するとともに今後の活躍に期待するとあいさつ。
 大倉さんは、37年間の思い出を振り返りつつ、「引退したと言っても、内外の社会問題を見ると、心が痛む思いだ。私はこれからも微力ながら世の中を変えるためにみなさんとともに頑張りたい」とあいさつしました。

Back  to HOME