組合員のみなさん、明けましておめでとうございます。

 いよいよ21世紀をむかえました。今年は、新しい世紀のはじまりであると同時に、省庁再編後の新しい行政機構のはじまりでもあります。
 20世紀をふり返るとき、戦争という恐怖と欠乏に覆われた暗い歴史を思いだします。しかし同時に、20世紀は民主主義が世界各地に広がり、基本的人権の尊重が常識になった世紀でもあり、核兵器廃絶や軍備縮小を求める運動が世界的な大きな流れになった世紀でもあります。そして、日本もまた例外ではありません。
 情勢は、一見厳しく、抗し難い力に抑えつけられ、社会保障制度などはいずれ崩壊するかのように映り、将来に何ら展望を抱けない状態に見えがちになっています。しかし、本当にそうなのでしょうか。社会保障は、有史以来のながいながい人間の歴史の中でたたかい確立された権利であり、数え切れない多くの人々の流した涙と汗と血によって支えられ前進させてきました。そう簡単に崩壊させられるものではありません。
 労働者をめぐっては、労働諸法制の相次ぐ改悪、リストラ「合理化」による失業者の増加、正規職員の減少とパート職員の増加、派遣労働の急増など、労働者にとって決して有利な情勢には見えません。しかし一方で、労働争議などでは勝利判決や和解を勝ち取っているのも事実です。
 戦後の労働組合運動の歴史は、まだ50数年しか経ていません。ところが、資本家による支配の歴史は長く、常に政治と結びついて暴利をむさぼり、永年培われた経験によってたえず政治を利用し支配し続けています。そう容易に勝利をつかむことはできないのかも知れません。
 しかし私たちは、わずか50数年とはいえ、政治と世の中を大きく揺り動かした経験を持っています。50有余年の歴史を生かし、いま最もふさわしい運動をすすめるならば、何ら恐れることはありません。
 2001年度の予算案は、またしても公共事業優先で、国民の暮らしを切り捨てる内容となっています。しかしその一方では、厚生労働省に対する国民の期待は、国民生活に直接関わる行政機関として、新聞紙上でも「責任重大」と指摘されるほど、大きく膨らんでいます。
 私たちは、厚生省と労働省の統合に反対し、社会保障も労働者保護行政もそれぞれに拡充すべきであることを指摘してたたかってきました。厚生労働省が設置されたいま、国民にとって本当に頼りになる、有益な行政として発展させることが、私たちに課せられた重要な任務なのではないでしょうか。
 見せかけの「融合」ではなく、雇用対策を社会保障をより拡充することにつなげるなど、労働行政と社会保障行政を有機的に結びつけて、国民生活を向上させ、将来展望をつくることが重要なのではないでしょうか。
 組合員のみなさん、「21世紀をどんな世紀にしようか」といったことから、職場での会話を広げ、お互いの要求を語り合い、そして憲法9条・平和を守り、本当に国民が主人公の政治・社会をつくろうではありませんか。そのために、2001年春闘で大いに奮闘し、大きな前進をかちとり、私たちの展望を大きく広げましょう。
 中央執行委員会は、みなさんの先頭に立って奮闘する決意を申し上げ、年頭のごあいさつとさせていただきます。

2001年1月
全厚生職員労働組合中央執行委員会

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