自衛隊のイラク派兵に反対し、有事法制の
発動を許さず、平和と民主主義を守る決議

 今月26日、与党である公明党が、イラクへの陸上自衛隊本隊の派兵を了承したことをうけて、防衛庁長官が陸上自衛隊本隊と海上自衛隊に対し、イラクへの派兵命令を出した。2月3日に施設部隊が、2月下旬から3月下旬にかけ主力部隊が派兵されようとしている。
 小泉・自公政権が決めたイラクへの陸上自衛隊本隊の派兵は、戦後初の地上部隊の海外派兵であり、米英両国の無法な侵略戦争と不法な占領支配に参加し、憲法が禁止した「交戦権」の行使に踏み込む重大な決定である。

 戦争状態が続いている国にでかけ、そこで武器を組織的に使用すれば、憲法が禁止している武力行使そのものである。小泉首相は、イラクへの自衛隊派兵を「人道復興支援活動」というが、派遣計画には「安全確保支援活動としての医療、輸送、補給等」の米英占領軍の軍事作戦の兵たん支援も含まれている。日本が、米英占領軍の軍事占領の一翼を担えば、それは従来「違憲」として否定してきた「交戦権の行使」に該当するものである。
 この憲法9条を蹂躙する暴挙に対し、私たちは断固抗議するものである。

 そもそもこのイラク戦争は、米政府捜索チーム責任者が「イラクに大量破壊兵器は存在しなかった」と言明し辞任したように全く大義がなく、また国連の決定によらない無法な侵略戦争であった。自衛隊派兵は、戦争の継続としての米英軍の占領に加担するものに他ならない。
 また、小泉首相は、現在37カ国がイラクに軍隊を派兵していることをあげ、派兵は「国際社会の一員としての責任」だと強調している。しかし、国連加盟国191カ国のわずか5分の1であり、フランス、ロシア、中国、ドイツをはじめ、派兵拒否が国際社会の多数派になっている。

 いま、政府がやるべきことは自衛隊派兵ではない。即刻、イラク派兵を中止し、米英軍の軍事占領を早く終わらせ、国連中心の枠組みによる復興支援にきりかえ、イラク国民に主権を返還することである。そのために、憲法9条を持つ国として、米国への説得も含めて外交努力をすべきである。
 第159回通常国会で政府・与党は、昨年、強行成立した有事法制に続き、海外での戦争に自衛隊・地方自治体・民間企業・国民を総動員させる「有事関連7法案」の成立を目論んでいる。さらには、憲法解釈の変更や憲法の改悪を行おうとしており、「戦争をしない国」から「戦争をする国」へ変貌させようとしている。

 私たち国公労連は、国家公務員労働者として憲法遵守の立場から、「戦争をする国」づくりを行わせないため、イラク派兵を即刻中止し、有事関連7法案を廃棄させ、平和憲法の改悪を許さず、平和で安心して暮らせるために、組合員のみならず広範な労働組合、民主団体とともにたたかう決意である。
 以上、決議する。
2004年 1月30日
日本国家公務員労働組合連合会
第119回中央委員会

トップページへ  前のページへ