小泉首相の靖国神社参拝に抗議する(談話)

 小泉純一郎首相は本日、国内外の多くの批判や抗議を無視し、首相就任後6回目の靖国神社参拝を強行した。過去の侵略戦争を反省し、不戦の誓いを新たにすべき8月15日に、この暴挙を行った小泉首相に私たちは強く抗議する。

 靖国神社は戦前、天皇のために忠義を尽くして戦死した人々を「英霊」として合祀し、国民が侵略戦争によって戦死することを美化・正当化するという軍国主義の精神的支柱としての役割を果たした。戦後も、こうした立場から「A級戦犯」を合祀するとともに、多くの犠牲者を生んだ侵略戦争を一貫して美化し、「正しい戦争」だと宣伝する役割を果たしている。小泉首相が、靖国神社への参拝を強行したことは、平和を求める日本国民、さらには、日本の侵略戦争の被害を受けたアジア国民やその諸国政府に挑戦するものであり、決して許されない暴挙である。

 また、小泉首相は「(私人としての)内心の自由」を口実に靖国神社参拝の正当化をはかろうとしている。しかし、靖国神社はまぎれもない宗教団体であり、国の機関である首相の参拝が憲法の政教分離の原則に反する行為であることは誰の目にも明らかである。このことはすでに愛媛玉串料最高裁判決、岩手靖国訴訟仙台高裁判決、福岡靖国訴訟福岡地裁判決によって確認され、さらに、昨年9月30日の大阪高裁判決で明白に判示されている。

 小泉首相は、自民党改憲案の作成など、戦後初めて憲法改悪にむけた具体的な道筋をつけただけではなく、有事法制の制定や自衛隊のイラク派兵など、憲法破壊を極限までおしすすめた。私たち国公労連は、憲法前文と憲法9条の明示する平和主義、さらには憲法の政教分離の原則を踏みにじり、憲法尊重義務にも違反し、アジア諸国民との信頼関係を破壊する小泉首相の靖国神社参拝を断じて許すことはできない。
 私たちは、平和を希求する広範な日本国民やアジア諸国民との連帯を大いに強め、アメリカとも一体で「戦争できる国」づくりのためのあらゆる策動に断固反対し、とりくみを進める決意を表明する。
                 2006年8月15日
                     日本国家公務員労働組合連合会
                     書記長 小田川義和

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