◆第1404号(1998年5月25日付)◆
●労基法改悪案今国会見送り
 私たちの運動で成立を断念させる

 労働基準法改悪法案は、今国会での成立が困難になり、継続審議となる見込みです。ここまで追い込んだのは、ねばり強い運動があったからで、私たちのたたかいの成果です。
 この労基法改悪法案は、中央労働基準審議会で、労働者側委員の反対の意見があったにもかかわらず、法案作成し今国会に提出されたもので、裁量労働制や変形労働制の拡大、3年間の有期雇用契約の導入など、1日8時間労働制を解体し、労働者をボロ雑巾のように使い捨てる悪名高い法案です。
 労働大臣は「自由な働き方を労働者も希望している」と国会で答弁していますが、テレビの「派遣会社」の広告と同様のまやかしであることは、実際に働いている労働者自身が身に染みてわかっています。
 それゆえ、全労連、連合、全労協といった各労働組合がひとつとなって労基法改悪に反対し、衆議院で継続審議に持ち込みました。
 各職場からの反対署名、「一言ハガキ行動」4月の中央行動、メーデー、5月になって連日の「国会前座り込み」、「議員要請」、「国会請願デモ」とまさに体を張って止めたものです。
 しかし、この衆議院「継続審議」にとどまることが曲者で、今国会で参議院へ送った場合、廃案になる可能性があるため、政府として、このことをおそれた周到な計算も感じられます。
 労基法改悪法案は、衆議院労働委員会の参考人質疑も終わっており、いつでも採決できる状態です。臨時国会は参議院選挙後すぐに開かれ、「継続審議で気を緩めているすきに、いつの間にか通ってしまった」ということのないように、引き続き廃案に向けて運動を強めることが大切です。
「人間らしく働く」この当たり前のことを守るルールを確立するために、これからもこの法案の息の根を止めるまでがんばりましょう。

全国の仲間の闘いの成果=業務センター・根津章子
 5月19日、労基法改悪法案が国会審議の山場をむかえるとあって、国会前には多数の仲間が座り込みに参加しました。10時半、委員長提案の修正案を示すことが不可能となり労働委員会が流会になったことを知り、全国の仲間の闘いの成果がそうさせたのだと確信しました。公務員が昼も夜中も土日も働いていることが信じられないという話、子どもがいる家庭でもその多くが母子家庭同然という実態。何時間働いても「八時間」とみなされ残業代なしのただ働きを強いられる裁量労働制の導入など働く者の権利が奪われる改悪法案には絶対反対です。
 人間らしく働くことのできるルールを確立すること、男女共総労働時間を規制することが大事だと思っています。

真剣に声をあげて走ったデモ=人口研・三田房美
 「人口研昼デモ隊」の常連は三役+ビジョ5人で構成されています。自分たちのできる範囲で無理なく長期戦で闘う姿勢です。しかし、5月の国会請願デモは、色々な取り組みと重なって、少数精鋭(?)、こんなに真剣に小走りし、声を張り上げた昼デモははじめての経験でした。みんなで「労基法」改悪法案の廃案!に向けて、新たな気持ちでがんばる決意です。「組合」の意義が問われている今、この闘いのエネルギーが「目に見える成果」につながったと信じています。

健康で人間らしく働きたい=中執・八木晴美
 連日深夜に及ぶサービス残業漬けの職場実態を無視し、低賃金の使い捨て労働者を作る労働法制改悪案は、私たちの運動で廃案に追い込みましょう。皆が本気で“NO!”と言えば、社会は変わります。健康で人間らしく働き続けられる職場の実現を目指して、自分らしく頑張りたい。

男女共に時間外労働規制を=業務センター・清水美穂
 5月19日、「労基法」改悪断固反対の意思表示をすべく、全労連主催の国会前座り込み行動に、支部を代表して、支部長とともに参加してきました。今国会に提出された労基法改悪案は、女子保護規定の撤廃に伴って、国会で付帯決議された「男女共通の時間外労働」等の規制に、法的強制力がなく、深夜労働は何の規制もされていません。男女労働者が、健康で家庭責任との調和をはかりながら働き続けられる労働法制の確立を求め、運動を盛り上げていきたいと思います。

この感動を今度は廃案で=感染研・小浦美奈子
 まさに「地道な積み重ね」の成果。けれど積み重ねているだけの時って苦しいし、空しいこともあるよね。でも心配しているだけ、文句を言っているだけじゃダメで、行動に表さなきゃってことも分かってる。そこで今回は一回だけですが国会前の座り込みに参加しました。
 その頃から雰囲気が変わったんだよなんて言われて、なんだか自分が大きな転換に加われたような気がしちゃったりして(本部の誘導かも・・)不思議でしたし、結果を見て感動しました。この感動を今度は廃案で味わいたい!



●昇給延伸53歳、停止55歳に
 人事院が来年4月実施の意向

 5月27日、人事院は、国公労連に対し、春闘時に表明していた「昇給制度の仕組み」の見直し検討にかかわって、高齢職員の昇給延伸・停止措置を見直したい意向を表明しました。
 提案内容は、(1)昇給延伸を現在の56歳から53歳に、昇給停止年齢を現在の58歳から55歳とする(2)実施は、平成11年4月というもの。
 提案の趣旨は、民間の給与体系では、年齢・勤続など年功要素を縮小して能力・実績に応じたものに見直しを進めている。民間は50〜54歳で延伸、55歳で停止が多数あり、それらを考慮し、高齢層の抑制が必要。今後、各省庁、職員団体と6月いっぱい話し合い、できるだけ早期に成案を得たい、としています。
 全厚生は、国公労働者全体にかけられた攻撃であり、国公労連を中心に、単純な官民比較だけで良いのかどうかも含め、討議するとともに、人勧期に向けて必要な取り組みを実施していきます。


●声をあげよう、行動しよう!みんなで変えよう職場とくらし
  第28回国公女性交流集会

 5月23日、横浜市みなとみらい21にあるパシフィコ横浜会議センターで第28回国公女性交流集会が開かれ、47都道府県665人が参加しました。全厚生からは、地元神奈川県支部から女性11人と、要員として奮闘した男性5人をはじめ、各支部から総勢35人が参加しました。
 今年の交流集会は、労基法改悪案や行革基本法案が国会闘争真っ最中だったため、前日の22日には、国会行動や決起集会に参加するなど、たたかいと一体となった交流集会となりました。
 交流集会で国公労連女性協の伍議長は、労基法改悪案は短くなった導火線に火がついたままのバクダン状態での継続審議だが、今国会での成立を困難にしたことは、私たちの運動の成果だ。お互いのがんばりをねぎらい、この喜びをエネルギーにして、参議院選挙で、労基法改悪に反対する勢力を勝利させ、次の国会で廃案に追い込みましょうと呼びかけました。
 記念講演は、埼玉大学名誉教授の暉峻淑子さんが、税金、医療、新ガイドライン有事立法、働き方、教育などで、政府と国民との矛盾について話しました。国家公務員時代の労働実態やドイツ留学時の一人ひとりを大切にする小学校教育の話など、具体的な事例を紹介しての話に、「日本の政治を大きく変えなければと考えさせられた」との感想も寄せられました。
 また、神奈川の米軍基地問題のビデオが上映された他、全医労の二交代制のたたかいなどが報告されました。

※5月22日、参議院本会議を傍聴した全厚生女性部の2人の感想を紹介します。
こういう所で日本が決まる=香川県・半田孝美
 22日の参議院本会議では、中央省庁改革基本法案の趣旨説明と質疑が行われていました。私が傍聴したのは、後半の各党からの質疑と首相の答弁でした。
 初めて国会の中に入って、見る物見る者めずらしく、こういう所で日本の国が決まっていくのかとつくづく実感。
 空席のめだつ議員席からは、他党への「ヤジ」、橋本首相の答弁は、中身があるような、無いような、よどみない口調。
「百聞は一見にしかず」とてもよい体験をさせていただきました。

抽象的な話で聞いてて苦痛=愛知県・高松佳代子
 傍聴までに、傍聴カードの確認、金属探知器の通過、鞄の中の点検、荷物をロッカーに入れるなど一時間ぐらいかかりやっと傍聴した。傍聴席では堅い椅子に座り、上着の着脱は許されず、警備員の監視が厳しかった。
 審議は各議員が法案に対して、弁論大会の弁士のように意見を言い、総理大臣及び法務大臣が答弁した。議員も両大臣いずれも抽象的なものの言い方をするだけで、具体性に欠け、聞いていて非常に苦痛であった。大事な審議なのに十数人の欠席議員、そして汚い野次、初めての傍聴は期待はずれであった。


●賃金、昇格、宿日直改善を
 国立施設管理室と交渉

 全厚生は、5月18日、厚生省社会援護局国立施設管理室と交渉しました。全厚生からは、加藤・鈴木両副委員長、岡野書記長、野満・永吉両中執はじめ、社会福祉各支部から九人が参加。管理室からは三枝室長、北本補佐他4人が対応しました。
 交渉では、(1)賃金(2)行政改革(3)福祉職俸給表(4)宿日直制度(5)施設機能の拡充・強化(6)昇格(7)調整額・諸手当(8)増員等(9)人事異動(10)職員宿舎(11)医師の研究日等の事項について、職場の実態を示しながら解決を求めました。一定の理解が得られ、多少の改善が図られたものもありましたが、全般的には前進した回答は得られませんでした。今後の交渉継続と懸案事項の解決に向け双方ともに努力することを約束し終了しました。
 交渉に先立ち、5月17日、社会福祉支部代表者会議を開催しました。
 加藤副委員長が行政改革基本法案等をめぐる動き等を報告したのをはじめ、宿日直の問題点、白書、組織活動、次期役員体制、交渉について討議しました。会議では、(1)各支部が次の会議に入所者宿舎体制のあるべき姿について持ち寄る(2)行革署名の集約(3)白書の推進(4)次期役員の立候補(5)事務局への集中などを確認しました。(鈴木副委員長)

●核兵器の廃絶を・原水爆禁止四国大会=香川
 5月9日、10日と2日間にわたって高知県で行われた、第44回原水爆禁止四国大会に参加しました。四国大会は、地方で開かれる原水爆禁止の唯一の大会です。
 初日の福祉交流プラザには、420人が参加し、四国各県の報告、長崎原爆松谷訴訟団の訴え、「核兵器のない21世紀をめざして」と題する記念講演等が行われました。
 2日目は、早明浦ダム上流へ1994年に低空飛行訓練中の米軍戦闘機の墜落事故を知らせるモニュメントを見学した後、早明浦ダム堰堤下の広場に移って閉会総会を行い、本山役場まで、約1時間、まわりの人達に声をかけながらの平和行進が行われました。
 翌日の11日には、インドの核実験の残念なニュースが大きく報道されましたが、この2日間を通じて、核兵器の全面禁止・廃絶、そしてそれを実現するための取り組み行動の大切さを改めて感じました。(香川県・秋田伸隆)
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