◆第1406号(1998年6月15日付)◆
●行革基本法の強行採決に抗議
 参議院選挙で悪政へ審判を

 橋本内閣は、6月9日午後4時過ぎ、多くの問題点のある「行革基本法」をまともな審議もしないまま強行成立させました。
 行革闘争は、「行革基本法」が成立したという新しい段階にはいりますが、同時に、人事院勧告や次期臨時国会にむけた新たな運動を構築することが重要です。
 98年夏季闘争には、(1)人事院勧告期にむけた賃金や昇給制度見直しの課題、(2)新ガイドライン関連法案をはじめとする平和の課題、(3)労働法制改悪反対の課題、(4)国民いじめの橋本ニセ改革を阻止する課題、(5)要求を基礎にした組織の強化・拡大をめざす課題、などがあります。
 この間取り組んできた運動を土台に、98夏季闘争を全力で奮闘しましょう。また、7月12日投票予定の参議院選挙では、悪政への怒りをぶつけましょう。
 全厚生は、橋本内閣の「行革基本法」強行に抗議し、たたかう決意を込めて書記長談話を発表しました。談話の全文は次の通りです。

中央省庁等改革基本法の強行成立に抗議し 国民のくらし、健康・安全を守る厚生行政の確立に全力を
 中央省庁等改革基本法案(行革基本法案)は、6月9日、参議院本会議において自民党など旧与党の賛成多数によって強行成立させられました。21世紀の日本を形づくる重要法案であるにもかかわらず、衆議院で61時間、参議院で40時間たらずの委員会審議で、まともな審議をしないまま強引に成立させた政府・自民党の暴挙に、怒りをこめて抗議します。
 行革基本法案は、政・財・官の癒着・腐敗の根絶や行政の透明性などの国民の願いに一切応えず、内閣機能を強化しトップダウンで首相の思いのままに政治を行える体制づくりを柱に、ゼネコン型公共事業を温存する一方で、労働福祉省に象徴されるように国民生活分野を大幅に切り捨て、さらに、企画立案機能と実施機能の分離や独立行政法人の導入、国家公務員の定員削減など、行政サービスを後退させる内容です。
 私たちは、行政改革会議が最終報告を発表した瞬間から、厚生省と労働省を統合する「労働福祉省」創設は、社会保障・福祉と労働者保護や雇用を後退させる危険性と、独立行政法人の導入は国の責任を放棄するものとして厳しく指摘し批判してきました。
 全厚生は、国公労連に結集し各支部・分会で「行革署名」を旺盛に取り組み、団地や街頭で広範な人々に橋本ニセ改革の危険性を訴え、地元選出議員や自治体などへ要請するなど、様々な行動を通じて多くの教訓を生みながら広範な労働者・国民に私たちの運動を広げてきました。
 こうした運動は、国民世論を着実に広げ、新聞各紙でも「行革基本法案」の問題点や疑問点を報じざるを得ない状況をつくり、参議院本会議の採決で社民党の3議員が反対票を投じるなど、国会審議にも大きな影響を与えました。
 「行革基本法」は、強行成立させられましたが、私たちの運動で広げてきた国民世論は、さらに大きな炎となって燃えようとしています。私たちは、自らたたかい築いてきた運動の到達点に立って、そして自ら語り広げてきた国民世論とともに、いっそう奮闘することが求められています。
 安心して生活できる年金・医療の拡充、感染症や生活習慣病から健康を守る研究の拡充、医薬品や食品の安全性の確保、福祉施設や施策の拡充などは、すべての国民の共通の願いであり、誰にも否定できない要求です。
 私たちは、このような国民の切実な願いを切り捨てる行革基本法は、どうしても許すことが出来ません。今後、政府は、行革推進本部を設置し、新体制づくりに具体的に着手してきますが、こうした国民の願いに背を向けるようなことは決して許されません。
 厚生行政は、戦後の廃墟に公衆衛生の拡充、感染症の予防、年金や医療、福祉などの諸施策の拡充によって、不十分ながらもその行政目的を果たしてきました。
 社会保障制度が構造的に改悪されようとしているいま、私たちは、「国民生活の切り捨ては許さない」決意を新たにし、安心して生活できる社会保障制度の実現をはじめ国民のための厚生行政の確立にむけて、広範な労働者・国民との共同を広げ全力をあげて奮闘します。

1998年6月9日
全厚生職員労働組合
書記長 岡野 基喜



●大倉委員長の☆月刊ずいそう-88-☆
 “金バエ”政党は消えろ

 梅雨の晴れ間に水玉をちりばめて輝やく“アジサイ”が美しい。うっとうしい気分をほっとさせてくれる一瞬だ。梅雨が好きな人はそんなに多くないとおもうが、この雨のおかげであらゆる植物の成長があることを考えると、この季節を楽しく過す工夫が必要になってくる。
 梅雨はなんとか我慢できるが、国会における自民党の横暴とこれを助け同調する社民党には我慢できない。歴史的経過からして自民党の悪は論をまたないが、それよりもゆるせないのは社民党の悪である。その実態は、“腐った魚にたかる金バエ”のようなものである。
 6月9日、中央省庁等改革基本法を自・社・さの賛成で可決した。自民党との連立・閣外協力を解消したはずの社民党だが、悪法の成立にはすべて賛成するというのだ。こんな“ハレンチ”な政党はみたことがない。自・社・さの連立政権ができたのは4年前の94年であったが、この連立の背景には、当時の非自民連立政権の中で冷飯を喰わされ、党が分裂状態にあった社会党に野党であった自民党がとり込みをはかり、政権をとりもどしたのである。その恩がえしに村山内閣を演出し、政策転換をせまりながら骨までしゃぶり利用してきた。
 社民党の体質はもともと自民党とのなれあい政治にあったが、その革新的ポーズに多くの労働者・国民の期待感があったことも事実である。それだけにこの4年間の変質と裏切りはゆるしがたいものがある。国民の支持が30%を切っている橋本政権が、やりたいほうだいをやっている大きな要因として、社民党の信じがたいような変質・裏切りにあることは明白である。消費税5%、日米ガイドライン、社会保障改悪、銀行への税金投入など、かつての自民党単独政権でもみられなかった“暴走”は、そのほとんどが村山内閣のもとで画策され強行されてきたものだ。それをエスカレートさせているのが橋本政権の実態である。
 国民は七月参院選挙でこのような政党をなくすべきである。


●みんなでがんばった行革闘争
 運動の輪が広がる

 「中央省庁等改革基本法(行革基本法)」は6月9日強行採決、成立しましたが、全厚生は多くの仲間とともに反対の運動を広げてきました。
 真の行政改革を求める国会請願署名は、1万4073名分を紹介議員を通じて国会に提出。その紹介議員も衆議院45人、参議院44人に広がりました。国会最終盤の6月4日の座り込みには、5支部13人が参加し、10支部から激励のメッセージが届きました。法案が強行採決された6月9日の参議院議員面会所集会には、統計支部9人をはじめ本省支部・本部あわせて17人が参加しました。
 国会前座り込み行動に寄せられたメッセージを紹介します。

 精研支部は、行革による研究機関の統廃合をはじめとした政府の法改悪に断固反対します。みなさん、力を集めて最後までガンバリましょう。(国立精神・神経センター精神保健研究所支部)
 中央省庁等改革基本法案反対。部屋の模様替えのような省庁再編には驚き!省庁の切り貼りにしか見えない再編は、結局省庁縄張りの測り直し?国立試験研究機関の独立行政法人化は、安易な研究職公務員の削減に繋がり、人事異動が多すぎてスムーズな連携を行えない行政部門を支えてきた、「行政を知る技術者」の育成を不可能とするものである。(国立医薬品食品衛生研究所支部大阪支所分会・四方田千佳子分会長)

 私たちの施設には、現在80数名の中途失明者があん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師の資格取得を目指して寮生活を送りながら、日夜訓練に励んでいます。彼らは家庭を抱え、また糖尿病やベーチェット病、聴覚障害とも闘いながら必死に一日も早い社会復帰を目指しているのです。こんな彼らに対して専門的な技術の指導や点字の指導、さらには歩行訓練等個人に対応しなければならず、とても職員が足りません。また彼らには時間がないのです。こんな彼らの社会復帰を国が援護せずに、一体誰が援護するのでしょうか。また視覚障害者の職域開拓・拡大について、今後より一層の研究・実践が求められています。こんなことが民間になってできるでしょうか。答えは一つ「ノー」です。国が率先してやらなければいけないのです。私たちは数合わせだけの「橋本ニセ行革」に断固反対し、国民の特に社会的弱者の立場に立った行政サービスの現実のために闘い続けます。(国立福岡視力障害センター支部)

 その他、静岡県・香川県・愛媛県・神戸の各支部から寄せられました。


●バーベキュー交流
 青年部女性部が大奮闘=業務センター

 5月30日に業務センター支部青年部・女性部主催でバーベキュー大会を立川の昭和記念公園で開催し、23人が参加しました。普段、つながりがなく話をしたことがない先輩方や後輩たちと楽しく会話することができました。意外に包丁さばきが上手い人や子ども好きな人もいて、いつもとは違う一面を見ることができました。IさんKさんのつくった焼きそばは最高でした。
 今回、青年部・女性部では、組合員の交流を図るためにこのような催しを行いました。実行委員会も久しぶりの催しだったこともあって、事前準備不足など反省点も多くありましたが、バーベキューが終わってから「土曜日はいつも寝て過ごしている。充実して良かった」「とても楽しかった。大成功でしたね」という声を聞くことができてとても嬉しかったです。
 今後もどんどんこのような催しを行いたいと思います。次回はもっと多くの組合員さんに参加してもらいたいと思っています。(三野島秀樹)


●新ガイドライン立法許すな!−1−
 アメリカの戦争に自動的に参戦

 悪法が目白押しの今国会には、昨年9月にアメリカと合意した新しい日米軍事協力指針(新ガイドライン)の実行を法制的に支えるための「周辺事態措置法案」などが出されています。
 新ガイドラインは、アジア・太平洋地域での軍事的、経済的な覇権の確立をめざすアメリカの要求にこたえ、日米安保条約を、この地域での軍事干渉のための軍事同盟へと、あからさまに衣替えすることをめざしたものです。今回の法案はこのガイドラインでの対米誓約を忠実に法制化し、アメリカの戦争と軍事干渉に、日本が自ら参戦するための法案であり、まさに「アメリカ有事」での自動参戦法案ともいうべきものです。
 法案に盛り込まれている対米協力は、多岐にわたっています。戦争を行っている米軍への後方での物資の補給や輸送。他国の領海にも入り込んで行う米兵の救助。米軍の作戦を支援するための公海上での船舶臨検。いずれも必要な場合は武器を使用することができるのです。さらに、民間の空港や港湾の施設も提供する、などです。
 これらは、だれが考えても米軍の戦争に協力する戦争行為そのものです。ところが、政府は「武力による威嚇、武力の行使ではない」といいはり、憲法の枠内だといいます。
 こうした異論の根源は、新ガイドラインそのものが、米軍の軍事行動に、日本がひたすら協力するための体制づくりだ、ということにあります。
 アジア・太平洋地域で米軍が行動する場合に、従来は「計画から除外する」しかなかった自衛隊と日本の協力を「計画に組み込める」ようにする、これが新ガイドラインの特徴です。その仕掛けを政治的に保障するものが、ガイドラインの法制化、つまり今回の法案なのです。
 まさに、米軍の行動にあわせて日本が協力する「アメリカ有事参戦法」にほかなりません。常識を超えた暴論は、日本が常に米国の動きに対応できるようにしておくところからくるものです。戦争か平和かという国の命運がかかわる問題について、主権国家としての判断を放棄し、アメリカの求めるままにアメリカの戦争に参戦しようというものであり、憲法は戦後史上かつてないきびしい事態にさらされています。(つづく)
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