育児のための短時間勤務制度の導入についての
「意見の申出」に関する声明

 人事院は8月8日、06人事院勧告に併せて、「育児のための短時間勤務制度の導入等についての意見の申出」を国会と政府に行いました。内容は、@職員が小学校就学前の子を育児するために請求した場合に短時間勤務(1日あたり4時間等の類型から選択)制度の新設、A短時間勤務職員の後補充のための任期付短時間勤務職員制度の新設、B一つの官職を複数の短時間勤務職員が占める並立任用の仕組みの導入、などが柱の制度となっています。短時間勤務制度の新設等によって、長期にわたる育児と仕事の両立を可能とすることが目的とされています。
 同時に短時間勤務制度と密接な関係にある育児休業制度についても、男性の取得拡大にも資することも目的に改正することも明らかにしています。具体的には部分休業の取得期間を短時間勤務制度にあわせ、小学校就学前まで延長するとしています。

   私たちは、人事院が「育児のための短時間勤務制」の導入に言及した04年人事院勧告の報告を受け、早期の制度導入を要求してきました。私たちがとりくんだ、人事院宛のジャンボはがきには、「子どもと向き合って生活できる時間がほしい」「仕事も家庭もたいせつ」「賃金カットされてもいいから」という悲鳴のような訴えとともに、短時間勤務への期待がつづられていました。それは、定員削減などによる長時間・過密労働の蔓延や、閉庁時間の延長、土日・休日開庁、組織の統廃合などによる長時間通勤の常態化や頻繁な転勤など、家族的責任を担う職員が働き続けることの困難さが高まっていた証です。
 短時間勤務制度導入の意見の申出は、そのような「声」に応えたものであり、子育てをしながら働く職員の選択肢が広がるものとして、歓迎します。

 勧告期の交渉で人事院は、短時間勤務を選択した場合の給与は「時間割」になるとしながらも、昇給については不利には扱わない、手当についても住宅手当などは全額支給する、などの点を明らかにしています。また、このこととかかわって、育児休業後の復職時調整についても1/1とすることを明言しています。育児のための休業にかかわる経済的不利益を緩和するものであり、私たちの要求を反映したものです。
 また、「任期付短時間勤務職員」制度では、定員外の非常勤職員に俸給表を適用し、一定の手当も支給するとし、かつ勤務時間も最短1ヶ月を単位とするなど、これまでの非常勤職員とは違う「概念」を多く持ち込んでいます。部分的な前進ですが、非常勤職員の均等待遇をもとめる粘り強いとりくみを反映したものとして確信を深めたいと思います。
 この間、男女共同参画社会基本法の施行やそれに基づく基本計画の策定などで、男女平等の考え方は定着してきました。「1.25ショック」といわれる少子化の急速な進行のもとで、「次世代育成支援法」にもとづく施策も積み上げられています。今回の人事院の意見申出も、そのような「流れ」の中にあることは言うまでもありません。
 しかし、制度はできたけれども、という実態が一方で顕著になっていることも事実です。先にも触れた男女ともの長時間勤務の蔓延などがその原因となっています。厳しい公務員攻撃のもとで、公務運営が重視されるあまり、職員の家庭生活との調和という制度本来の目的が軽視される状況にあることも見過ごせません。
 短時間勤務制度でも、希望する職員が誰でも希望する期間、選択できる制度とすることが求められています。任期付短時間勤務職員の配置など、後補充を当局が確約することは一つの条件です。退職手当や共済掛け金問題など、関連する制度についても、職員の利益優先の検討が必要です。さらには、社会的問題ともなっている小学生の痛ましい事件や事故が相次いでいますが、こうしたことからも期間を学童期までとすることも必要です。
 私たちは、人事院の意見の申し出も踏まえつつ、よりよい育児のための短時間勤務制度をもとめ、政府(総務省、財務省)交渉や人事院追及を引き続き強める決意です。
                 2006年8月16日
                     日本国家公務員労働組合連合会女性協議会

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