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◆号外 (2009年2月25日付)◆


職場の団結強め要求前進を
 昨年10月1日、非公務員型の公法人である全国健康保険協会(以下、健保協会)が発足しました。全厚生は、健保協会に働く仲間の加入促進とともに、健保協会本部に対し、労使関係の構築にむけた申し入れや、労働条件の改善等について交渉を行ってきました。
 超過勤務手当問題など前進した課題もありますが、逆に超勤時間の管理厳格化による未処理の増大、年次休暇の取得単位、所定労働時間問題など課題は山積しています。全厚生は、被保険者等へのサービス改善や切実な職場要求の前進を目指し、引き続き取組みを強化します。
 また、格差と貧困が拡大する社会情勢の中で、医療保険制度の改善とサービス向上を求める国民の声はますます強まっています。国民のニーズに応えるためにも、制度の拡充を目指し広範な運動に結集します。

医療制度の改善はみんなの願い
 財界大企業やアメリカの利益を優先する自民・公明与党の「構造改革」路線は、労働者派遣法の改悪による雇用破壊、福祉・医療などの社会保障切捨てなどにより、貧困と格差は拡大し国民生活に多大な犠牲を強いています。また、原油・穀物の異常な値上がりに端を発した中小企業、農業の深刻な経営危機など、あらゆる分野で国民生活を直撃しています。特に大きな問題は、雇用から放り出された人々が、社会保障の諸制度からも排除されていることです。生活保護から排除され餓死する人や、医療保険から排除され、手遅れで命を落とす事態も報道されています。命や暮らしを守る制度が、どんどん後退しています。内閣府が昨年実施した「国民生活に関する意識調査」では、72・8%が、医療や年金、介護などの社会保障制度の改善を求めています。

「協会けんぽ」の保険料も格差拡大
 政府管掌健康保険を継承した「協会けんぽ」では、全国一律の保険料から、都道府県単位の保険料率になります。厚生労働省は、5年間の激変緩和策を発表しましたが、根本的な問題は解決されません。
 加入事業所の多数を占める中小企業は、日本の賃金構造の中でも、とりわけ低い賃金水準にあります。また、高齢者の比重が高い協会けんぽは、必然的に医療費負担が増加しています。さらに、定年やリストラ等で退職を余儀なくされた大企業労働者の再就職先は、多くが中小企業等です。一方、構造改革や世界的金融危機は、企業経営を直撃し、健康保険組合の解散が相次いでいます。
 こうした構造的な矛盾を解決しないまま、医療費抑制対策として保険料に格差を持ち込むことが狙いです。

制度の改善も労組の基本課題
 「協会けんぽ」の制度改善は、国民の要望でもあり、私たちの願いでもあります。それはサービスの向上と、労働条件の改善にもつながります。働きがい・生きがいある職場を作るためにも、労働組合に結集し、全国の仲間とともに、制度官庁である厚生労働省への要求闘争も重要です。

全国交流集会に参加を 3月20日名古屋で開催

 健保協会が設置されてから、5ヶ月が経過しました。開設当初の混乱は、筆舌に尽くせない困難を引き起こし、連日の長時間残業に加え、休日勤務も余儀なくされました。私たちは、限られた人員体制の中で、サービス確保をはじめ円滑な業務遂行を目指し、全職員一丸となって対応してきました。
 こうした中、改善すべき課題を明らかにし、共通の認識を作ることは、事業運営を円滑に進める上でも、また、安心して働ける職場環境を作るうえでも大変重要です。「みんなで討論、みんなで決定、みんなで行動」を合言葉に要求の前進を目指すために、全国交流集会を開催します。全ての協会分会から積極的に参加しましょう。

あなたも全厚生へ
 健保協会職員の雇用契約は、労働契約で成立します。その場合、就業規則で定められた内容が労働条件となります。しかし就業規則は、使用者の裁量が基本となっています。一方、労働基準法は、「就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない」と規定しています。つまり労働協約は、使用者が一方的に決める就業規則よりも優先されます。
 健保協会における就業規則は、労使の事前協議がまったくなかったうえに、きわめて性急に、しかも一方的に定められたのが実態です。全厚生は、人事異動や労使関係に関するルールなど、あらためて健保協会との関係を構築していく必要があると考えます。そのためにも、職場の過半数を組織する労働組合の存在が大きな力となります。契約職員の皆さんも含め、全厚生への加入を呼びかけます。

全厚生健保協会分会全国交流集会

 全厚生は健保協会分会の仲間どうしの交流と学習を深め、問題点や要求をみんなで実現させるために交流集会を開催します。すべての協会分会から積極的に参加しましょう。

と き 3月20日(金・祭日)
     11時〜16時
ところ 愛知労働会館本館2階
     名古屋市熱田区沢下町9−7
     JR金山駅より徒歩10分
*参加申し込みは支部・分会役員
  または、全厚生本部まで

全ての分会から職場要求の議論を
 健保協会の職員は、国家公務員から民間労働者となり、労働基準法や労働組合法などの適用を受けるとともに、労働条件や働くルールは、今までの「法定主義」から「労使自治」が基本になりました。労働基準法第2条1項には、「労働条件は、労働者と使用者が対等の立場において、決定すべきものである」と規定しています。労働組合の役割が極めて重要です。
 職場には、「賃金を上げてほしい」「労働時間を短く」「休暇の時間単位取得を認めて欲しい」「人が足りない」など様々な要求があり、共通の思いでもあります。こうした要求は、労働者が一人ひとりばらばらにものを言っても実現しません。みんなで相談し、労働組合として交渉することによって、実現の可能性が生まれます。そのためには、職場の連帯と団結を強くしなければなりません。団結を強め、使用者と対等の立場で交渉等を行い、要求を前進させましょう。

勤務時間を7時間45分に短縮を
 国家公務員は、今年4月から1日の労働時間が7時間45分に短縮されます。健康保険協会でも民間労働者の平均的な労働時間に準じて、15分の短縮をすべきです。
 1日の勤務の中で、昼休みをしっかり休むことは、午後の事務の効率性においても有効です。みんなの力をあわせて労働時間の短縮を勝ち取りましょう。

広域人事は意志尊重し一定のルール化を
 全国健康保険協会は、広域人事異動を原則とし、発足に当たっても転居を伴う人事異動を実施しました。各県に支部が一つしかないことから、バラエティーのある人事や経験の交流を通じて組織力量を高める等、支部間の異動の必要性は否定できないものと考えます。しかし、健康状態や家庭環境など個々人の生活状況について、一定の配慮は必要です。転居や長距離通勤を要する場合などを含め、一方的な広域人事は行なわず、一定のルール化が必要と考えます。転居を伴う人事異動ができる条件や長距離通勤の限度など、誰もが納得できる条件づくりが必要です。

有給休暇は時間単位で
 全国健康保険協会では、有給休暇は1日または半日単位での取得となっています。労働基準法の解釈と通知においても、原則1日とし、半日での取得も可能とされています。しかしこれは、使用者側が休暇取得に不当な制約を与えないための規制であって、時間単位での取得を禁止するものではないのではないでしょうか。時間休を認めることによって、有給休暇全体が縮減されるのであれば、不利益変更となり認められませんが、同じ日数を保障し、休暇取得を規制するのでなければ全く問題はありません。
 特に子育て世代では、突然、保育所や学童保育所などから呼び出しがあり、緊急に「お迎え」に行かなければならなくなることが多々あります。就業時間まで、2時間しかなくても半日の休暇を取らなければいけないとなると、休暇取得の抑制につながってしまいます。
 時間休の要求は当然の要求です。認めないのであれば、子育て支援の視点から新たな休暇を制度化するべきではないでしょうか。

20年度未取得年休の繰り越しを
 10月1日に採用された職員については、10日間の年次有給休暇が付与されました。しかし、新組織への移行に伴う異常な職場実態の中で、繁忙状態が著しく年休も満足に取得できない状況が続いています。また、年次有給休暇については、次年度に繰り越しができないこととなっています。休暇の目的である健康増進や有効活用のために、未取得分の年次有給休暇については、平成21年度に繰り越しを認めるべきです。

全国健保協会への基本要求(案)

 
T. 賃金等に関する要求
1. 基本賃金を大幅に引き上げること。
2. 契約職員及び臨時職員の賃金を改善すること。
@ 時給単価を引き上げること。
A 契約職員に退職手当金を支給すること。
B 契約職員の区分ごとの時給を明確にすること。また、契約を更新する場合は、契約職員の経験を十分考慮して時給を引き上げること。
U. 定員及び雇用契約等に関する要求
1. 業務量に見合った定員を配置すること。
2. 契約職員の雇用契約について、「更新する場合がある」ではなく「更新することができる」と改め、安心して働けるよう改善すること。
3. 契約職員の担当業務について、軽易な業務ではなく、責任の重い重要な業務であることを重視し、「職員」としての雇用の門戸を開くこと。
4. 臨時職員について、2ヶ月を越えて引き続き契約する場合は、試用期間を設けず、契約職員として本採用とすること。
V. 休暇に関する要求
1. 年次有給休暇の時間単位での取得を認めること。
2. 子の看護休暇の時間単位での取得を認めること。
3. 契約職員及び臨時職員の休暇を改善すること。
@ 病気休暇について、引き続き90日を限度に有給とすること。
A 産前・産後の休暇を有給とすること。
B 母性健康管理休暇を有給とすること。
C 子の看護休暇を有給とすること。
D 育児時間を有給とすること。
E 骨髄移植等にかかる期間についても有給とすること。
F 育児休業について、1ヶ月以上連続して取得する場合は、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料に相当する手当金を支給すること。
G 臨時職員の特別休暇を有給とすること。
W. 勤務時間等に関する要求
1. 所定勤務時間を7時間45分とし、昼休みの休憩時間を原則1時間とすること。
2. 休憩時間を完全に保障すること。
3. 超過勤務が特定のグループに集中しないよう具体的な措置を講じること。
4. 変形労働時間制は、実施しないこと。
X. 人事異動に関する要求
1. 広域人事にあたっては、本人の意向を尊重するとともに、生活環境や家庭環境の変化など職員の生活状況等をふまえ、一方的な人事異動は行わないこと。
2. 単身赴任となる場合は、原則2年で生活の拠点となる地域に戻すこと。
3. 労働組合役員を支部間で異動させる場合は、事前に協議すること。
Y. 業務改善等に関する要求
1. 契約職員で、協会事務室に出勤する機会の無い者について、定期的に系統的な研修を行うこと。
2. レセプト点検はじめコンピュータ処理のシステムを改善すること。
Z. パワーハラスメントの防止に関する要求
1. 職員及び契約職員、臨時職員に対するパワーハラスメントを防止するための規定を設けること。
[. 次世代育成支援対策推進に関する要求
1. 次世代育成支援対策推進法に基づき「一般事業主行動計画」を策定し、労働局雇用均等室に届け出ること。
2. アンケートを実施するなど子育て両立支援に関する職員のニーズを把握すること。
3. 職員に周知し、子育て両立支援策を取得しやすい職場環境をつくること。

新年度に向けた当面の要求(案)

1. 広域人事にあたっては、本人の意向を尊重するとともに、生活環境や家庭環境の変化など職員の生活状況等をふまえ、一方的な人事 異動は行わないこと。
2. 単身赴任となる場合は、原則2年で生活の拠点となる地域に戻すこと。
3. 労働組合役員を支部間で異動させる場合は、事前に協議すること。
4. 年次有給休暇の時間単位での取得を認めること。
5. 平成20年度における年次有給休暇の未取得分について、平成21年度に繰り越しを認めること。
6. 所定労働時間を7時間45分とし、昼休みの休憩時間を原則1時間とすること。

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