労働基本権の早期回復を求める決議

 いま、政府・財界が「官から民へ」「小さな政府」と称して「構造改革」をさらに加速させる下で、国家公務員の「5年間で5%以上」もの定員純減計画と関わって、相当規模の強制的配置転換や分限免職処分が行われる危険性が浮上している。
 また、労働基本権制約の「代償措置」とされてきた人事院勧告制度も、政府が総人件費削減をねらって三度にわたる不当な干渉を加える中で、人事院がこれに屈して比較企業規模の引き下げを強行し、本年夏に実質的な賃下げ勧告を行うに至っている。
 こうした一方的な公務のリストラ「合理化」や労働条件の不利益変更は断じて認められないが、これらはすべて公務員労働者の労働基本権問題に起因している。

 この労働基本権問題については、政府が2001年12月に閣議決定した「公務員制度改革大綱」でも「現行の制約維持」にあくまで固執したため、労使間の最大の争点になってきた。そして、ILO「結社の自由委員会」も、全労連などの提訴を受けて、2002年11月と2003年6月に続き、本年3月に日本政府に対して3回目の勧告を行っている。
 その内容は、(1)公務員への労働基本権の付与、(2)消防職員・監獄職員への団結権の付与、(3)国家の運営に従事していない公務員への団体交渉権・協約締結権の保障、これらの権利が制約される者への十分な代償措置の保障、(4)国家の名において権限を行使しない公務員へのストライキ権の保障、構成員・役員への民法上・刑事上の重罰からの解放などであり、「結社の自由原則にそった法改正への早急な合意」に達する努力を督励している。

 こうした中で、政府が2005年12月に「行政改革の重要方針」を閣議決定し、これにもとづいて「行政改革推進法」が本年5月に成立した。そこでは、総人件費削減等と関わって、労働基本権のあり方も含めた公務員制度の全般的検討について言及している。
 そのため、政府は、行革推進本部を新たに設置するとともに、その下に「専門調査会」を設けて公務の範囲や公務員のあり方、労働基本権を含む労使関係のあり方について検討を始めているが、その方向は決して予断を許さない。

 国公労連は、こうした労働基本権問題をめぐる動向をふまえ、(1)労働基本権回復による近代的労使関係の確立と政治的・市民的自由の保障、(2)特権的な1種キャリア制度の是正と民主的な研修・任用制度の確立、(3)国民的な合意のもとで社会的均衡のとれた労働条件の確保と安定した身分保障の確立、(4)省庁間配置転換等における基準の明確化と本人合意、労働組合との協議の保障、(5)非常勤職員の均等待遇の実現、を民主的公務員制度確立の要求課題として改めて確認する。その上で、政府の徹底追及と「専門調査会」への意見反映をはじめとして、労働基本権の早期回復に全力で奮闘する。

 以上、決議する。
 2006年9月2日
                   日本国家公務員労働組合連合会第52回定期大会

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