退職時特別昇給の廃止にあたって(談話)

  人事院は、勤続20年以上の国家公務員の「退職時特別昇給」制度を5月1日から廃止することを決定した。これに伴い、「初任給、昇格・昇給等の基準」(人事院規則9−8)第39条第3号「(勤務成績の特に良好な職員が)20年以上勤続して退職する場合」は削除されることになった。
 この問題は、公務員の退職金の不当な上積みが行われているとのマスコミ報道を発端とするもので、人事院が以前から問題認識を持っているものではなかった。それにもかかわらず、人事院は自ら内部運用を改めるとともに、2月19日に、国公労連に対して「退職時の特別昇給については、可及的速やかに廃止する方向で見直しを検討することとしたい」との提案を行い、また、国会においても、2月23日の衆議院予算委員会で中島人事院総裁が「廃止を含め見直したい」と答弁するなど、廃止に向けての積極的な動きを見せていた。
 こうした動き対して、国公労連は2月27日に人事院に対して退職時特昇の「見直し」に関する要求書を提出し、「退職手当額を引き下げる退職時の特別昇給廃止は強行しないこと」を求めた。
 しかし、その後3月31日に人事院が「見直しを行うということで問題提起した退職時の特別昇給については、今年度の実施状況を見た上で結論を出すと話をしてきた。本日までの実施状況は、おおむね従来と大きく変わらない見通しであり、方針通り廃止せざるを得ない」とし、「近々、正式決定の手続きに入る。実施の時期については、周知期間をおいて速やかに実施する」ことを明らかにした。これに対して、国公労連は各職場からの「退職手当額を引き下げる退職時の特別昇給廃止は強行しないこと」を求める緊急要請打電の取り組みを展開してきた。
 言うまでもなく、退職時特別昇給の廃止は、退職時の俸給月額引き下げを通じて退職手当水準に影響を与え、10月からの退職手当の調整率の引き下げにさらに「追い打ち」をかけるものである。当然、2003年通常国会において官民均衡を建前に強行された退職手当「見直し」の前提とその正当性をくつがえすことになるものである。
 しかし、その点に関して人事院は「決定後退職手当を主管する総務省に対して、(退職手当に影響することについて)適切に検討するよう話をする」と述べるにとどまり、自らの決定が職員に重大な不利益をもたらすことへの責任を果たそうとしていない。その点も含め、今回人事院がわれわれとの十分な交渉・協議もなく、「退職時特別昇給」制度の5月1日からの廃止を決定したことは、公務員の勤務条件決定のあり方として大きな問題を残したことは明らかであり、断じて容認できない。
 国公労連は人事院の決定に抗議し、今後総務省に対して退職手当水準に影響を与えないよう求める取り組みを進める決意である。
2004年4月5日
日本国家公務員労働組合連合会
   書記長 小田川義和

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