イラクからの速やかな自衛隊の撤退を求める(談話)

 国連安全保障理事会は、日本時間で6月9日の午前、イラク暫定政府への「主権移譲」と「占領終結」を承認し、アメリカ主導の「多国籍軍」の一定条件付での駐留を認めることなどを内容とする「決議1546」を全会一致で採択した。
 国公労連は、国連主導の枠組みでのイラク復興支援と、そのもとでのイラク国民の意思にもとづく新政府が樹立され、一日も早くイラクに平和な日々が訪れることを強く願うものである。

 しかし、マスコミなどが報道するイラクの状況は、米英軍を中心とする占領軍と、それに抵抗する勢力との戦争状態が続いている。占領軍による市民に対する弾圧や「捕虜」への拷問・虐待に対するイラク国民の怒りは極めて強く、そのことが戦闘状態をより深刻にしていることが伝えられている。その戦争の一方の当事者であるアメリカを中心にした「多国籍軍」が編成され、引き続き、イラクに駐留することになれば、戦争状態が継続する危険性が容易に想定される。

 日本時間の6月9日の未明にブッシュ・米国大統領との首脳会談に臨んだ小泉首相は、あらたな国連決議を歓迎するとし、「多国籍軍」に自衛隊を参加させる意向を表明した。
 この会談に先立つ6月1日、国会で、内閣法制局長官は、自衛隊が武力行使をおこなわなければ、「多国籍軍」全体が戦闘をおこなっても集団的自衛権行使に当たらないとする答弁をおこない、従来の憲法解釈を変更した。小泉首相の意向表明は、そのような「政府見解の変更」を念頭においていることは容易に想定される。

 また、政府は、イラク特措法の改正など、国会の関与をへて「多国籍軍」への参加を決定するのではなく、政令レベルでの処理で、解釈改憲の既成事実化をはかろうとしている。  
 先にも述べているように、イラクの状況は戦闘状態にあり、自衛隊が駐留する地域でも戦闘が発生していることが伝えられている。その点で言えば、「自衛隊を戦闘地域に派遣しない」としたイラク特措法違反の状況にある。
 国連決議でも6月末で占領が終結することが確認された以上、イラクの主権が回復されることになる。主権を有する他国の領土に武装した自衛隊が駐留し続けることは侵略行為にほかならず、ここでも憲法第9条に違反することになる。
 アメリカ中心の「多国籍軍」の指揮下に自衛隊が組み込まれる違憲状態以前の問題として、駐留し続けることの違法性、違憲性も問題となっているのである。

 国公労連は、憲法を遵守し、法治国家の実現にとりくむ労働組合として、自衛隊のイラクからの即時撤退を強く主張し、政府の決断を求めるものである。

2004年6月11日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 小田川義和


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