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◆号外 (2011年1月25日付)◆
2011春闘方針(案)
全厚生第52回中央委員会議案
[1]国民春闘で前進を

1.労働者・国民に背をむける政治変えよう

 民主党政権は、政権交替のマニュフェストを棚上げし、内部抗争に明け暮れています。政局の混迷状態は、国民の期待を裏切る政権党の姿をさらけ出したものです。こうした状況に対し、貧困と格差をなくし、雇用を守り、社会保障・社会福祉を拡充させる要求闘争が全国でたたかわれています。労働者・国民の怒りは、現実政治をつき動かしています。このエネルギーは、社会のあり方を根本から変える力となっています。真に国民が主人公の政治を実現させるため大事業は、政権交代後も着実に続いています。2011春闘は、政治を人間らしく生き、働くために、政治の中味をかえる絶好の機会です。

2.社会保障を拡充させるたたかいの先頭にたつ

 社会保障費の削減や制度の解体路線は、民主党政権の下で事実上、継承されています。春闘は、安心できる社会保障制度のあり方にとっても、重要な対決点を迎えます。菅内閣は、「社会保障改革の推進」のためと称して、消費税増税を含む税制の抜本改革の方向性を2011年半ばまでに作成する構えです。大企業減税をすすめながら、財源不足を消費税でまかなうために、社会保障改革をターゲットにしています。後期高齢者医療制度に代わる新制度の設立、介護保険法の改定は、通常国会での重要な焦点です。障害者の願いに応える障害者基本法の改定をめざす課題も重要です。老後が安心できる公的年金制度の確立は、国民的な重要課題です。この春闘で、憲法25条を活かす社会保障制度の実現をめざして奮闘することが大切です。

3.不当解雇撤回は、労働運動の最前線のたたかい

 雇用を守るたたかいを前進させる、この春闘の重要な課題です。旧社会保険庁職員の不当解雇撤回闘争は、2年目を迎えます。2月から順次、人事院の公開での口頭審理が始まります。これは、道理なき解雇の真実を明らかにし、不当処分の取り消しを迫る重要な取り組みです。また、昨年末、日本航空は、パイロットと客室乗務員165人を解雇しました。整理解雇の4要件を蹂躙し、解雇を強行したのです。すでに「不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議」が結成され、不当解雇撤回のたたかいが開始されています。このたたかいは、空の安全を守るたたかいでもあります。老後が安心できる年金制度の確立をめざす全厚生とは、ともに安心・安全を守る労働者の誇りをかけた闘争として、勝利のために連帯して奮闘します。

4.公務員労働者の賃下げ・権利侵害を許さないたたかいの重要性

 公務員労働者の労働条件や権利の根本が問われる重要な局面を迎えます。政府は、国家公務員の賃金引き下げを狙う攻撃を強めているからです。現行制度によらない「賃金引き下げ」法案の閣議決定は、労働基本権が制約されている下で、絶対に認められません。この攻撃は、賃金底上げ・生活改善を求めるすべての労働者に対し、春闘前段でたたかいの分断を図ろうとする政府・財界の仕掛でもあり、また地域経済にも重大な影響を与えるものです。過去に例のない賃下げ・権利侵害の攻撃に対して、公務大産別規模で統一してたたかう準備をすすめています。全厚生は、国公労連に結集し、全労働者・国民的課題として、公務員労働者の賃下げ・権利侵害を許さないたたかいに全力で取り組みます。

5.国民春闘として、たたかう

 春闘は、日常活動を基礎にして、労働者・労働組合が心一つにして、要求を前進させるたたかいです。全厚生、そして全ての支部で、要求を高らかに掲げ、今年の春闘を次の基本方針で前進させます。

(1)労働組合として原点の運動をやろう!
 労働組合の原点は何か、それは、「団結する」ことです。労働者がバラバラに置かれた状態では、使用者と対等の関係になれません。労働者が賃金・労働条件を良くして、安心して働き続けるためには、労働者は団結する以外にありません。この春闘は、改めて「団結して、たたかう」ことに集中して取り組みます。すべての支部で、この春闘を全力でたたかい、「たたかうすばらしさ」を実感しよう!

(2)組織強化・拡大を春闘の中心課題に
 組織強化・拡大は、労働組合の最も重要な課題です。全厚生は昨年の定期大会で、「この課題は待ったなし、正念場の課題」と位置づけました。大会後、直ちに組織強化・拡大推進委員会を設置し、すべての職場での対話をすすめ、歴史的かつ貴重な成果をつくってきました。労働組合への期待に応え、組織強化・拡大の取り組みを全支部で、大きなうねりにするために全力を尽くします。非常勤職員の労働条件の改善をめざし、新しい仲間を迎え入れます。

(3)すべての支部で要求闘争の前進をめざす
 要求づくりは、労働組合の出発点であり、要求こそ命です。この春闘では、すべての支部で要求書を提出します。本部・支部一体で、昨年秋に行った交渉の到達点にたち、団体交渉の実現で、粘り強く要求前進をめざします。

(4)国民春闘の中で、共同と支援の輪を広げよう
 国民・労働者が切実な要求を掲げてたたかうのが国民春闘です。職場を基礎に、統一と団結を重視して、この期間を集中してたたかいます。産別運動では、国公労連の春闘方針に結集します。すべての労働者を視野に入れ、官民一体での国民春闘に結集します。職場の仲間と対話をすすめ、みんなの共感を得ながら、組合員を主人公にした取り組みをすすめ、元気にたたかう春闘をつくります。

[2]組織強化・拡大の取り組み―みんなの力で前進させよう

1.定期大会以降の取り組み

 第74回定期大会において全厚生は職場要求の前進と労働条件改善のため、組織拡大を運動の大きな柱として確認しました。こうした中で各支部は、(1)毎日少なくとも一人に声をかける。良かった・困った経験を集めQ&Aを作成、(2)ランチで職場の話を聞きながら加入の声をかける、(3)加入申込書に一言欄を作るなど、支部独自の取り組みを工夫し、大会以降(12月末現在)70人を超える仲間を拡大しました。職場の仲間に対話し、声をかける中での様々な意見、声が寄せられています。

(様々な意見・声)
(1)組合加入の声をかけてもらうのを待っている人が多い
(2)快く入ってくれる人が多い
(3)声をかけても加入しないと決めつけていたが間違いだった
(4)拡大することで頑張る元気が出てきた
(5)声掛けをするために、自分自身で組合のことを学習した
 
 職場では、多くの仲間が組合加入の声をかけられるのを待っていることが示されました。さらに、組織拡大に一歩を踏み出し取り組むことで、職場の実態が見え、職場要求の取り組みの方向性が見てきました。これらの内容が、支部役員の共通した感想として寄せられています。その一方で、声掛けしたいがどのように声をかけてよいかわからないなどの意見も出てます。
 2011春闘では、これまでの取り組みの経験に確信をもち、悩みも率直に出し合う中で、本部として各支部の疑問にも答え、すべての支部で、要求前進のために組織拡大の取り組みができるように運動を提起します。

2.組織強化・拡大を前進させる基本方針

(1)目標
(1)要求前進のために組織拡大が重要な役割であることを確信する
(2)第75回定期大会までに500人の加入拡大(74回定期大会で確認した方針)
(3)すべての職場で過半数を組織することを目指す

(2)本部役員の役割
(1)本部役員が率先して職場で声掛けをする
(2)支部執行部の運動の中での悩み、疑問に答える
(3)本部役員が労働組合の役割、重要性について学習し、深め合う
(4)各支部執行委員会で、講師となって学習会や情勢報告を行う
(5)本部役員それぞれが、組織拡大の具体化を追求する

(3)支部(協議会・分会)の取り組み
(1)支部執行委員会で組織拡大の方針を確認する
(2)執行委員会では、すべての支部で一歩踏み出すために、「何ができるか」を討議する
(3)支部の実態を踏まえた独自の取り組みを議論し、「できること」から着手する
(4)組合加入グッズ、掲示板を有効活用し、ポスター等を張り出す
(5)支部機関紙を発行、すべての機関紙を遅延なく配布する
(6)運動に確信を持つために執行部学習会を開催する
(7)新規採用職員歓迎会・レクレーションなどを開催し、加入拡大に結びつける
(8)役員が先頭になり職場の身近な人からはじめ、積極的に声をかける

3.こんなことを伝えていこう

 組織拡大の取り組みを進めていくためには、様々な角度から、労働組合の役割やメリットを対象者に伝えていくことが重要です。次のような内容を参考に声掛けを行います。また、今春闘では、本部として本部役員を、要求前進・組織拡大に向けた支部執行部学習会に講師派遣をします。各支部は、学習会を積極的に開催します。

(1)労働組合の役割は?
○「あなたが加入することで一歩要求前進します」と語りかけよう。
 要求実現、頼りになる労働組合を作り上げていくには、職場の多くの仲間が組合に結集していくことが求められています。とりわけ、非公務員型の職場では、労働基準法が適用されるため、職場で過半数を組織することは、要求実現のためには大変重要です。
○全厚生・各支部のたたかいの歴史を学び伝えよう
 今の労働条件が当たり前のように見えますが、労働組合の長いたたかいの中で勝ち取ってきた労働条件がたくさんあります。運動の歴史をしっかり学び、確信をもって伝えていくことが重要です。
○「労働組合があることで当局が民主的運営をしている」「管理者の横暴を押さえ込む役割を発揮している」と伝えよう。
 労働組合がない民間企業では、「社長の気に入らない労働者を一方的に解雇・差別するなどワンマンな会社運営やセクハラ・パワハラが当たり前のように横行している」との実態が県労連などに報告されています。見えにくいかもしれませんが、職場に労働組合があることで、管理者の横暴を抑え込むことができています。

(2)労働組合のメリットは?
 何と言っても「団結できる」ことです。一人ではできないことも多くの仲間の力を結集して、団結することで要求が前進します。組合員の意見・要求をまとめ、労働条件改善を当局に要求することができます。
○団体交渉で職場実態を明らかにし、要求実現を求めることができます。
○労働者の代表として、労働条件、雇用期間等の疑問・不安について当局に確認することができます。
○昇任・昇格、人事異動などで、一人だけ不利益をこうむることはなく守られます。
○レクレーションも魅力です。新採歓迎、交流集会、キャンプ、スキーなどのレクレーションを通じて、多くの仲間と知り合い・語り合うなどの交流ができます。また、そこで知り合った仲間と仕事の事などで意見交換・相談ができます。
○団体取扱いになるので民間生命保険等の保険料が割引になります。
○安い掛け金で自主運営する国公共済会に加入することができます。
○労働組合として労働金庫と提携すれば、様々な特典があります。

 給与の口座振替・・・手数料のキャッシュバック(1月‐10回)
 マイプランカード・・・急に入用な時にすぐにキャッシング
 モバイルバンキング・・振込手数料が無料(1月‐3回)
 住宅ローン(変動金利)・最大引下げ 0・85%
○何より大切なことは、組合行事に積極的に参加することで色々なことを体験できます。

(3)全厚生労働組合はどんな組織か!
 少数でも要求実現に向けて、十分な役割発揮が可能です。頼りになる労働組合であることに確信をもって、伝えていくことが大切です。
○本省、試験研究機関、福祉施設、年金機構、健保協会など、様々な職場の仲間が結集していることを伝えいくことが大切です。
○特定政党を支持しないことも重要なポイントです。連合系の職場で働いてきた経験のある非正規職員や、自治労職場では選挙に組合員を動員していました。要求や政策が一致すれば、対等の関係で協力・共同して、その実現をめざすというのが、政党と労働組合との正しい関係です。労働組合が、特定政党への支持を機関決定で押しつけることは、絶対にしてはならないことです。
○全厚生は、人事院に登録された職員団体です。当然、厚生労働大臣をはじめ、大臣官房や各局当局などと団体交渉を行い、直接訴えて要求実現をめざすことができます。特に、厚労省に業務運営を委託された、日本年金機構、健保協会の予算措置や労働条件改善を厚労省に直接要求ができる労働組合は、全厚生だけです。


[3]春闘で、要求実現をめざす

1.秋期年末闘争での交渉の成果を力に

 全厚生は、昨年11月から12月に人事院、施設管理室長、厚生科学課長、官房人事課長と交渉し、さらに厚生共闘の厚生労働大臣交渉を通じて大きな成果を引き出しました。

〔人事院交渉の到達点(成果)〕
 秋の人事院交渉は、昇格改善要求での交渉です。職員が誇りをもって働き続けるための根本要求であり、職務実態を正当に評価させる取り組みです。「世代間の公平性は配慮したい」と回答しており、級別定数の改定を各職種、分野ごとに引き続き、現場の実態を示し、改善を迫ることが重要です。

〔施設管理室長の到達点(成果)〕
 当局は、国立障害者リハビリテーションセンターの機能強化策が明確でないことを認めるとともに、塩原視力障害センターの要員配置等についての考え方を早急に示すことを約束しました。また、国立福祉施設を国リハに集約したことによるスケールメリットを生かした処遇改善についても可能な限り努力することを約束しました。春闘では、これらの回答を出発点に、さらに前進させる取り組みをすすめなければなりません。

〔厚生科学課長交渉の到達点(成果)〕
 当局は、国立試験研究機関は、「現在でもその状況に変化はない」と回答。国立研として、国の責任で拡充させる取り組みを強化します。2つの独立行政法人の統合等の課題では、「両法人との十分な合意形成を踏まえ進める」と回答。さらに「両法人の必要性は十分に説明したい」と回答。春闘では、独法研究所を拡充させる取り組みを一層重視します。

〔官房人事課長交渉の到達点(成果)〕
 当局は、「誇りを持って働くための基盤づくりが重要である」との認識を示すとともに、厚生労働省における心の健康を増進する取り組みが重要であること、人事評価における面談が大切であると共有できる認識を示しました。また、国立福祉施設について全体的に機能強化を図る方向であること、研究機関のあり様について「ビジョンを持ってやることには同感」との認識を示しました。春闘期の交渉においては、これらの回答を更に深めることが求められます。

〔厚生労働大臣交渉の到達点(成果)〕
大臣は、業務が重要であるが故に「労働条件改善」が重要性であるとの認識を示しました。労働条件改善の重要性を示唆する回答は、すべてに共通するものであり、今後の要求前進に重要です。

2.みんなの声をよせあった要求づくりと交渉を

 この間の激しい公務員バッシングや景気の低迷は、私たちに「要求すること」が誤りであるかのごとき認識を植えつけてきました。とりわけ賃金について、「要求するべからず」のような感覚が蔓延してきています。今年の春闘では、大いに要求を語り、深めあい、道理ある要求を掲げ、その実現を堂々と求めましょう。

(1)すべての職場で要求討議と要求確立を
 全厚生統一要求、国公労連統一要求とともに、職場実態を大いに語り、職場独自の要求をとりまとめ、所属長に要求書を提出し、その実現をめざします。そのため、1月から2月を各職場、各専門分野の要求討議と要求確立の集中期間に位置づけ、各支部・分会で職場集会や要求交流集会などを開催し要求を確認し、3月16日の一斉回答日前後の期間を回答及び交渉の集中期間とします。

(2)厚生労働省、全国健康保険協会、日本年金機構への要求提出と交渉の実施
 全厚生統一要求を中央委員会で確立し、厚生労働省に提出するとともに、全国健康保険協会本部及び日本年金機構本部に3月16日を回答指定日として春闘要求を提出し、同時に交渉を申し入れます。
 なお、全国健康保険協会及び日本年金機構の各支部・分会では、職場集会で「春闘要求」を確認し、全組合員の総意で重点要求を確立します。

3.地域における共同の取り組み
 全厚生本部及び在京支部は、中央段階及び東京における春闘共闘に積極的に参加し、すべての労働者とともに要求の実現をめざします。各地方の支部においては、都道府県及び各地域の春闘共闘に積極的に参加します。官民を問わず、広範な労働者とも要求を交流し、広範な共同による要求の実現をめざします。

[4]たたかいの旗印―実現めざす要求

《全厚生統一要求(案)》

1.賃金を月額平均10、000円、臨時・非常勤職員の時給を100円以上引き上げること。臨時・非常勤職員を始め、職場で働く労働者の最低賃金を「時給1、000円」「日額7、500円」「月額160、000円」以上に引き上げること。
 
2.組織・機構の改編にあたっては、情報を公開し、労働組合と十分協議を行うとともに、職員の身分、勤務・労働条件の後退を招かないよう、万全の措置をとること。
 
3.国民サービスの向上・充実にむけ大幅な増員を行うこと。行政ニーズ・職場実態に応じた定員を確保すること。行(二)職員の不補充政策を撤廃すること。行政サービスの後退、公共性を損なう公務の市場化や民間開放を安易に行わないこと。
 
4.超過勤務を大幅に縮減し、不払い残業を根絶すること。本省庁職場の恒常的で異常な残業実態を改善するため、勤務時間管理の徹底や、超過勤務時間の上限規制を設けるなど、実効ある対策を講じること。超過勤務した場合は、給与法に基づいて超過勤務手当を正規に支払うこと。疲労蓄積の防止、メンタルヘルス対策等、職員の健康と安全を確保すること。
 
5.社会保険庁職員の分限免職処分の撤回、雇用確保について最大限努力すること。
(1)社会保険庁の廃止にともなう不当な分限免職処分を撤回するとともに、使用者責任を果たし、安定した雇用を確保すること。
(2)被懲戒処分者の一律不採用とする閣議決定を撤回し、日本年金機構に経験と専門性ある元社会保険庁職員を正規職員として採用するよう指導すること。
(3)2年3カ月の有期雇用で採用された非常勤職員について、任期後の安定した雇用を確保すること。
 
6.日本年金機構について、国民への信頼を回復し、安定的な業務運営を行うため、業務体制を拡充し、欠員状態を早期に解消するよう厚生労働省として最大限の努力を行うこと。
 
7.国立更生援護機関の組織再編にあたって、塩原視力障害センターと伊東重度障害者センターを廃止せず、存続・拡充させること。併せて、障害者の権利保障及び障害者福祉の拡充の立場にたち、職員や利用者の意見を反映させるとともに、全厚生との充分な協議を行うこと。
 
8.組織再編等にあたって、身分・労働条件等の後退を招かないよう、万全の措置をとりこと。
 
9.塩原視力障害センターにおける就労移行支援(理療教育課程)の利用者募集を2011年度も継続させること。障害者自立支援法の廃止が決まった下で、改めて利用者のニーズに応え、入所者募集のPRを効果的・積極的にすすめること。
 
10.伊東重度障害者センターについて、利用者のニーズに積極的に応えるために、施設の役割・機能を正確に評価し、施設の拡充を図ること。当面、施設機能の維持及び安全確保のために医師の欠員補充を直ちに行うこと。また、看護師の後補充を必ず行うこと。
 
11.国立障害者リハビリテーションセンター病院の医師・看護師不足を解消するなど、サービス向上、安全確保のための体制を確保すること。
 
12.障害者自立支援法を直ちに廃止するとともに、憲法25条に基づき、応益負担を改めることを始め、障害者の願いに応える真に自立できる制度を早期に確立すること。
 
13.厚生労働省における国立試験研究機関について、医療並びに公衆衛生の向上を図り、国民の健康と福祉を向上・発展させるために引き続き、国が責任をもって運営し、独立行政法人化を行わないこと。
 
14.試験研究機関の組織再編について、労働組合に情報を公開し、職員・労働組合との合意形成に努め、一方的にすすめないこと。強権的、画一的な統廃合は行わないこと。独立行政法人国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所について、国民の命と健康を守るために、国が責任をもって拡充するよう努力すること。
 
15.国立医薬品食品衛生研究所の府中移転計画の状況及び計画の実行について、労働組合に随時、情報提供を行うこと。老朽化している現在の研究施設について、耐震設備などを含め、必要な整備を継続して行うこと。移転に伴い転居を強いられる職員のため、公務員宿舎を必要戸数確保すること。
 
16.国立保健医療科学院の研修業務体制について、公衆衛生の第1線に立つリーダーを育成するために、研修機能のみならず研究環境も充実・強化すること。各機関との協力体制を確保し、拡充を図ること。組織の見直し・再編にあたっては、当該科学院の研究者・職員が納得できるように充分な説明を早期に行うこと。また、非常勤職員も含め各職員の意向を考慮し、むやみに人員の削減を行わないこと。

17.任期付研究員について、一律的な採用拡大は行わないこと。継続的な研究業務や行政支援業務を遂行する部門は、短期雇用でなく任期のない恒常的な研究職員の配置に努めること。任期付研究員の導入は、研究部門の業務の性格や内容を十分考慮した上で行うこと。任期付研究員の任期後は、任期のない職員として採用する道を開くこと。
 
18.研究所に勤務する非常勤職員の業務や技能を適正に評価し、雇用の安定・継続を図るとともに、賃金・労働条件を改善すること。その実現のために、人件費の予算措置を計画的に行うこと。
 
19.新たな人事評価制度については、公平性・客観性・透明性・納得性を備えた職員参加、育成重視型の仕組みとし、評価結果は全面開示し、労働組合が参加する民主的な苦情処理シムテムを確立すること。評価結果を直接給与決定に反映する仕組みとしないこと。なお、人事評価制度の実施等にかかわり、全厚生との充分な協議を尽くし、合意のもとで行うこと。
 
20.非常勤職員の職務や勤務実態、経験等に対応して、処遇改善をはかること。常勤職員と同様の勤務実態にある職員については、同一労働同一賃金の原則に基づき、常勤職員と同等程度の給与を支給すること。非常勤職員の休暇等については、常勤職員と同等の制度に改善すること。当面、無休とされている休暇を有給にするとともに、夏季休暇、結婚休暇及び育児休業、介護休暇などの制度化をはかること。年次休暇や忌引き休暇、病気休暇などの取得要件を直ちに緩和すること。メンタルヘルスを含む健康管理・確保対策を充実・強化すること。期間業務職員制度の運用にあたり、安定的な雇用保障に努め、安易な雇い止めを行わないこと。
 
21.男女共同参画社会の実現をめざし、女性職員の採用と登用の拡大を積極的に推進すること。「女性職員の採用・登用拡大計画」の実効性を高めるために数値目標を各機関・部局ごとに設定させるなど、指導・徹底をはかること。
 
22.新再任用制度の趣旨を踏まえ、希望者全員の雇用を実現すること。雇用と年金の連携を図る観点から、各機関で対象職員の配置が可能となるよう最大限の努力を行い、円滑かつ公正、民主的な運営が行われるよう指導・徹底すること。また、実効ある制度とするため、定員管理のあり方を含め制度改善を行うこと。
 
23.公務における高齢期雇用の進展に併せ、職員が健康で意欲をもって働き続けられるよう、職場環境の整備に努めること。加齢により就労が困難な職種については、働き続けることができる職域を開発すること。夜勤・交代制勤務者については、高齢期において夜勤・変則勤務を免除する制度を設けること。
 
24.公務員労働者の労働基本権を回復すること。ILO勧告に沿った公務員制度改革を行い、公正・中立・民主的な公務員制度を確立すること。
 
25.医療、年金、福祉、介護制度の改悪を行わず、憲法25条にもとづき、社会福祉、社会保障の拡充をはかること。

《主な要求課題》

〔本省の主な要求課題〕
(1)超過勤務を大幅に縮減し、不払い残業を根絶すること。本省庁職場の恒常的で異常な残業実態を改善するため、勤務時間管理の徹底や、超過勤務時間の上限規制を設けるなど、実効ある対策を講じること。超過勤務した場合は、給与法に基づいて超過勤務手当を正規に支払うこと。疲労蓄積の防止、メンタルヘルス対策等、職員の健康と安全を確保すること。
(2)期間業務職員制度の運用にあたり、安定的な雇用保障に努め、安易な雇い止めを行わないこと。

〔試験研究機関の主な要求課題〕
(1)試験研究機関の組織再編について、労働組合に情報を公開し、職員・労働組合との合意形成に努め、一方的にすすめないこと。強権的、画一的な統廃合は行わないこと。独立行政法人国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所について、国民の命と健康を守るために、国が責任をもって拡充するよう努力すること。
(2)研究所に勤務する非常勤職員の業務や技能を適正に評価し、雇用の安定・継続を図るとともに、賃金・労働条件を改善すること。その実現のために、人件費の予算措置を計画的に行うこと。

〔国立福祉施設の主な要求課題〕
(1)国立更生援護機関の組織再編にあたって、塩原視力障害センターと伊東重度障害者センターを廃止せず、存続・拡充させること。併せて、障害者の権利保障及び障害者福祉の拡充の立場にたち、職員や利用者の意見を反映させるとともに、全厚生との充分な協議を行うこと。
(2)組織再編等にあたって、身分・労働条件等の後退を招かないよう、万全の措置をとること。

〔全国健康保険協会の主な要求課題〕
(1)賃金を大幅に引き上げること。
(2)賞与の支給月数を年間4月以上にすること。また、契約職員に賞与を支給すること。
(3)夏季休暇(3日)を導入すること。
(4)病気休暇の取得に当たって、1週間未満の場合は診断書を不要とすること。
(5)契約職員及び臨時職員の労働条件を改善すること。
(6)人事異動のルールについて、全厚生労働組合と協議すること。
 (1)単身赴任及び遠距離通勤(1時間半以上)について、2年を原則とすること。
 (2)人事異動に当たっては、職員の生活状況を十分考慮すること。
 (3)職員の生活状況を正確に把握するための調査は、書面及び面談によって行うこと。また、生活状況に変化が生じた場合の申告方法についても明確にすること。
〔日本年金機構の主な要求課題〕
(1)賃金を大幅に引き上げること。
(2)賞与の支給月数及び支給日について、全厚生労働組合との交渉を経て決定すること。なお、2011年度の賞与については、年間4月以上とすること。また、特定業務契約職員、アシスタント契約職員に賞与を支給すること。
(3)夏季休暇(3日)を導入すること。
(4)病気休暇を100%有給とし、取得に当たって1週間未満は診断書を不要とすること。また、インフルエンザなどの流行性疾患については、特別の措置を講ずること。
(5)看護休暇を100%有給とすること。
(6)特定業務契約職員及びアシスタント契約職員の労働条件を改善すること。
(7)人事異動のルールについて、全厚生労働組合と協議すること。
 (1)単身赴任及び遠距離通勤(1時間半以上)について、2年を原則とすること。
 (2)人事異動に当たっては、職員の生活状況を十分考慮し、画一的な人事異動は行わないこと。
 (3)「職員意向調査」は、職員の生活状況を正確に把握できるよう面談もすること。また、生活状況に変化が生じた場合の申告方法についても明確にすること。

[5]不当解雇撤回の闘いを前進させよう

 定期大会以降、各地で開始される集会等で積極的に支援を訴えてきました。「全厚生闘争団を支える会」の団体・個人会員は、徐々に増加していますがまだまだ広がっていないのが実態です。不当解雇撤回のたたかいを急速に広げ、国民的共同に発展させるため、春闘期のあらゆる行動に呼応して積極的な取り組みをすすめます。
(1)闘争団会議を拡充する
 各団体への訴えの機会やこれまでの活動経験の違いがあることから、訴えの経験や内容にそれぞれに違いが出てきています。相互の情報交換や意見交換を充実させることは、この運動を大きく広げる上でも、お互いの確信を深める上でも重要になっています。このため、当事者を中心とした闘争団会議を拡充します。
 (1)経験交流会を開催します。
 (2)人事院公開口頭審理の終了時期に闘争団代表者会議を開催します。

(2)オルグ団づくりをすすめる
 全厚生の重要課題として、改めて問題を明確にするとともに、さらに運動を広げるため、オルガナイザーの養成をすすめます。具体的には、試験研究機関や福祉施設の各支部の執行委員会や部門別会議に出席し、整理解雇後の生活や運動の実態を伝えるとともに、問題の真相と具体的な取り組みについて働きかけます。また、社会保険支部では、不服申立者のいない支部や協議会の執行委員会等で整理解雇後の生活や運動の実態を伝えるとともに、問題の真相と具体的な取り組みについて働きかけます。こうした取り組みを通じて、すべての支部に当事者を含むオルグ団づくりをすすめ、全国津々浦々への運動の拡大をめざします。
 (1)当事者のいない支部で学習会を開催します。
 (2)オルグ例等を作成し、オルグのポイントの意思統一をします。

(3)整理解雇、社会保険庁解体後を検証する
 社会保険庁解体、整理解雇の強行から1年が経過したなかで、それぞれを検証するとともに、仲間の激励となるよう集会の開催を検討します。集会では、社会保険庁解体の真相、整理解雇の真相、解雇された仲間の生活状況などがわかるよう内容を工夫します。
 (1)中央段階で、シンポジウムの開催を検討します。
 (2)各都道府県でのシンポジウムや年金集会等の開催をすすめます。

(4)人事院公開口頭審理及び裁判勝利をめざす
 2月から順次実施される人事院の公開口頭審理及び裁判において、整理解雇が違法であることを明らかにするため、証人尋問や傍聴行動など全力で取り組みます。
 (1)人事院の公開口頭審理への傍聴行動を取り組みます。
 (2)裁判への傍聴行動をとりくみます。
 (3)全厚生や国公労連の基本的立場や職場実態など事実を明確にできるよう証人、証拠の準備をすすめます。

(5)街頭宣伝等、目に見える運動を展開する
 社会保険庁解体の背景や整理解雇の問題を堂々と訴えることは、私たちの運動への理解と協力を広げるとともに、職場の仲間の確信を深めることにもつながります。職場全体にただよう萎縮ムードを取り除くとともに、広範な国民・労働者に実態を広げるために、街頭での宣伝行動を積極的にすすめます。内外の力を大きくするため、目に見える運動を積極的に展開します。
 (1)中央段階での宣伝行動を積極的にすすめます。
 (2)各都道府県における宣伝行動を積極的にすすめます。
 (3)各都道府県の県労連や各単産、単組への支援要請をすすめます。

[6]国立福祉施設の組織再編・統廃合に対する取り組み

1.事務連絡で募集停止を通知‐施設管理室長交渉で追及

 厚生労働省は2012年度末で塩原視力障害センター、2013年度末で伊東重度障害者センターを廃止、それぞれ国立障害者リハビリテーションセンターに統合するとしています。また、塩原視力障害センターの2011年度以降の利用者募集については、事務連絡(9・15)をもって募集停止を通知しました。
 全厚生は「塩原視力障害センターの利用者募集の停止について抗議する(談話)」(9・29)を公表、統廃合についての基本方針を見直し募集停止を直ちに中止とし、募集の継続及びその強化を要求しました。加えて統廃合方針が職員の不安や雇用問題を引き起こさないよう、万全な対応を求めてきました。施設管理室長交渉(11・29)において、伊東重度障害者センター、塩原視力障害センターの存続を要求し、誇りと魅力を感じられる国立福祉施設となるよう充実・発展にむけ努力するよう要求しました。これに対し施設管理室長は「伊東、塩原の統廃合方針は政府決定、職員の身分等については、全て配置換えで考えている」と回答。塩原のクラス減による具体的な職員配置等は近い時期に示すと回答。また、視力センターの利用者募集強化については、各センターの状況を集約し、効果的に進めるようにしたいとしています。

2.存続発展を求める会の運動を前進させる

 厚社連が立ち上げた「国立福祉施設の存続発展を求める会」の運動は、伊東・塩原支部の奮闘を軸に大きな広がりをみせています。昨年9月には地元の那須塩原市議会、伊東市議会で廃止反対の意見書を全会一致で採択、衆議院厚生労働委員会(9・8、10・22、11・17)では、高橋、阿部両委員が伊東・塩原の統廃合問題について取り上げ、統廃合についての問題点を指摘しました。「私たちは最後の障害者ではない 塩原視力障害センターと伊東重度障害者センターの存続を考える勉強会」(11・30)を衆議院議員会館で開催。与野党10人の国会議員。存続発展を求める会や障害者団体などから76人が参加し、「塩原、伊東センター存続を求める手記集」などを配布しました。
 伊東・塩原の統廃合問題は、政治課題となり、視力障害センターと重度障害者センターは新たな段階を迎えています。また、国立障害者リハビリテーションセンターや秩父学園の民主的な強化発展に関しても、この春闘期に春闘課題とともに広く国民に訴えます。これまでの運動の広がりに確信をもって、国立福祉施設の存続発展の共同を大きく前進させるために取り組みを具体化します。
(1)「塩原視力障害センターと伊東重度障害者センターの存続を求める国会請願署名」に全支部で取り組みます。
(2)引き続き地元議会への要請行動に取り組みます。
(3)地元選出の国会議員、厚生労働委員への要請行動に取り組みます。
(4)塩原・伊東の存続を求める手記集を手本に、他支部でも手記集、意見書作成を検討します。

3.障害者の権利保障及び障害者福祉を拡充させる取り組み

 昨年1月に「障害者自立支援法違憲訴訟」の訴訟団と国(厚生労働省)との間で締結した基本合意書には、「人間としての尊厳を深く傷つけた」との反省の意を表明するとともに、自立支援法の廃止と応益負担の「すみやかな廃止、2013年8月までに新法(障害者総合福祉法‐仮称)を制定することを約束しました。こうした下で、「障がい者制度改革推進会議」が設立され、障害者基本法の改正等、今後の障害者施策のあり方に関する審議がすすめられています。障害当事者が政策立案の作業に直接参加するという障害者施策上はじめての取り組みとなる点とともに、ここでの議論が「障害者権利条約」の批准に向けた国内法の総見直しとなる点でも、重要な意義をもっています。
 昨年12月3日、障害者自立支援法「改正」法案(障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案)が民主、自民、みんなの党などの賛成多数で強行成立しました。この改正は、支援の対象に「発達障害」が追加されたほか、応益負担(サービスに応じた負担)から応能負担(支払い能力に応じた負担)に変更する内容等が盛り込まれ、低所得者の利用料が減額されるため早期成立を求める声もあった一方で、「つなぎ法案」と言いながら、自立支援法の廃止を明記せず、応益負担も法文上残したままになっているなど、同法を「延命」しかねない危険な内容であることや、障害当事者の意見を十分に踏まえず改正を進める手続きに反発も多く、「基本合意」の精神を踏みにじるものです。通常国会には、障害者基本法の改定案がかけられます。これに向け、障害者の権利保障を促進させる法としての抜本整備を求めます。

[7]厚生科学研究を拡充させる課題と取り組み

1.厚生科学研究を拡充させる基本方向

 国立試験研究機関・独立行政法人研究所は、移転・再編問題、独立行政法人化及び公務員型から非公務員型への移行など、常に組織再編・統廃合などが行われてきました。これに加えて、最近は、行政刷新会議による事業仕分け、省内仕分け厚労省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会などで、合理化をすすめる議論が続いています。こうした情勢の下、全厚生は一貫して、医療並びに公衆衛生の向上を図り、国民の健康と福祉を向上・発展させる厚生科学研究をめざし、予算と体制確保、労働条件・研究環境の改善、かつ各研究所の民主的な運営を求めて、労働組合の役割を発揮してきました。春闘でもこの基本を堅持してたたかいます。

2.厚研連活動を重視し、国立研、独法研究所の拡充をめざす

 現在、厚生労働省(旧厚生省)の試験研究機関は、4つの国立試験研究機関(国立研)と2つの独立行政法人が併存しています。他省庁で、ほとんどが独立行政法人となっているのとは大きく異なります。当局は、4つの試験研究機関は「(1)政策研究所、(2)研修機関、(3)緊急時に国の責任おいて直接実施すべき健康危機管理を担っている等の理由により、独立行政法人化されなかったもので、現在も状況の大きな変化はない」と回答し、現行体制を維持する立場です。また、国立保健医療科学院は4月に組織再編が予定され、国立医薬品食品衛生研究所は府中移転が延期になるなど、各機関独自の重要課題もあります。
 この4つの国立研と2つの独立行政法人はともに、厚生科学研究を担う研究所であることに変わりはありません。誇りと働きがいの持てる研究所・職場を作るため、厚研連(全厚生試験研究機関支部連絡協議会)の活動を軸にして、試験研究機関の活動を強化します。
(1)各機関・職場の状況や課題を交流し、要求を練り上げ、厚生科学課長交渉を準備します。
(2)独立行政法人研究所の統合、科学院の組織再編、国衛研の府中移転について情報を積極的に収集します。
(3)厚研連交流集会を開催するための準備を始めます。

3.独立行政法人研究所に対する取り組み

 独立行政法人の「整理合理化計画」として、国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所の「統合」が閣議決定(07・12・24)されました。政権交代後、独立行政法人の政策変更がおきる中で、改めて整理合理化や統合などの協議が進められてきました。しかし、今後の方向は未だに示されていません。厚労省に対し、国民に対し責任を負える明確なビジョンを示させることが重要です。全厚生は、この課題でも国民の健康と福祉を向上・発展させる厚生科学研究をめざし、当該法人及び労働組合の意向を尊重して具体化・実施することを求めます。春闘では、次の基本要求を重視して取り組みます。

(1)独立行政法人の基本要求
 独立行政法人の「新たな見直し」にあたり、国立健康・栄養研研究所と医薬基盤研究所について、国民の命と健康を守るための研究を行うために、国が責任をもって拡充することを要求します。
 (1)医薬基盤研究所の設立経過や目的を踏まえ、生物資源部門の拡充を図ること。特に、わが国で唯一の機能である霊長類医科学研究センター及び薬用植物資源研究センターを維持・強化することを要求します。
 (2)国立健康・栄養研究所について、健康・運動・栄養の総合的な研究をすすめ、健康の保持及び増進、栄養と食生活など、国の施策をすすめる中心的な役割を担い続けるために拡充することを要求します。
 (3)研究支援部門及び管理部門の安易な統合・削減を行わず、研究機関に適正な規模を踏まえ、これらの部門の維持・強化を図ることを要求します。

(2)当面する対応方針
 (1)独法2支部と本部による対策会議を継続させ、要求・政策を練り上げ、厚生科学課との交渉を実施します。
 (2)独立行政法人の両支部との連携を強化し、独法での申し入れや・団体交渉をすすめます。

[8]労働基本権回復、地域主権改革、独法の存続・拡充を

(1)労働基本権を回復させる取り組み
 労働基本権は、憲法が保障する基本的な権利です。しかし、公務員の労働基本権問題では、権利回復の観点でなく、政府が与えるがごとく扱い「労働基本権(争議権)に関する懇談会」(11/26)で本末転倒な議論がなされました。給与引き下げに向けた政府方針とも軌を一にしています。労使対等の立場で労働条件を決定し、賃金切り下げなどを許さないためにも、広範な国民・労働者との共同と職場からの闘争体制の確立が求められています。このため、「憲法とILO基準にそった労働基本権回復を求める国会請願署名」(11/15連絡文書発出済)を取り組みます。
 通常国会に提出が予定されている国家公務員法「改正」案に対し、人件費削減の「手段」としての交渉権付与という政府のねらいを軽視せず、憲法とILO基準に沿った労使対等の労働条件決定システムと関連諸制度の整備など民主的公務員制度の確立に向けた取り組みを強化します。そのために、国公労連の春闘方針に結集して全力で取り組みます。

(2)地域主権改革に対する取り組み
 国の出先機関の原則廃止や国の責任を地方に押しつける義務付け・枠付けの見直しなどの「地域主権改革」を政府は強行しようとしています。地方厚生局を含めた国の出先機関は、地方自治体が行うことで生じる地域間格差を是正しつつ、国民の安心・安全を守る重要な役割を果たしています。一つの都道府県内でおおむね完結する事務・権限は都道府県へ移譲し、複数の都道府県にまたがるものでも特区制度等により移譲する方向で進めるとしています。国家公務員の総人件費2割削減の手段としても位置づけられ、国民の生活・利便を向上させる観点は全く抜け落ちています。国の出先機関の受け皿として「関西広域連合」が発足するなど、国から自治体首長への権限移譲に矮小化されています。
 道州制導入を含む「この国のかたち改革」の本質や国民生活に及ぼす致命的な影響を行政分野毎に具体的に明らかにすることが重要です。憲法にもとづく国民の権利保障と公共の福祉を目的とする厚生行政の体制拡充をめざし、国公労連の春闘方針に結集して全力をあげます。

(3)独立行政法人の存続・拡充を
 独立行政法人制度は発足から10年が経過しました。公共性が高く民間に任せた場合には必ずしも実施されない実施部門を行政減量化のために独法化し、かつ民営化の一里塚としてきました。自民党政権下で廃止、地方移管、民営化が進められ、政権交代後も「抜本的見直し(ゼロベース見直し)」と称した改革が強引に推し進められています。特に、「事業仕分け」的な効率化最優先、削減ありきの「見直し」は、真に国民的視点での「見直し」とは言えません。独立行政法人が国民生活及び社会経済の安定等に貢献できるように、国が責任をもって拡充するよう、国公労連の春闘方針に結集して全力をあげます。

[9]政治を変え、平和を守り、社会保障の拡充を

(1)憲法9条を守り、平和な社会をめざす
 民主党政権は、平和を願う沖縄県民の総意や国民の反対を無視して、日米軍事同盟を一層強化しようとしています。さらには、尖閣諸島問題、竹島問題、千島問題などの領土に関する紛争問題を口実に、自衛隊の「離島配備」の動きを強めています。また、昨年末に発表した「新防衛大綱」は、自衛隊を外に攻め、より「動的」にする危険な内容をもっています。生存権を保障する25条を活かす共同の取り組み、「戦争できる国」づくりの動きを阻止し、平和な社会をめざす取り組みは、車の両輪です。憲法9条を守る国民的運動は、全国7千の「9条の会」が活動するなど大きく広がっています。この草の根の底力が世論に大きな影響を与えていることを確信に、「核兵器のない世界」をつくる、憲法9条を守る世論を職場・地域から大きくつくるために奮闘します。「ピース・エッグ」、「3・1ビキニデー」行動、「5・3憲法集会」、2011年国民平和大行進・2011年原水爆禁止世界大会の成功に向けた取り組みを進めます。

(2)社会保障の拡充をめざす
 社会保障の拡充は労働者・国民の願いです。しかし、政府は常にその財源を消費税増税に求めています。その一方で、法人税減税など大企業への優遇税制を進めています。年金・医療・介護保険・保育制度等の改悪反対や制度拡充の運動など、中央社保協(中央社会保障推進協議会)に結集してたたかいます。2011年度政府予算における社会保障費の拡充や消費税増税反対の国民的な運動に結集します。

(3)国民が主人公の政治をめざす
 2011年は統一地方選挙がたたかわれる年です。地方行政は、福祉、教育、医療、保育、雇用、環境など住民生活に密接に関わっています。地方自治法では、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」(第1条の2第1項)と記述しています。しかし、この目的通りに「福祉の増進」は図られていません。自己責任、自助・自立をうたい、「民間にできることは民間で」とPFI、指定管理者制度、公設民営、市場化テストなど、構造改革をすすめるあらゆる手法を巧みに使い、行政責任を放棄し、行政の民間化を推し進めています。統一地方選挙は、今春闘のさなかに行われます。政治の流れを国民本位に変える絶好のチャンスです。全厚生は、憲法が保障する国民の政党支持、政治活動の自由を守り、職場での地域でも家庭でも政治を語ります。春闘要求と結びつけ、国民・労働者の切実な願いや要求が届く政治を実現させるために奮闘します。


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