公務職場における働くルールの確立を求める決議

 今、公務の職場は連年の定員削減の強行や業務の複雑困難度の高まりのもとで、長時間過密労働が蔓延し、ただ働き残業が顕在化するとともに、心の病をはじめとする長期病休者が増加するなど職員の心身の健康問題が深刻な状況となっている。今後、総人件費「改革」の名のもとに、公務員の総人件費削減攻撃が具体化され、より厳しさを増す状況の中にあって、公務職場における働くルールの確立は極めて重要な課題である。

 所定内労働時間にかかわって人事院は、この間の交渉において民間実態をふまえてとしながらも、所定内労働時間の短縮への前向きな姿勢を示し、先の勧告で民間の所定内労働時間にかかわる調査結果として、民間に比べて公務の労働時間が上回っていることを公表している。賃金にかかわってことさらに民間準拠を持ち出す一方で、勤務時間について閉庁を前提として時短を進めてきたとする従来の固定観念や、短縮を進めることによる公務遂行への影響を必要以上に持ち出し、踏み込んだ検討を行わないことは、賃金・労働条件決定のルールにおいて「ご都合主義」であると言わざるを得ない。先の休息時間の廃止が勤務時間の「適正化」として進められたことからすれば、所定内労働時間にかかわる「適正化」も直ちに行われるべきである。とりわけ、公務職場の多くで交替制職場が存在し、長時間におよぶ拘束時間となっている状況をふまえれば、所定内労働時間の短縮に向けた早急な検討が必要である。なお、勤務時間にかかわる検討を進めるにあたっては、仕事と家庭生活の調和のあり方に職員それぞれのスタイルがあることをふまえ、多様で弾力的な働き方についての検討が必要である。

 超過勤務にかかわっては、行政ニーズや職場実態を考慮しない定員削減の強行のもとで、中央・地方を問わず長時間過密労働がさけられない状況になっており、予算措置の不十分さもあいまって「ただ働き残業」の実態を生み出している。そもそも、安定した行政サービスを提供するために、超過勤務が前提として考えられていること自体が問題であり、超過勤務の縮減は喫緊の課題である。超過勤務命令の基準の明確化のみならず、行政執行体制のあり方など超過勤務の縮減に向けた政府全体としての検討が必要であることは言うまでもない。
 また、「ただ働き残業」にかかわっては、多くは超過勤務命令の曖昧さなど勤務時間管理の不十分さから生じている問題である。所定内労働時間の短縮、超過勤務の縮減ともかかわって、勤務時間管理を徹底することが必要であることは疑う余地はない。当局責任による勤務時間管理の徹底が図られ、そのことともかかわって「ただ働き残業」が撤廃されることを強く求めるものである。なによりも、民間におけるただ働き残業など違法状態の是正を求める国そのものが、違法行為を放置することがあってはならない。

 以上のことから、私たちは国民の求める安心・安全な行政サービスを安定的に提供するためにも、所定内労働時間の短縮、超過勤務の縮減など公務職場における働くルールの確立に全力を挙げるものである。

 以上、決議する。                
  2006年9月2日
                   日本国家公務員労働組合連合会第52回定期大会

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