自衛隊のイラク派兵に反対する決議

 政府は、12月9日、多くの国民が反対するなか、イラクに自衛隊を派兵する「基本計画」を閣議決定した。これは、復興支援の名のもとに、米英軍の無法な戦争と軍事占領を支援するとともに、憲法第9条を蹂躙して海外での武力行使に道を開く暴挙であり、断じて許すことができない。
 「基本計画」は、医療、給水、学校等の公共施設の復旧・整備などの「人道復興支援活動」とともに、「安全確保支援活動」として、イラク国内で治安維持活動を行っている米英占領軍などに対し、医療、輸送、保管、通信、建設、修理・整備、補給といった軍事支援ができると明記している。また、派兵の前提条件である「非戦闘地域」の特定ができないまま、装輪装甲車や無反動砲、個人携帯対戦車弾などの重装備で自衛隊を派兵しようとしている。
 閣議決定後の記者会見で小泉首相は、日米同盟強化をとなえるとともに、憲法前文を持ち出してイラク派兵について、国民に理解を求めた。
 しかし、憲法前文は、各国の主権の尊重・平等をうたったものであり、それを乱暴に踏みにじったのが、今回の米英軍のイラク攻撃と占領である。憲法9条を踏みにじって、自衛隊を海外派兵し、米英占領軍を支援しようとする小泉首相に憲法前文を語る資格はない。
 小泉首相は、ブッシュ米大統領の戦闘終結宣言後、「戦闘は終結している。大きな戦闘は終わった」と繰り返し述べてきた。しかし、11月29日にイラク北部のティクリットで、復興支援活動中の同じ国家公務員労働者である日本人外交官2人が銃撃され死亡したように、イラク全土がいまだに戦闘状態であり、「戦闘地域にはいかない」というイラク特別措置法の前提はすでに崩れている。
 イラク全土が戦場化するもとで、米英軍の軍事占領を重装備で支援する自衛隊は、占領軍の一部とみなされ攻撃の対象にされることは避けられない。このまま、イラク派兵を強行するなら戦後はじめて、他国の領土で自衛隊が戦死者を出したり、他国民を殺害することにつながりかねない。
 いま、政府がやるべきことは自衛隊派兵ではない。米英軍の軍事占領を早く終わらせ、国連中心の枠組みによる復興支援にきりかえ、イラク国民に主権を返還することだ。そのために、憲法9条を持つ国として、米国への説得も含めて外交努力をすべきである。
 国公労連は、これまでも政府に対し自衛隊のイラク派兵を行わないよう求めてきた。これ以上、公務員労働者や民間労働者をはじめとした尊いいのちを犠牲にするわけにはいかない。海外での武力行使を禁じた憲法9条を踏みにじる自衛隊のイラク派兵を阻止し、平和憲法を守り抜くため、私たちは引き続き全力をあげて奮闘する決意である。

 以上、決議する。

 2003年12月13日
             
日本国家公務員労働組合連合会第118回拡大中央委員会

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