◆第1412号(1998年8月25日付)◆
●許せない!史上最低0.76%勧告
 55歳昇給停止を強行


 人事院は8月12日、内閣と国会に対して、国家公務員の賃金を過去最低の平均0.76%(2785円)引き上げることや、昇給停止年齢を3歳引き下げて55歳とすることなどを内容とするきわめて不当な勧告を行いました。
 最大の闘争課題であった昇給制度改悪では、「53歳昇給延伸、55歳昇給停止、行(二)職員等の特例廃止」とする当初提案を一部修正しましたが、「55歳昇給停止」という年齢差別の強化を私達の強い反対を押し切って強行しました。また、中央省庁等改革基本法が成立し公務員攻撃が激化するもと、人事院本来の役割を発揮するどころか、勧告は「行革」推進の立場にたっていることを明言するなど、不当なものとなっています。
 一方で、(1)扶養手当の教育加算1000円の増額、単身赴任手当の基礎額及び加算額双方の大幅な改善という重点を絞った手当の改善、(2)中堅層重視の本俸配分など、私達の要求に応える配分をおこなっている部分もあります。また、超過勤務の上限規制を年間360時間を目安とするなど、不十分さが残る内容とは言え、人事院が「超勤規制は公務にはなじまない」としてきた姿勢を転換したことは、私達の粘り強いたたかいが反映したものであり、今後へとつなげる必要があります。

98年勧告の主な内容
給与改定

1.官民較差
 (1)較 差 2,785円 0.76%(内訳 本較差 0.71%  遡及改定分 0.06%)
 (2)配 分 俸給2,247円 諸手当395円 はねかえり分143円 計2,785円
      【行政職(一)・(二) 現行給与364,113円 平均年齢40.0歳】

2.改定の内容
 (1)俸給表
   1.行政職(一)の初任給
        T種184,200円(現行183,200円)
        U種174,200円(現行173,000円)
        V種141,700円(現行140,700円)
   2.行政職(一)引上率0.3%〜1.0%(平均0.7%)
   3.各俸給表 行政職との均衡を基本に改定 看護婦等に配慮
         公安職(一)に特2級を新設(刑務官等の職務の実態を考慮)

 (2)昇 給 原則55歳以上昇給停止(現行58歳)

 (3)手 当
  1.扶養手当
   ・高校生、大学生等の子がいる場合の加算額1人につき 4,000円→5,000円
  2.単身赴任手当
   ・基礎額 20,000円→23,000円
   ・加算額 距離区分に応じて 4,000円〜29,000円→6,000円〜45,000円
  3.その他
   ・医師の初任給調整手当
     ・医療職(一)  最高 312,200円→316,400円
     ・医療職(一)以外(医系教官等) 最高 51,400円→51,600円
     ・宿日直手当一般の宿日直 3,800円→4,000円
           業務当直最高 6,800円→7,000円など
     ・義務教育等教員特別手当 新設の中等教育学校(6年制)の教員にも支給

3.実施時期
  平成10年4月1日(宿日直手当 平成11年1月1日、昇給停止年齢の引下げ・中等教育学校教員への
  義務教育等教員特別手当の支給 平成11年4月1日)

4.給与制度の改善方向
  民間の賃金体系改革の動き、柔軟で開放的な人事システムへの転換に対応
  職務や個人の能力と実績に応じた給与体系の実現
  ・福祉関係教員の処遇の確立
  ・高度の専門職の処遇の枠組みの検討


公務運営の改善

1.弾力的な採用、昇進管理等
 ・U種・V種等採用職員の幹部教員への登用は、早期選抜と計画的育成を基本に、各省庁が積極的に
  取り組むことが重要。本院は、これを促進・支援するため、登用候補者の選抜方法の指示、登用候
  補者への研修の新設等につき各省庁と協議しつつ具体化を検討−平成11年度目途
 ・高度の専門性を有する民間の人材を活用するため、任期を限って採用し、その専門性にふさわしい
  給与等の適切な処遇を確保するシステムの整備を検討−別途意見の申出
 ・外務公務員採用T種試験を廃止(平成13年度)。T種技術系試験区分の統合・再編を検討
 ・人材育成のため、在外研修制度を拡充、博士号の取得機会付与、自発的な大学院進学制度等を検討

2.早期退職慣行の見直し
 ・各省庁はそれぞれの人事管理上の特性を踏まえ、計画的な退職年齢の引上げに努力。退職年齢引上
  げの取組を政府全体を通じて着実に推進。幹部職員の勧奨退職についての目標を設定し、具体的に
  促進するための条件整備等を図る必要
 ・退職年齢の引上げが円滑に進むよう、能力、適性を重視した複線的人事管理、スタッフ職等の整備
  と適切な処遇の確保へ向けての取組

3.超過勤務の縮減
 ・超過勤務の上限時間数は、災害等避けることのできない事由に基づく場合を除き、年間360時間を目安。
  育児・介護責任を有する職員には、年間360時間の上限規制を導入
 ・各省庁の国会、予算等の業務については当面目安時間の設定は困難。業務の合理化に向け、行政部
  内全体での取組のほか、関係各方面の理解と協力を得る必要
 ・やむを得ない長時間の超過勤務は、厳重なチェック、健康診断を徹底。「早出、遅出」の積極的活用

4.女性の採用、登用等
 ・女性の採用、登用等を一段と促進。セクシュアル・ハラスメント防止対策を検討

5.懲戒制度の整備
 ・地方公共団体、特殊法人等へ辞職出向し復職した職員の出向前の非違行為が復職後に判明した場合
  等に、懲戒処分をすることができるよう法整備−別途意見の申出を予定




●大倉委員長の☆月刊ずいそう-90-☆
 21世紀への希望


 太平洋高気圧が弱く、日本列島のみならず、アジア諸国が雨・水害に苦しんでいる。夏の花・サルスベリもやや色あせてみえる。太陽がほとんど顔をみせないいやな夏であるが、甲子園は例年になく熱くもえている。20日の準々決勝・横浜対PL戦は延長17回までたたかい決着がつくというまさに球史に残る名勝負であった。高校球児の汗と涙は生涯忘れることのない青春の想い出になるだろう。暗やみの世の中で国民にさわやかな感動をあたえてくれる甲子園球児に心より拍手を送りたい。
 これにくらべ、日本の政治は、国民をいっそう暗やみに引きずり込もうとしている。参院選で惨敗した自民党が「小渕政権」をデッチあげたが、あいかわらず自民党には国民の声と生活はまったく見えないらしい。“経済再生内閣”などとおおげさなことをいってスタートしたが、やろうとしていることは“経済壊滅内閣”・“国民生活壊滅内閣”である。なぜなら、橋本内閣の“失政”をそのまま引き継ぎ、やりのこした社会保障などの大改悪を断行することにしている。これまでも何度となく指摘してきたことではあるが、自民党という政党はその基本的性格と利害において、国民の利益と相入れないものである。
 21世紀に向って、国民が希望のもてる世の中をめざすためには、自民党を政権の座から引きずり降ろす以外に方法がないのである。
 もっとも衆・参で過半数の信任を得ていない政党が、国民の意志に反する政治を強行する資格がどこにあるというのだろうか。衆院をただちに解散し、国民のあらたな審判を求めることこそまともな政治の第一歩である。
 “ツクツクボウシ”が去りゆく夏を惜しむかのように声を張り上げている。私もあと数日で全厚生を去ることになった。40年間の感慨がこみあげ、言葉になりません。ほんとうにありがとうこざいました。また、つたない“月間ずいそう”を読んでいただいたことにも厚く御礼申し上げます。全厚生の発展を。


●平和のためにできること=原水爆禁止世界大会

核兵器いらない−1万の千羽鶴持って参加−=神奈川
 8月4日から6日の3日間、広島で原水爆禁止世界大会が開かれ、神奈川県支部から6名が参加しました。参加者は支部の取り組みである、16分会分、1万羽以上の千羽鶴を持って、「原水爆とはどんなものなのか」「日本や世界でどのような運動があるのか」を知り、伝えるために、積極的に全体会や分科会に参加しました。
 参加者の感想は、「百聞は一見にしかずですね。平和の大切さを実感しました」「核兵器はなくさなきゃ!自分たちにできることから始めたい」「ぜひ長崎にも行ってみたい」と様々でしたが、みんな「核兵器はいらない!」という決意で今後の平和運動へ取り組んでいきたいと思っています。来年は長崎で全厚生の皆さんに会えるのを楽しみにしています。核兵器廃絶に向け、みんなでがんばりましょう。(神奈川県支部・玉木健二)

戦争と平和伝える−次世代のパイプ役に−=京都
 8月4日から6日まで広島の原水爆禁止世界大会に参加してきました。そこには日本全国民の反核に対する熱い思いが結集していました。初日は、全体での開会式が行われ、2日目は分科会で被爆者体験談のある平和教育をテーマにしたものに参加しました。今回の参加で初めて、被爆者手帳の存在や、被爆二世に検査ハガキが届くことも知りました。
 戦後53年たった今、戦争について考えるうえで、とても大きな役割を果たしている被爆者の方が、どんどんなくなっていきます。ですからこれからの世代の人は被爆者の生の声を聞けなくなることでしょう。
 私たちは、その世代にいかに伝え、引き継ぐかが重要な課題であることをこの分科会で学びました。私は戦争を体験していませんが、戦争について伝えなければなりません。いわば、次世代へのパイプ役となるのです。
 そして反戦運動を引き継いでいかなければ、必ず恐ろしい悲劇が起こるにちがいありません。さらに8月だけ平和について考えるのではなく、日頃から平和について考え、できることからやるようにしていきたいと感じました。(京都支部・阿瀬見恵梨奈)


●世の中変えられる−日本母親大会で実感−=静岡

 第44回日本母親大会が8月1・2日と米騒動発祥の地富山県で開かれ、全国からのべ2万2000人が参加しました。1日目は子ども、暮らし、民主主義など71テーマで分科会、2日目は2会場に分かれて全体会が開かれました。
 静岡県支部から参加した西山ゆかりさんと片山明子さんの感想を紹介します。
 1日は、黒田講堂で富山大空襲の話を聞きました。8月2日未明の数時間で死者2704人、負傷者7900人も出たことを知りました。広島、長崎に投下された原爆は有名ですが、一地方都市でも大きな被害が出ていた事を知り、もう少し早く戦争が終わっていれば…とつくづく思いました。
 2日はオーバードホールでの全体会に出席しました。会場は満席で全国のお母さんたちのパワーが充満していました。その力が一つになれば、社会の問題を解決し、良くしていけるという気持ちになりました。
 一万人という母親が集まり、団結すれば、日本はもっとよくなっていくだろうと思いました。


●たたかいが確信に=福岡・支部定期大会開く

 福岡県支部は7月24日、支部定期大会を開催しました。  席上柴原支部長が1年間の活動を総括し、「スト準備指令」が出される緊張感の中で、組合員が団結し、賃金職員の待遇改善を勝ち取るとともに組織拡大も成功させるなど一定の前進が見られたことに対しお礼を述べました。
 また10年度の活動方針として、(1)行財政改革・組織再編に関わる組合としてのビジョンの構築(2)健全な労働環境・宿舎環境の確保に向けての提言(3)行(二)、少人数職種などの昇給・昇格に向けてのたたかい(4)青年部、婦人部の活性化を中心とした足腰の強い組合作りの実現など、五項目を柱とする案を提案し、満場一致で採択されました。
 選出された新四役は次のとおりです。

 支部長  柴原 繁俊
 副支部長 木村 秀伯
 同    上田 寿美
 書記長  江黒 直樹
 書記次長 原  志治



全厚生青年交流集会 in 大津&京都
日時:1998年10月23日(金)〜25日(日)
会場:滋賀県大津市 アヤハレークサイドホテル
企画:23日 記念講演と大交流会「琵琶湖の自然と環境について考える」
    24日 京の都の名所・名物探しのオリエンテーリング
    25日 お別れ大交流会


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