◆第1407号(1998年6月25日付)◆
●昇給53歳・延伸55歳 停止反対
 人事院は撤回せよ−職場から怒りの声−

 5月末に人事院から提案された「53歳昇給延伸(現在56歳)、55歳昇給停止(現在58歳)」を内容とする昇給制度の見直しに対し、職場に怒りが広がっています。国公労連は、これまで二度の交渉を行い、提案の撤回を求めるとともに問題点を追及しました。

行(二)職員の特例を廃止
 この交渉の中で新たに明らかになった問題点は、行(二)職員等の昇給停止年齢の特例(現在60歳)を廃止することです。これにより、行(二)職員の昇給停止は、5年間早まることになります。これに対し国公労連は、人事院の提案及び説明が不十分であったためであり(別の団体には説明している)今後このようなことがないよう厳重に抗議しました。
 もともと行(二)職員は、中途採用が多く、昇格機会も少ないために特例措置が設けられた経過があり、制度設立当時と比べ大きな状況変化が無い現状では、その見直しには無理があります。人事院のこの提案は、職場軽視であり低位級、高位号俸にいる多くの行(二)職員の実態を無視していると断言せざるを得ません。このことのみでも、今回の提案が重大な問題であることは明白です。

キャリア組のみを優遇
 今回の提案に対し、私たちは金銭面の損失のみでなく次のような問題点を指摘しています。
 (1)民間準拠のみであれば人事院としての機能そのものに疑問があること。
 (2)職場で責任ある立場になったときに、昇給が停止してしまうこと。
 (3)高位号俸者や枠外者、行(二)職員等に影響が大きいこと。
 (4)職員の人生設計に大きな影響を及ぼすこと。
 (5)拙速な提案であり、実質結論までに1カ月しかないこと。
 などであり、職場の混乱と怒りが大きく渦巻いていることを人事院にぶつけてきました。
 これに対し、人事院は「あくまでも世代間配分の適正化」「民間の状況を踏まえ」とし、給与を下げるということではない、と繰り返し答弁し、原則論に始終しました。
 また、人事院は、世代間配分の適正化、と説明していますが、結果として、今後の人事院勧告では各級の低位号俸の配分を厚くするため、1種(上級)採用者、いわゆるキャリア組のみが手厚く処遇される可能性が十分あります。また、昇給停止後も、昇格は可能であり、これも、キャリア優遇になる恐れがあります。

職場からの運動強めて
 国公労連は、当初提案は問題が多く納得のゆくまで議論が必要であり、6月中の決着を断念するよう申し入れましたが、人事院は6月成案にこだわっています。また、人事院は各省当局とも意見を聴取している段階であるとしており、今後さらに職場からの上申等の取り組みが重要になっています。
 国公労連は今後も人事院との交渉を行いますので、みなさんのご意見をファックス、電子メール等で全厚生本部あて送付してください。


●職務を正当に評価せよ
 手当問題で人事院と交渉

 全厚生は、6月15日、人事院と手当等に関する要求を中心に交渉しました。交渉には、全厚生から加藤副委員長ら本部役員8人が出席し、人事院は給与三課山田課長補佐が対応しました。
 全厚生は、「給与改善など当面の重点課題に関する要求書」を提出し、人事院の見解を求めました。
 山田課長補佐は、調整額の適用に関する要求について、(1)福祉施設で調整額を措置する特殊性は認められない、(2)社会保険についても他の官署とくらべて特殊性はない、また、夜間介護業務手当の要求についても「特殊勤務手当の枠の中で措置しており、単独の手当としては考えていない」などと回答しました。
 この回答に対して全厚生からは、社会福祉の施設は調整額適用者だけで運営しているわけではなく、全員が関わりを持っていることを強調し、当面要求している医事管理課職員、薬剤師、自動車運転手、調理師について、手話や点字の理解が必要であることや運転の難しさなど個別具体的に、その特殊性を訴えました。また、夜間介護業務手当について、業務内容が変化してきている実態を示し、実態に即した検討をするよう求めました。社会保険の調整額等の要求については、保険料徴収にかかる業務を中心に困難な実態を強く主張し、現状に即して検討するよう求めました。山田課長補佐は、手当として措置しない言い訳に終始し、「今後、状況が変われば検討したい」などと回答しましたが、全厚生は、福祉施設を見学するなど職場実態を把握し、それを真摯に受け止め検討するよう強く要求しました。
 交渉の最後に、福祉職俸給表と昇給延伸・停止の見直しに関する要求を強く申し入れました。山田課長補佐は、この二点について「担当の課」に全厚生からの要求として伝えることを表明しました。
 人事院は、労働組合からの要求に応えて制度改善を検討するのではなく、労働組合からの要求にはなるべく耳をふさぎ、政府や周辺の要望をさぐりそれに応えるための「見直し」しかしないというのが、近頃特にひどい実態となっています。
 職務の正当な評価、生活できる賃金への改善、誇りをもって働き続けられる給与制度など、職場の切実な要求を所属長から直接、人事院に上申させる運動なども重要になっています。職場要求を再度掘り起こし、人勧期にむけて職場からのたたかいを大きく発展させましょう。


●98国民平和行進が行く
核兵器廃絶求めカンパ隊で青年が活躍=愛知
 5月31日から6月11日までの12日間、「こんにちは、平和行進でーす!」の元気なかけ声が、愛知県内に響きわたりました。
 愛知県支部も、延べ61人の組合員が毎日交替で「全厚生」の旗を掲げて、県内通し行進を行いました。
 今年は、インド・パキスタン両国の相次ぐ核実験実施直後の愛知県入りとあって、沿道の市民の激励も例年以上に多く、カンパ隊に参加した支部の青年からは「来年もカンパ隊でがんばります!」と力強い宣言まで飛び出しました。
 また、私の住む春日井市でも、市内の自衛隊駐屯地で行進団が持って行った抗議文を自衛隊が受け取ったので、参加者から「オッ!」という驚きの声が上がりました。
 日曜日の名古屋市内集中行進には1800人もの人々(私もいたよ〜)が市内各所から若宮広場に集まり、みんなで核兵器廃絶の流れをもっともっと大きくしていこうと誓いました。
 「全厚生」の旗は11日に愛知の熱い思いを込めて岐阜県に引き継ぎました。(寺井唯哲)

平和への願い集め支部からのべ50人が参加=岐阜
 今年の国民平和大行進はインド、パキスタンによる核実験の記憶も生々しく、せつに核兵器廃絶を願う国民の熱気とともに岐阜県内を行進し例年以上の盛り上がりとなりました。
 6月11日から16日までの6日間、総行進距離は93キロに及び、岐阜県支部からは延べ50人が行進しました。
 11日に愛知県から岐阜県へ引き継ぎ各務原市内を行進。
 翌12日は、郡上郡各町村への自治体訪問のため行進はありませんでした。
 13日午前は美濃市から関市へと行進。午後は岐阜市内において、平和フェスティバルを開催。大雨のなか繁華街を行進しました。
 14日は1日中雨模様でしたが、関市から清流長良川沿いを岐阜市までのコースに10人が参加。
 15日は岐阜市から大垣市、16日は大垣市から関ヶ原町まで行進。リレー旗、ナップサックと「平和への願い」を滋賀県の仲間へと引き継ぎました。
 詳しい情報が岐阜県支部のインターネットにもありますのでぜひそちらもどうぞ。(国枝英樹)


●昇給延伸停止反対
 第7回支部定期大会開く=静岡

 静岡県支部は6月6日、県労政会館にて第七回定期大会を開催しました。本部、東海ブロック、愛知県支部、岐阜県支部から、来賓の激励挨拶をいただいた他、本部岡野書記長が情勢を中心に講演しました。とりわけ地方事務官制度の廃止問題、昇給延伸・停止問題については大きな問題であるため、大会出席者は真剣に聞き入っていました。
 97年度経過報告、決算報告を執行部がそれぞれ報告し、続いて98年度運動方針案、予算案の提起があり、若干の質疑のあと執行部案が大会出席者全員によって承認されました。そして、98年度役員選挙後、私たち公務員にかけられている攻撃を打破し、諸要求実現のために「団結がんばろう」を行い閉会しました。
 大会後は、場所を変え近くのホールにてピアノとバイオリンの演奏による第4回ふれあいコンサートを実施しました。
 選出された新役員は次の通りです。

 支部長 飯塚 豊
 副支部長 山口 孝夫
 同    田中 雅己
 同    杉山 智昭
 書記長 高橋 一夫
 書記次長 望月 昭吾
(高橋一夫書記長)

●新ガイドライン立法許すな!−2−
 「周辺事態措置法案」は極東とその周辺が対象範囲

 前号では、「周辺事態措置法案」が「アメリカ有事」に日本が自動的に参戦させられるきわめて危険な法案であり、国の命運がかかわる問題であることを指摘しました。今回は、「周辺事態」の「周辺」についてみてみましょう。
 政府はこれまで、「周辺」について「地理的概念ではない」「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」と述べてきました。しかし、それをいま、「極東」とその「周辺」だと言い換えています。台湾海峡も新ガイドラインの対象範囲であることもあいまいにせずに、さらに「周辺」もというわけです。中国の警告へのあからさまな挑戦といわなければなりません。
 米国の世界戦略のなかで、在日米軍が責任を分担している行動範囲は、アジア・太平洋全域、米本土西岸から中東までの広大な地域です。日本に配備された海兵隊や航空遠征軍、第七艦隊の任務は、日本を拠点にこの地域で軍事作戦をおこなうことにあります。
 現に、在日米軍の最近の出動先は中東・湾岸地域や東南アジアなどです。そんな米軍の行動にあわせて日本が協力することを合理化するための術語が「周辺」にほかならないのです。
 米国は日米軍事同盟を「アジアでの安全保障政策の中枢であり、アメリカの多くの世界的目的にとってのかなめ」と位置づけ、地球的規模での発動を狙っています。コーエン米国防長官は、今年の国防報告で「不測の事態」から「大規模地域紛争」まで、「アメリカの利益を脅かすあらゆる領域の危機」に軍事的に対応することを強調しています。まさに地理的な限定はなく、あらゆる地域での米国の無法な軍事行動に日本が自動的に協力させられていくのです。
 しかも重大なのは「周辺事態措置法案」は、政府が決める「基本計画」について、国会の「承認」は不要で、事後に「報告」するとしていることです。日本の平和と安全にかかわる大事への対応について国会が判断を下すのは当然です。
 ところが政府は、「政府が決めた後に国会が認めなければ、米国との関係が問題になる」などと言っています。このことは、アメリカが武力行使を決めたら日本は自動的に参加することを法制上も明確にする「アメリカ有事参戦法」の現実を雄弁に物語るものです。 (つづく)
Back  to HOME