日米両政府の海兵隊グアム移転費「合意」に抗議する(談話)

 訪米中の額賀防衛庁長官は4月23日、ラムズフェルド米国防長官と国防総省で会談し、在日米軍再編で焦点の一つとなっていた在沖縄米海兵隊のグアム移転経費について、総額102億7千万ドル(約1兆1900億円)のうち、59%にあたる60億9千万ドル(約7千億円)を日本政府が負担することで合意した。この合意も踏まえ5月初旬には、在日米軍再編にかかわる「最終報告」が取りまとめられることになる。
 国公労連は、今回の「合意」が二重の意味で問題だと考える。一つは、海外の米軍基地強化費を出す根拠は、我が国の法体系にも日米地位協定にもなく、外国の領土に軍事基地を建設する費用の負担は、税金の不当支出に外ならないことである。「米軍再編特別措置法」をつくるなどの手だてを講じて、費用負担に道を開くことは、恒久平和を宣言し、財政民主主義を規定する憲法に照らしても許されない。
 二つには、この「合意」が、アメリカの軍事戦略に日本を組み込み、日米安保同盟の軍事同盟化をさらに進行させ、自衛隊と米軍の一体化をも目的とする在日米軍強化の突破口とされていることである。沖縄・名護市への普天間基地の移転や、岩国の米軍基地の「機能強化」などとグアムへの海兵隊移転は一体不可分のものである。
 日本政府は、沖縄からの海兵隊員8千人のグアム移転が沖縄の負担軽減のためであるかのように描き、移転費用の負担はやむをえないかのように説明しているが、それは在日米軍基地再編の全体像を隠蔽したためにする論議に外ならない。
国公労連は、アメリカ政府言いなりでまとめられた今回の「合意」に厳しく抗議し、その撤回を強く求める。
 在日米軍再編経費の日本負担は、海兵隊のグアム移転費のほかに、沖縄の新基地建設、米軍部隊の移転などに伴う米軍基地施設の追加提供などで、総額3兆円に達するという指摘もある。小泉内閣は、財政難を口実に「小さな政府」づくりをすすめ、公務員の大幅削減、医療・社会保障の切り捨て、消費税率の大幅引き上げを狙っている。アメリカ最優先でこれまで以上に経費負担を増やせば、国民生活予算をますます圧迫し、さらなる痛みを国民に押しつけこととなるのは明らかである。
 加えて、強調しなければならないことは、岩国市における住民投票の結果にも示されているように、米軍基地再編にかかわる自治体と住民の多くが、増強や移転に反対していることである。主権者の「意思」の上に、政府間の「合意」を置くことは、民主主義を蹂躙する全体主義的な対応である。日米政府が、暴挙を繰り返す在日米軍基地の再編を強行しないよう強く要請する。
 国公労連は、在日米軍基地の再編強化反対、憲法9条を守れ、米軍基地も軍事同盟もない日本をめざす運動を大きく発展させるため、引き続き奮闘する決意である。

                     2006年4月25日
                     日本国家公務員労働組合連合会
                     書記長 小田川義和

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