06年「ベアゼロ」勧告実施の閣議決定に抗議する(談話)

 政府は本日、官民賃金比較方法の「見直し」による月例給・特別給の改定見送りなどを内容とする06年人事院勧告の取り扱いについて、勧告どおり実施することを閣議決定した。

 今年の勧告は、従来の比較方法によれば月例給で1.12%(4,252円)、特別給で0.05月の改善であったことを人事院自らが明らかにしているとおり、比較対象企業規模を「100人以上」から「50人以上」に引き下げたことから、「ベアゼロ」となったものである。
 人事院が、労働基本権制約の代償機関としての役割を放棄し、労働組合の納得も合意もないまま、これまで40年以上にわたって定着してきた官民賃金比較方法の「見直し」を一方的に強行した背景には、政府の総人件費削減の圧力があったことは明白な事実である。
 政府は、昨年9月以来三度にわたり、人事院に対し賃下げの意図をもって比較企業規模の「見直し」を要請した。その圧力に屈して出された勧告を、政府が「人勧尊重」を理由に閣議決定したことは、「自作自演」の茶番劇と言わざるを得ず、断じて容認できるものではない。

 国公労連は、勧告以降一貫して使用者としての責任を厳しく追及してきた。比較方法という重要なルールを一方的に変更したもとで、「人勧尊重」という従来回答で済まされる問題ではなく、慎重な検討と十分な協議が求められていた。しかし政府は、私たちの主張をまともに顧みることもなく、わずか二度の給与関係閣僚会議で閣議決定を行った。この暴挙に怒りをもって抗議する。
 また、労働基本権制約の代償機能としての人勧制度に介入し、変質・形骸化させた以上、労働基本権回復は当然であり、政府はその実現に向けた国公労連との交渉協議のテーブルに就くべきである。

 一方、総務省は地方自治体に「行政改革のさらなる推進を求める指針」を「通達」している。そこでは、地方公務員の給与について「地域民間給与の更なる反映」として、国と同様に地場賃金の「適正な反映」と比較企業規模の「見直し」を迫っている。
 すでにいくつかの自治体では、「ベアゼロ」勧告や賃金引き下げ勧告が行われており、これは「賃下げの悪循環」を加速させ、地域経済をいっそう疲弊させることになる。

 国公労連は、引き続く国会での給与法案の審議においても、比較企業規模「見直し」をはじめとする勧告の矛盾と問題点を追及するとともに、自治体の賃金闘争、独立行政法人や勧告準拠機関の賃金交渉が本格化するなかで、これと連帯・共同したとりくみを中央・地方で継続強化する。
 同時に、定員削減の強行など厳しさを増す労働実態のなかで、働くルールの確立と労働基本権回復をめざし、全国の職場・地域から運動を強める決意である。
                 2006年10月17日
                     日本国家公務員労働組合連合会
                     書記長 岡部勘市

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