「国公法違反」口実の不当逮捕に断固抗議する(談話)
〜異常で時代錯誤もはなはだしい〜

2004年3月4日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 小田川義和

 警視庁公安部は、3月3日、昨年の衆議院議員選挙(11月9日投票)を前に、政党機関紙(日本共産党「しんぶん赤旗」号外)などを配布した行為が国家公務員法(政治的行為の制限)に違反するとして、厚生労働省社会保険庁の目黒社会保険事務所に勤務する国公労働者を不当逮捕し、自宅など6カ所を家宅捜索した。

 国公労連は、まさに異常ともいえる今回の不当逮捕に、満身の怒りをこめて断固抗議する。今回の不当逮捕は、4カ月も前の行為でかつ正当な政治活動に対し、選挙の取り締まり担当部局でない公安部が今になって乗り出してきたことからも明らかなように、国公労働者・労働組合と革新政党に対する不当弾圧以外の何ものでもない。

 さらにその口実を「国家公務員法違反」としていることは二重三重にも不当であり、国公労連として断じて認めることはできない。政治活動の自由は、すべての国民に保障された憲法上の権利として「表現の自由」(21条)の中核をなすものであり、公務員といえどもその例外ではない。したがって、公務員に制約を課す場合でも、憲法理念に照らしてその濫用を厳に慎むべきことは、多くの判例も認めているところであり、今回の不当逮捕は捜査権の濫用以外の何ものでもない。

 そもそも国公法第102条による政治的行為の制限は、国公労働者・労働組合への攻撃として、争議権の剥奪、団体交渉権の制限とあわせて行われたことからみても、極めて不当なものである。諸外国においても特殊な歴史事情をもつアメリカを除いてはその例をみず、そのアメリカでも刑事罰は存在しない。

 国公労連は、不当逮捕された当該国公労働者の釈放を直ちに要求する。そして、こうした不当弾圧を二度と許さず、国民のための民主的な公務員制度を確立するためにも、ILO勧告にそった労働基本権の回復とともに、公務員の市民的・政治的自由の確立を求めて全力でたたかうものである。
以  上


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