1 貴職において「中央省庁等改革基本法」(行革基本法)に基づく関係法案の改訂の検討や計画の策定が進められています。 私たちは、真の行政改革は国民生活に関連する部分の充実と政・官・財の癒着を断ち切ることであると考えており、数あわせやスリム化に焦点を絞った今回の改革は、到底受け入れられるものではありません。 2 厚生省と労働省を統合・再編する「労働福祉省」創設は、減量、効率性のみを狙いとすることは明らかであり、行政の独自性・専門性を薄め、国民の基本的権利である労働権、社会福祉・社会保障に対する国の責任が放棄され、自己責任による社会的弱者の切り捨てなどの懸念があります。 3 厚生省が現在行っている調査統計はまさに政策判断や企画・立案の基となっており、一元化や民間委託によりスリム化することは省全体の業務に支障が出る恐れがあります。さらに、一元化による処理期間の問題やプライバシー保護の問題、調査権限の問題などの課題のクリアが必要であり慎重な検討が求められています。 4 国立試験研究機関を独立行政法人化することについて、私たちは、経常研究費の保障や評価方式・期間の問題、身分保障の問題、基礎的・長期的研究が切り捨てられる恐れ等を指摘してきました。加えて、厚生省の試験研究機関に関しては、すべての機関が行政との連携を恒常的に持つ必要があり伝染病の拡大などの緊急時は共に情報収集から対策まで実施するなどまさに政策研究所であり、採算性の問題や感染症拡大防止や不測の事態に備えた医薬品等の確保など衛生面での安全保障、生活習慣病対策など慢性的疾患への健康危機管理の観点から国の機関として存続させるべきだと考えます。厚生省の試験研究機関は、現在統合・整理計画の真っ最中であり、さらに薬害エイズやO157などの事件による組織再編も行われ、今回の行政改革も加わり、現場の研究者は混乱と不安の極みといった状況にあります。そもそも、国民の衛生面での安全対策や健康・栄養対策が進めば患者数の減少につながり、しいては医療費の削減となるものであり、重点的に体制を強化する必要があると私たちは考えます。 5 5月29日に閣議決定された「地方分権推進計画」では、地方分権推進委員会第3次勧告で示された地方事務官制度廃止に伴い、社会保険事務所について厚生省の地方支分部局とすることとされています。 行革基本法では、地方支分部局の整理及び合理化を推進することとされていますが、社会保険事務所は、国民の生存権を保障する目的から発展した社会保険制度の事業運営の第一線の窓口であり、保険料徴収、保険給付、年金給付など、公的保険、公的年金制度の事業運営は少子高齢社会の到来とともに、その重要性をましており、社会保険事務所は、国民生活に密着した第一線の行政機関として拡充されるべきものであると考えます。 6 私たちは社会保障・福祉・衛生を担う厚生省に働く職員で組織する労働組合として、「社会保障構造改革」の推進をうたった行革基本法による行政改革の国民生活への重大な影響を憂慮し、下記の点について申し入れるものであり、貴職の誠実な対応を求めるものです。 1.国民生活に重大な影響を及ぼす「労働福祉省」創設を撤回すること。 2.厚生省の試験研究機関を独立行政法人化しないこと。 3.社会保険事務所の整理・合理化を行わないこと。 4.各省庁とのやりとりも含めた情報公開を行うこと。 |