イラクからの自衛隊の撤退を求める決議


 小泉内閣は、12月14日に期限切れとなる自衛隊のイラク派兵を「1年間延長」する決定を、太平洋戦争開始から64周年となる12月8日の臨時閣議で行った。こうしたブッシュ政権いいなりにアメリカの無法な軍事占領への協力・加担を継続することは絶対に許されない。
 イラクでは、現在、新憲法が国民投票で承認され、近く予定されている国民議会選挙にむけて、政治プロセスが一見、順調に進んでいるかのように報道されている。しかし、アメリカによる軍事占領と無差別の掃討作戦は、暴力とテロの悪循環と出口の見えない混迷を作り出している。自爆テロなど宗派・民族間の紛争は絶えることがなく、イラク人の死者数は民族間の紛争は絶えることがなく、イラク人の死者数は4万人近くに達している。またイラク侵攻以来、米兵の死者数は、2千人を超え、負傷や病気により帰還した兵士も3万人以上となっている。
 こうしたイラクの泥沼化した現実は、ブッシュ政権の一国覇権主義路線の破綻と国際社会での孤立を深刻なものとしている。当初は38カ国いたイラク派兵の「有志連合」も、軍隊の撤退・削減を進める国々が相次ぐなど、崩壊への道をたどっている。またアメリカ国内でも、米兵戦死者の増加や際限のない戦費拡大などによって、ブッシュ政権の支持率は30%台にまで低落し、イラク政策の転換を求める世論と運動が広がっている。
 にもかかわらず、小泉内閣が、なんの大義もないイラク占領に協力・荷担し、アメリカへの忠誠を証すためだけに、12月14日以降も自衛隊のイラク派兵を続けようとしている姿は、まったく異常としか言いようがない。国内の世論調査をみても、自衛隊のイラク派兵を「延長すべきでない」が77%にのぼっており、(10月10日付「毎日」)、イラクへの自衛隊派兵が、世界からも孤立しているのは明らかである。
 いま大切なのは、アメリカ「有志連合」による占領というイラク政策を転換し、イラク国民の主権を完全に回復した上で、国連中心の復興支援へと踏み出すことである。私たちは、政府が閣議決定した「派兵延長」に断固抗議するとともに、日本政府はアメリカへの協力・加担をやめて、速やかに自衛隊をイラクから撤退させるよう強く求める。
 同時に、イラク派兵延長から9条改悪に至るまで、日本を「戦争ができる国」につくり変えようとする小泉政権の野望を阻止するため、全国の職場・地域から全力で奮闘するものである。
 以上、決議する。

2005年12月9日
日本国家公務員労働組合連合会
第124回拡大中央委員会

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