定率減税廃止、消費税率引き上げなどの大衆増税に反対し、
大企業優遇税制の是正を求める決議


 政府税制調査会は11月25日、「平成17年度の税制改正に関する答申」をまとめ、小泉首相に提出した。答申では、景気が回復している一方で、プライマリーバランスの悪化が経済全体の健全な発展を阻害しているとして、今後の税制改革の道筋について「全体として税負担水準の引き上げを図ることが必要」との考え方を示している。また、歳出面からの財政構造改革についても、従来よりも踏み込んだ記述をしており、「聖域なき歳出の削減を進めるべき」と主張している。

 個別税目の課題では、個人所得課税では定率減税の見直しや課税ベースの拡大、税率構造をはじめ、今年の通常国会で強行採決した年金改悪をうけ、少子・高齢化社会に対応すべく人的控除の見直しを含めた諸控除の見直しなど、課税最低限の引き下げに言及している。また、消費税については税率二桁に引き上げ、食料品等の軽減税率についても「単一税率が望ましい」ことを主張するとともに、財源についても「基本的に一般財源とすべき」と、福祉目的税としての性格を変更することに言及している。一方で、法人課税に対しては引き続き「経済社会の構造変化に柔軟に対応する観点」から税率引き下げをはじめとした大企業優遇税制の強化の方針が示されている。

 「税調答申」がいう「好転している」景気の実態は、一部大企業が好調であるだけであり、中小企業では依然低迷し、総人件費抑制や小泉「構造改革」で、全世帯の消費支出は減少し、家計や国民生活は悪化の一途を辿っている。また、構造的な貧富の差の拡大、雇用や働くルールの「破壊」による労働者の二極化など、社会的な負の側面が顕在化している。

 このような状況のなかでの大企業優遇税制と大衆課税の強化を内容とした「答申」は、国民共同の利益である公共サービスの「商品化」を進め、国民生活の格差が拡大している状況をより悪化させるものであり、厳重に抗議する。国公労連は、定率減税の廃止や消費税の引き上げをはじめとした大衆課税には反対するとともに、大企業が社会的責任を果たす社会の実現のため、大企業優遇税制の是正を強く求めるものである。
 
 以上、決議する。



2004年12月11日
日本国家公務員労働組合連合会
第121回拡大中央委員会


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