【第121回拡大中央委員会】
2004年12月10日

中央執行委員長あいさつ

日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 堀口士郎


 拡大中央委員会にご出席いただいた皆さんのご奮闘に心より敬意を表します。
 ブロック・県国公の皆さんは昨日からの引き続く参加となりますが、ご奮闘に重ねてお礼を申し上げます。
 また、ご多忙のなか、遠路かけつけていただいたご来賓の皆さまに、あらためてお礼を申し上げます。
 あいさつの冒頭、新潟県中越地震をはじめ、台風・豪雨災害により被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げます。一日も早い復興をお祈りするものです。
 同時に、インフラ整備はもとより、被災者のいのちと暮らしを守るために、各行政分野で日夜努力されておられる国公の仲間たちに、全国の仲間を代表して心より感謝申し上げ、敬意を表するものです。

 私はまず、自衛隊のイラク派遣延長を閣議決定した小泉内閣に抗議するとともに、その責任を厳しく糾弾するものです。
 開戦の理由とされた大量破壊兵器の存在と、これにもとづくイラクの脅威なるものが欺瞞であり、イラク戦争が何の大義もない無法な侵略戦争であることは、いまや国際社会の常識です。
 ましてや、ファルージャにおいてアメリカ軍による無差別の殺戮がくり返され、多数の市民が犠牲になっている現状を見るとき、即時停戦とイラク国民の願う真の復興支援にむけた努力こそが、日本のとるべき国際貢献の道だと思います。
 自衛隊派遣はイラク特措法にてらしても違法であり、小泉首相の「自衛隊のいるところが非戦闘地域」と居直る言動は、法治国家における行政府の長としてあるまじき姿勢であり、断じて許すことはできません。
 憲法改悪阻止の運動発展とあわせて、即時停戦と自衛隊の即時撤退を求めて、引き続き奮闘していきたいと思います。

 来年は春闘開始から50年にあたります。
 同時に、私たちの先輩が戦争の惨禍と反省をふまえ、国民とともに歩む国公労働運動を立ち上げてから60年の節目でもあります。
 そして、その歴史と伝統を受け継いだ国公共闘が国公労連として組織発展を遂げ、名実ともに国公産別運動のセンターとして、いっそうの発展を誓いあってから30年の節目を迎えます。
 この節目の年が日本の進路と私たちの要求にとって歴史的なたたかいの年になるであろうことは共通の認識だと思います。
 そのスタートである春闘を旺盛にたたかい、展望をきりひらく節目の年にするべく決意を固めあいたいと思います。

 全労連は来春闘にむけて、日本を弱肉強食の差別社会・戦争する国につくりかえようとする政府・財界の攻撃と真正面から向きあい、安心・平等・平和な社会をめざす国民的な共同闘争を呼びかけています。
 国公労連はこの提起を全面的に受けとめ、全労連運動の一翼を担って奮闘する決意です。

 そのことを基本に、まず憲法改悪反対のたたかいについて申し上げます。
 自民党は国民投票法案や憲法改悪の地ならしともいえる教育基本法改正案を、通常国会に提出する予定です。
 また、民主党は3月にも改憲の「提言」をまとめるとしており、情勢は重要な局面を迎えます。
 11月17日には自民党憲法調査会の「改正大綱原案」が明らかとなりました。
 この内容は、「国家権力を制限し、人権を保障する」憲法の基本原則と、平和、民主主義の諸原則を否定し、国民への統制を強め戦争協力を強要するものとなっています。
 毎日新聞の社説で「古色蒼然」と指摘されたように、時代の流れに逆行する国家主義を全面におしだすものであり、改憲勢力の本音が明らかになっています。
 この「原案」が自民党内の反発で「仕切り直し」となったように、改憲の狙いが明確になればなるほど、改憲勢力と国民の間の矛盾が拡大していくことは明らかです。
 いまの局面は春闘方針案で記述したように「改憲勢力のとりくみと我々の運動のどちらが早く国民的な支持を広げるか」だと思います。
 大事なことは一人ひとりの組合員が憲法の持つ歴史的意義や先駆性・普遍性を学び、日々携わっている行政・司法の基本原則が憲法にあることに、確信を持つ仲間を増やすことです。
 春闘のとりくみをつうじて職場に憲法の風を吹かせるため全力を上げたいと思います。

 次に当面する課題について申し上げます。
 1つは、「公共サービスの商品化」・民営化に反対するたたかいです。
 政府は2005年・6年を重点期間としており、民営化反対・国民のための行政を守れのたたかいは最重要の課題です。
 強調したいことの1つは、小泉「構造改革」の柱ともいうべき「官から民へ」「国から地方へ」の攻撃によって、国民のいのちとくらしを守るべき行政の根幹そのものが脅かされているという状況を、共通の認識にする必要があるということです。
 働かなければ生きていけない労働者にとって、その人権を直接保障する職安行政の民間開放や、社会保障の基本である年金・社会保険業務の民間化・市場化攻撃はその典型だと思います。
 各単組分野での攻撃の形態はさまざまですが、国公産別として統一闘争をすすめる上でこれらの危機意識を共有することが大切です。
 また、「三位一体改革」は国や自治体が責任を負うべき社会保障や教育予算を削減し、福祉や教育の分野で全国一律のサービスを保障する仕組みを崩壊させるものであることは
明らかです。
 「国から地方へ」の本質が、弱肉強食の社会づくり、国の借金のつけ回しによる住民犠牲の方向であることがはっきりしたと思います。
 これらの観点を、公務リストラや義務教育費国庫負担削減反対でたたかっている地公の仲間とも共有し、公務産別全体のとりくみを強めていきたいと思います。
 もう1つは、「構造改革」の流れに歯止めをかけるためには、産別全体、全労連全体の力の集中をはかることが必要だということです。
 国公労連は、小泉内閣が「構造改革」の試金石と位置づけ、春闘期において民間化の焦点となる郵政民営化反対のたたかいを重視したいと思います。
 このとりくみと国公産別・単組課題を結合しながら、国民のための行政守れの世論を大きくしていきたいと考えています。
 また、全労連は、国民共有財産の解体、国民サービス切り捨てに反対する立場から、郵政民営化反対のたたかいを重点課題と位置づけ全国的なたたかいを提起しています。
 公務労組連絡会もその立場で奮闘することを確認しており、各単組・県国公の皆さんの積極的な結集をお願いするものです。
 
 3つは、公務員制度「改革」のたたかいです。
 政府・推進事務局が臨時国会への関連法案提出をめざすもとで、これを阻止したことは運動の到達点として確認したいと思います。
 しかし、臨時国会に法案が提出されなかったことや通常国会提出もむずかしいとのマスコミ報道をうけて、職場に安堵感が広がったり、この課題を後景に追いやるということがあってはならないと思います。
 いまの局面は、政府が労働組合との交渉・協議を打ち切って通常国会への法案提出を強行するのか、その他の手だてを講ずるのかのせめぎ合いの状況だと思います。
 私たちの要求はあくまでもILO勧告にもとづく民主的制度の確立です。
 国立病院の独法化移行の際、賃金職員の雇い止めや正規職員の労働条件切り下げが強行されました。
 この教訓に見られるように、労働基本権制約をテコに公務の民間化や独法化、定員削減や給与制度の「見直し」など、行政の切り捨て、労働条件の改悪が強行されていることに、もっと危機感と問題意識をもたなければならないと思います。
 経団連は1月の経労委報告で公務員制度「改革」にふれるべく研究をすすめているといわれています。
 「小さな政府」づくりと一体ですすめられる「もの言わぬ公務員」づくりへの、政府・財界の執念をいささかも軽視することがあってはならないと思います。
 国公権利裁判のとりくみとあわせて、いっそうのご奮闘をお願いするものです。
 
 4つは、給与制度「見直し」に対するたたかいです。
 人事院の「素案」に対する私たちの要求は、賃金引き下げとなる制度「見直し」はおこなうなということです。
 この間、約9割の県国公で学習会が開催され、課題の重要性に対する認識が広がりつつあります。
 重視したいことは、すべての職場から管理職を巻き込んだ反対の声を上げるということです。
 「見直し」の狙いが、公務員制度「改革」とも相俟って、差別・分断による低賃金労働者づくりにあることは明らかです。
 給与引き下げには何らの合理性もないこと、「見直し」が公務のあり方、一人ひとりの人生設計や働きがいにも大きな影響をおよぼすこと、労働条件の重大な不利益変更は断じて許さないとの声を、すべての職場から人事院に集中したいと思います。
 同時に、この攻撃が財界の基本戦略でもある「小さな政府」づくりの一環であることを見るとき、たたかいの輪を広げ、地方・地域から反対の世論をどれだけ中央に集中できるかが重要なポイントだと思います。
 三位一体改革によって国からの補助金・交付税が削減されるもとで、地方自治体では公務のリストラとあわせて、職員の賃下げ攻撃がさらに加速されてくることは明らかです。
 政府・財界の狙いは、国民に貧乏比べをさせながら、国、自治体、民間労働者の地場賃金を引き下げることにあり、地方経済のいっそうの疲弊に直結することをアピールしていく必要があります。
 地方の切り捨て、地方経済の衰退を許すなの要求で、地公の仲間はもとより、民間労組、商工業団体などとの連携・共同を広げ、中央に迫るとりくみを展開したいと思います。

 最後に組織拡大の課題です。
 「チャレンジ30」のとりくみは、まさに「待ったなし」の状況です。
 この間、未組織職場での労働組合の立ち上げ、非常勤職員・相談員の組織化や拡大とあわせて、国公一般の活動が軌道に乗るなかで、本省庁職場からの労働相談が加入に結びつくなどの成果があらわれています。
 これらの教訓は、緻密な計画と要求を基本とした真摯な対話活動、目に見え、音を出しての日常活動の重要性にあると思います。
 さまざまな困難を乗り越えて、今年こそすべての単組・県国公で組織の減少に歯止めをかけ、反転増勢の年にするべく決意を固めあいたいと思います。
 皆さんのご奮闘をお願いしてあいさつを終わります。



以上


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