国民いじめ、浪費温存の予算案決定に抗議する(談話)
- 05年度予算・政府案の決定にあたって -


 12月24日、政府は、05年度予算政府案を閣議決定した。一般会計だけで、総額82兆1829億円の政府案は、定率減税の半減による1兆6500億円の増税、年金掛け金の引き上げ、介護施設利用料・本人負担の引き上げなど、総額2兆円のあらたな国民負担を盛り込んでいる。
その一方で関西国際空港二期工事や整備新幹線三区間の新規着工など、将来負担を見込んだ大規模公共事業の無駄を温存する内容となっている。公共事業関連では、本四架橋にかかわる赤字穴埋めとして4289億円も盛り込まれており、過去、現在、未来にわたる財政健全化の中心的な課題として、公共事業のあり方の抜本的な見直しが求められていた。にもかかわらず、政府は、説明責任すら果たさないまま、大型公共事業の継続と国民へのつけ回しをおこなおうとしている。04年9月末で、730兆円をこえる国の借金を累積させたことも含め、政府の放漫な財政運営の責任は今こそ問われなければならない。

 「政府案」によれば、介護保険の給付にかかわって05年10月からの施設入所者の居住費負担を盛り込み、年金給付の削減を自動的に行うことや06年6月からの高齢者非課税措置の廃止を盛り込むなど、露骨な高齢者いじめの姿勢を示している。
また、年金保険料引き上げ(国民年金・月額280円、厚生年金・保険料率0.354%)、国立大学授業料・1万500円などを盛り込み、06年1月からの定率減税・半減を打ち出すなど、賃金・雇用破壊に苦しむ労働者に、追い打ちをかける負担増を迫っている。
社会保障をはじめ、国民生活の基盤をささえ、公正な社会をめざす分野の給付を切り下げる一方で、負担増のみを強いる政府に対し、国民の不信が増大するのは当然である。

 「政府案」では、違憲・違法の状況にあるイラクへの自衛隊派遣延長費用146億円も含め、総額4兆9188億円の軍事関連費用を計上している。また、「新産業創造戦略」の掛け声のもと、ロボット実用化、燃料電池の技術開発費、情報家電基盤整備事業などの産業関連分野をはじめとする技術開発補助事業費なども予算化している。
 義務教育費国庫負担金を15.8%、深刻な状況にある失業対策費も12.1%も削減し、経営難にある中小企業対策費も前年並みの1730億円の予算化にとどめるなどの状況と比較して、軍事費や大企業の国際競争力強化とかかわる多額な予算が聖域化されていることは否めない。

 国債依存度が41.8%にのぼり、国債利払いなどの国債費が22.4%に達する歳入状況は、極めて異常である。政府は、この点も強調し、社会保障費をはじめとする国民生活関連の歳出抑制に加え、消費税を中心とする大衆増税にひた走っている。しかし、多国籍企業化し、史上空前の儲けをため込む大企業の社会的責任や一部の大金持ちからの「富の再配分」を強める施策は決して取ろうとしていない。
 国公労連は、歳入と歳出の両面から、国民本位の財政への転換を強く主張する。そのことから、05年予算政府案の抜本的な見直しを求めて、とり組みを進めるものである。

2004年12月24日
日本国家公務員労働組合連合会  
書記長  小 田 川 義 和

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