公務員総人件費削減への反撃を強めよう(声明)
 〜06年春闘期における政府・人事院回答を受けて〜


 本日、政府・人事院は、国公労連の06年統一要求に対する春闘期の最終回答を行った。
 その内容は、「行革推進法案」が国会に提出され、公務員の「総人件費改革」が強行されようとしているもとで、「人事院勧告制度の維持尊重」(政府・総務省)、「官民較差に基づく適正な公務員給与の水準確保」(人事院)など、従来の枠内にとどまっている。
今春闘では、大企業が史上最高の利益をあげ、膨大な内部留保をため込むもとで、トヨタのベア1,000円をはじめとして自動車・電機等の連合・大手組合も賃上げを実現するなど、財界の一方的な賃金抑制の流れを変えつつある。
 こうしたなかで、今回の回答は「11,000円(2.9%)」のベア要求をはじめとする組合員と家族の切実な要求に照らして、いずれも極めて不満で受け入れ難いものである。

 今春闘期の最重要課題の一つは、昨年12月24日の閣議決定(「行政改革の重要方針」)で政府が人事院に要請した、官民比較方法の「見直し」であった。
 国公労連は、官民比較方法の「見直し」による企業規模の調査対象「拡大」は、給与水準の引き下げという労働条件の不利益変更につながることから、調査することを含めて断固反対の立場で厳しく追及してきた。
 しかし人事院は、「官民給与の比較方法のあり方に関する研究会」の「中間とりまとめ」や「給与懇話会」の議論もふまえて、「同種同等比較は維持する」としながら、民間給与実態調査は「100人未満50人以上の小規模企業も調査対象に加える」との最終判断を行った。
 勧告への対応については「引き続き検討」としているものの、企業規模の調査対象「拡大」について納得できる説明もせず、労働組合の主張を無視した形で強行したことは、労働基本権制約の代償機関としての人事院の立場を逸脱したものといわざるを得ない。
国公労連は、引き続き調査対象「拡大」の不当性を追及するとともに、調査結果を官民比較に反映させないよう、勧告に向けて交渉と行動を徹底強化するものである。

 また、休憩・休息時間の「見直し」と関わる所定内労働時間の短縮、長時間過密労働の規制やサービス残業の撤廃、男女ともに働き続けられる環境の整備、高齢者雇用制度の実効性確保など働くルールの確立、非常勤職員の均等待遇実現、なども重要な課題であった。
 政府・人事院の回答は、現行制度を是として各省に運用上の努力を求めるものがほとんどであったが、育児・介護を行う職員の短時間勤務制度に関して「勧告時点を目途に成案を得るよう検討を急ぐ」ほか、自己啓発等のための休業制度や厳正な勤務時間管理などについて、人事院から前進的な回答を引き出した。
 これらは、職場からのたたかいの反映であり、勧告期に向けて具体的な要求実現のために、運動と追及を強めることが求められている。

 政府は、「小さくて効率的な政府」をめざすとして「5年間5%の定員純減」をはじめとする総人件費削減の具体化を強引に推進し、公務員制度全般の「改革」検討を「宣言」する一方、労働基本権問題への具体的言及を避け続けている。
 賃金水準の切り下げはもとより、府省を超えた配置転換など、公務員労働者の雇用や労働条件の大幅な後退が狙われているなか、労働基本権回復は焦眉の課題となっており、争点整理も含めた反撃の態勢づくりが、この時期きわめて重要となっている。
 国公労連は06年春闘において、全都道府県国公と地域での春闘討論集会の開催、各級機関・職場での要求確認ととりくみの意思統一を背景に、9条改憲に反対する共同、地域総行動への結集や「くらし安心」署名の推進、地方議会請願・意見書採択運動など、外に打って出るとりくみを展開してきた。
 現在、全労連「もうひとつの日本闘争本部」が「小さな政府」に反対する世論構築をめざして、全国キャラバン行動を展開しており、6月初旬に想定される公務員純減の「実行計画」の策定阻止に向けて、運動を継続・強化する。
 また、医療制度や教育基本法の改悪反対、国民投票法の制定阻止などの国民的たたかいとも結合させ、「行革推進法案」「市場化テスト法案」反対の国会闘争に全力をあげる。
 5年に及ぶ小泉「構造改革」の正体が、「安心・安全の破壊」「格差の拡大」「地域切り捨て」であることが次第に明らかとなり、国民との矛盾が激化している今こそ、公務の公共性確保と国民生活を支える行政体制の確立をめざし、全国の仲間のいっそうの奮闘を強く呼びかけるものである。


 2006年3月23日
                     日本国家公務員労働組合連合会
                     第8回中央闘争委員会

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