◆第1405号(1998年6月5日付)◆
●つぶせ行革基本法案
廃案にするまでたたかいぬこう

 橋本内閣は、6月1日の参議院行財政改革・税制特別委員会で国民生活を切り捨てる重大な問題をもつ「行革基本法案」の趣旨説明を強行し、今通常国会での強行成立をねらう策動を強めています。いま国会は、橋本内閣の命運をかけた最重要法案として位置づけられている「行革基本法案」をめぐって、緊迫の度を強めながら最大の山場を迎えています。

国民犠牲許さない−政・官・財の癒着断ち切れ−
 行政改革を求める国民世論は、厚生省や大蔵省汚職に代表される行政と企業の癒着に対する不信から大きく広がりました。かつて、政治改革が叫ばれたときも政界と財界の癒着に対する怒りが「政治を改革せよ」の国民世論に発展しました。しかしこのときは、小選挙区制や政党助成金制度の導入に矮小化され、政治改革の根本を正さないままうやむやにされました。今回もまた、行政改革を省庁再編や公務員減らしに矮小化させ国民世論を煙に巻こうとしています。
 国民が求めている行政改革は、何よりも、政・官・財の癒着を無くし公平・公正な政治と行政を実現することにあります。しかし政府は、内閣の機能を強化し、よりいっそう強権的な政治が行える仕組みをつくり、一方で国民生活関連分野を極限まで縮小しようとしています。
 この間の審議を通じて、(1)首相の権限を強化しトップダウンによる政治・行政の体制をつくろうとしていること、(2)公共事業の七割を所管する巨大官庁を創設し癒着の温床と言われるゼネコン奉仕型の公共事業に引き続き税金をつぎもうとしていること、(3)4.1%にものぼる戦後最悪な失業の事態に目を向けず労働行政と社会保障行政を縮小しようとしていること、(4)独立行政法人制度を創設することによって、地震対策や感染症対策など国にしかできない研究で国の責任を放棄し国民の期待を裏切ろうとしていること、などが明らかになっています。
 とりわけ、首相権限の強化は、新ガイドラインによる自動参戦体制をより強化することにつながることは明らかです。改革すべき根本問題である政・官・財の癒着に一切手を着けず、一方的に国民生活を切り捨て、国民を危険に導く「行革基本法」は、どうしても廃案にしなければなりません。

紹介議員増える−欠陥法案であるのは明らか−
 この間国公労連は、連日国会議面集会を開催すると同時に国会議員への要請行動を粘り強く展開しています。全厚生も独自の行動として参議院国民福祉委員会に所属する議員への要請行動を積極的に取り組んできました。国会議員への要請行動では、「『行革基本法』には問題がある」「独立行政法人はわけがわからない」などと答える議員(対応はほとんど秘書です)は、自民党でも少なくありません。また、社民党に至っては政権与党離脱前から「全面的に賛成ではない」とする見解も表明されており、8名が私たちの「行革署名」の紹介議員となっています。さらに、公明や二院クラブ、改革クラブなどで紹介議員になれない場合でも「趣旨には賛同出来る」との答えも多くかえってきています。
 こうした積極的な行動を通じて、自民党や社民党議員を含め、44名の参議院議員が私たちの「行革署名」の紹介議員となっていますが、こうした前進的な成果からも、「行革基本法」は政府・与党内でさえも一致していない欠陥法案であることは明らかです。
 参議院は、衆議院と異なり自民党が過半数割れしている状況にあり、廃案に追い込むことは十分可能です。
 この間明らかになった問題点をさらに一回り二回りと広げ、廃案に追い込むまで、あらゆる悪法に反対してたたかう広範な労働者・国民とともに全力で奮闘しましょう。


●働きつづけられる制度に
 人事院が新再任用で意見の申出

 5月13日、人事院は、国会と内閣に対して「新たな再任用制度を導入するための国家公務員法等の改正に関する意見の申出」を行いました。
 意見の申出の内容は、(1)意欲・能力のある者は1年ごとに定員内の公務員として任期を更新し、雇用(2)給与水準は、年収で四級370万円、五級400万円、六級440万円程度(3)特別給は、2.5カ月(期末手当1.9カ月、勤勉手当0.6カ月)(4)通勤手当については、勤務日数の少ない職種については調整する、などです。
 人事院は、2001年4月から年金支給開始年齢が段階的に引き上げられ、最終的に65歳になることに対応する施策として新再任用制度の検討を進めてきたもので、2001年4月から実施するとしています。
 今回の申出は、(1)希望者全員の雇用が保障されていない(2)定年延長ではなく1年ごとに雇用契約を更新するもので身分が不安定(3)定員内の職員として一般職員の定員枠を使うことになる(4)特別給を含めた年間の給与水準が極めて低額であるなどの問題点があります。
 今後、定年延長を求めるとともに、年金受給年齢まで安定して働き続けられる制度めざして、要求していきます。また、年金制度改善を求めていきます。


●核実験を強行=パキスタンに抗議
 5月28日、パキスタンが核実験を強行しました。これは、先に核実験を強行したインドに対抗するものとしていますが、このことを許せば核抑止力論による際限のない核軍拡がすすめられるおそれがあり、到底許し難い暴挙と言わざるを得ません。全厚生は、世界平和や核兵器廃絶を求めて運動を進めてきた労働組合として、パキスタン大使館に抗議文を送りました。


●アメリカの戦争に国民が協力
 新ガイドライン有事立法反対

 今国会に提出されている、アメリカの戦争に日本が参加していくための法案(「周辺事態法案」、自衛隊法「改正」案、「日米物品役務相互提供協定(ACSA)」の改定案)に反対の声が広がっています。これは、政府や自衛隊だけでなく一般国民も戦争に協力させようという危険な内容で、アメリカの戦争に協力・参戦していくことを取り決めた新ガイドライン(新「日米防衛協力のための指針」)を実行できるようにするためのものです。
 5月14日、「新ガイドラインとその有事法制化に反対する」国民連絡会が結成され、その宣伝・署名行動が、5月28日、新宿駅西口で行われ、100人が参加。全厚生からも参加しました。
 新ガイドライン3法案は臨時国会で本格審議に入るとされ、夏から秋のたたかいが重要です。


●福祉職俸給表を提案
 人事院が勧告に向け検討

 人事院は6月1日、国公労連に対し、福祉職俸給表にかかわって、「現時点で考えている骨格」を提案してきました。
 福祉職俸給表(仮称)の背景について人事院は、高齢化社会の到来、核家族化の進行、女性の社会進出の増大等により、社会福祉の対象とされている老人、障害者、児童等を取り巻く家庭環境は大きく変化している。そのような変化の中において、質量両面でのマンパワーの確保が重要な課題と認識され、介護福祉士等の資格制度の導入などそのための諸施策が進行しているとともに、福祉ニーズを取り巻く高度化に対応して福祉職種の職務内容も複雑化・高度化等の状況にある。そのような状況を踏まえ、福祉職に関し専門職としての職務の特性にマッチした体系のある俸給表を設け、これらの職員についてよりいっそう適正な処遇の確保を図ることが必要と考え検討してきたとしています。
適用範囲
 (1)社会福祉の専門的知識、技術をもって(2)自己の判断に基づき独立して(3)老人、児童、心身障害者等、ハンディキャップを負っているものに対し、援護、育成、更生のための指導、訓練、身体介護等の対人サービスを行うものであること。
 具体的には、国の社会福祉施設等に勤務する指導員、保母、介護員(寮母)等が該当する。(専門知識や技術、資格内容など詳細は不明)

給与水準
 行政職俸給表(一)の水準(俸給月額)をベースとし、初任給等入口部分は一定程度高く設定する。俸給カーブは高原型。
 初任給は当初から専門的な職務に従事する福祉職員にふさわしく、大卒指導員で2〜3%程度、短大卒保母で5〜6%程度高めの水準とする。

級別構成等
 六級制の簡素な級構成とする。行政職俸給表(一)の一級から九級までに対応する級を一部統合して再編。行(一)との対応関係は、一級(行政職俸給表(一)の一、二級を統合)二級(同三、四級を統合)三級(同五級相当)四級(同六、七級を統合)五級(同八級相当)六級(同九級相当)。
 人事院は、今後組合の意見を聞きつつ、勧告に向けて検討していきたい。人事院としては、6月中に骨格を固めたいので、速やかに意見を聞きたいとしています。


●女性の労働条件の改善を
 社会保険庁と女性部が懇談

 全厚生女性部は、5月22日、社会保険庁と懇談しました。
 全厚生は、女性部の八木・根津両副部長、谷口幹事、山本・杉崎両中執、業務センターと静岡・愛知・岐阜・京都・香川の各県支部の代表あわせて十六人が参加。社会保険庁からは総務課三枝調査官と佐々木職員班長が対応しました。
 はじめに、「労働福祉省」創設に伴い職員の身分・労働条件等の改悪にならないよう万全の対策を講ずること。省庁再編・独立行政法人化の問題については、労働組合に情報を提供し、十分な協議を行うこと。機関委任事務及び地方事務官廃止後の組織機構・労働条件等に関する考え方を明らかにすることを申し入れました。
 調査官は、行革基本法案は、現在国会で審議中であり、法案の推移を見守りたい。情報については、適宜提供したいと回答。参加者からは、「岐阜のレセプト点検事務センターの設置に十分な準備期間がなく職場が大変混乱した経緯がある。今後、早い情報提供と十分な協議を」「省庁再編は政府の言いなりでいいのか。社会保障に責任をもてるよう主張すべきだ。機関委任事務廃止後の労働条件等について早く明らかにすべき」と迫りました。
 昇任・昇格については、業務センターが同期入省者の女性が五級で男性が七級という現実を示し、五級・六級昇格での格差是正を求めました。また、各県支部から、六級双子・七級枠外の解消と女性を積極的に登用することを求めました。
 採用にあたっては女性職員を積極的に採用するよう、面接時の体験など具体的な事例も示し改善を求めました。
 セクハラについては、せめて人事院が出したリーフレットを全職員に配布するよう求めました。
 育児休業・介護休暇の制度改善要求の他、今年4月から男性が育児時間を取得できるようになったことについて、職場に徹底し、取得しやすい職場環境を作るよう求めました。


●橋本ニセ行革反対
 大蔵委員長迎え学習会=香川

 香川県支部は5月15日、大倉委員長を講師に支部学習会を開催。大倉委員長は、国民を苦しめる悪政、橋本内閣と連立与党が何を行ってきたかについて話しました。
 消費税5%・医療保険の改悪・大規模小売店舗法廃止・省庁再編法案・労基法改悪案・財政構造改革法・銀行への30兆円投入・農産物価格の引き下げと減反の強要・競争教育の継続と管理強化・教育予算の連続削減・サッカーくじ導入・補正予算など数え上げればきりがなく、とても2時間程度で語りつくせない状況が進行しています。
 あいつぐ悪政の中で、国民の怒りはこれまでになく高揚していること。労基法改悪では連合組合員の怒り、医療改悪では医療団体・患者の怒り、教育危機の中での子どもたちの怒り・・。国民の中でうず巻いている怒りを組織し、国民的な運動にしていけば、無法政治は阻止できる。とりわけ参議院選挙で橋本内閣・自民党と連立与党への痛烈な審判を下すことが大切だと強調しました。
 また、高野書記を講師に国公共済会の普及のための制度の主旨・他制度との比較などについて学習しました。


●元全厚生委員長篠崎信男さんが死去
 元全厚生委員長(元人口問題研究所所長)の篠崎信男さんが、5月17日、心不全のため死去されました。83歳でした。
 篠崎さんは、1946年の全厚生(厚生省職員組合)結成に参画され、1950年、1954年には委員長として活躍されました。また、1986年に結成した全厚生OB会では、初代会長として今年1月まで13年間にわたって活動され、全厚生運動にたいしてさまざまな指導・助言をいただきました。心よりごめいふくをお祈りいたします。なお、告別式には大倉委員長、加藤副委員長が参列しました。

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