国公FAX速報 2003年9月16日《No.1447》
 03勧告どおりの給与改定方針を閣議決定

 政府は本日(16日)午前、私たちの要求に反し、俸給表引き下げと5年連続の年収マイナスとなる03年勧告をそのまま実施するほか、人件費抑制と定員削減を継続し、独立行政法人や地方公務員給与改定を国と同様とするなどの方針を閣議決定しました。国公労連は閣議決定に抗議する小田川書記長談話を発表しました。閣議決定に関する資料も併せて掲載します。

 2003年勧告に基づく給与法「改正」に、断固反対する
 −2年連続のマイナス勧告「完全実施」の閣議決定にあたっての談話−


 本日、政府は、2003年人事院勧告の完全実施を決定した。
 国公労連は、この閣議決定に厳しく抗議するとともに、2年連続のマイナス勧告「完全実施」にあくまでも反対する。
 5年連続の年収切り下げ、2年連続のベースダウンという勧告の「完全実施」は、長時間・過密労働や過労死の続発という公務員労働者の生活と労働の実態に照らした切実な要求からして、到底受け入れられない。ましてや、4月に遡っての不利益遡及は論外である。国公労連は、その立場から、給与法「改正」反対を明確にし、8月8日の勧告日以降、職場からの上申行動や中央行動を背景に、各級レベルの交渉を積み上げ、政府・総務省を厳しく追及してきた。
 それに対して、政府は、使用者としての責任を果たそうとせず、「人勧尊重が基本姿勢」との回答を繰り返すという不当な対応に終始した。

 今回の勧告の1.07%逆較差は、今年の春闘結果や各種の調査に照らしても過大であるとともに、人事院の調査においても賃下げ実施企業がわずか数%にすぎない現実を完全に無視した「情勢適応の原則」を逸脱する内容であった。この勧告の「完全実施」は公務員のみならず、我が国全体の社会・労働情勢を一段と悪化させる「悪魔のサイクル」の選択に他ならない。
 また、4月に遡っての賃下げの「調整」は、昨年と異なる調整方法を実施しようとも、不利益遡及そのものである。しかも、今回の調整方法は、初任給近辺の調整幅が大きくなるなど、合理性にも重大な問題がある。昨年の遡及実施が独立行政法人や特殊法人、民間企業に与えた悪影響を考えれば、不利益不遡及という最低限のルール破壊が広がることも強く懸念される。
 さらに、今回の勧告に関しては、異動保障の見直し問題に見られるように、本来部内の合意が何より優先されるべき問題への政治的介入を黙認するという重大な権利侵害も含まれている。

 本日の閣議決定は、真っ当な問題指摘に何ら回答することなく行われたものであり、使用者としての責任を果たしたものとは到底言えない。
 本日の閣議決定を受けて、たたかいは国会の場に移ることになる。国公労連は本年勧告の問題点を追及するたたかいを引き続き継続する。
 財政悪化を口実に、地方公務員など人勧準拠労働者への賃下げ攻撃が強められようとしている状況にも目を向け、不当な人事院勧告の悪影響をくいとめるためにたたかう750万労働者との共同の取り組みを地域から前進させる。
 確実視される総選挙での取り組みも含め、小泉「構造改革」と対決し、「増税反対、年金改悪反対」などの国民的な課題と職場の諸要求実現のたたかいを結合し、2003秋闘の諸行動を職場、地域から全力を上げて展開する。

【資料1】公務員の給与改定に関する取扱いについて(閣議決定)
1 一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員の給与については、去る8月8日の人事院勧告どおり改定を行うものとする。
 なお、公務能率及び行政サービスの一層の向上を図るとともに、官庁綱紀の厳正な保持、公正な公務運営の確保に努めるものとする。
2 特別職の国家公務員については、おおむね1の趣旨に沿って、その給与の改定を行うものとする。
3 1及び2の給与改定については新たな追加財政負担は要しないが、我が国の財政事情がますます深刻化していることを考慮すれば、行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を極力抑制するとの基本方針は堅持する必要がある。そのため、行政事務・事業の整理、民間委託、人事管理の適正化等行政の合理化、能率化を積極的に推進する等の措置を講ずるとともに、定員については、「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画」(平成11年4月27日閣議決定)、「新たな府省の編成以降の定員管理について」(平成12年7月18日閣議決定)等に基づき、各府省とも、更なる減量・効率化や定員振替に努力し、計画を上回る定員削減に積極的に取り組むことにより、真に必要な部門への適切な定員配置を図りつつ、引き続き国家公務員数の純減を行う。また・独立行政法人についても・中期目標設定・評価等に当たって役職員数も含めた一層の事務運営の効率化を図る。さらに、特殊法人等についても厳しい定員削減を実施する。
 地方公共団体についても、国の措置に準じて措置するように要請する。また、地方公共団体に定員の増加を来し、人件費の累増をもたらすような施策を厳に抑制する。
4 独立行政法人の役職員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与水準を十分考慮して適正な給与水準とするよう要請する。独立行政法人及び主務大臣は、総務大臣が定める様式により、役員の報酬及び退職手当並びに職員の給与の水準を国家公務員等と比較できる形で分かりやすく公表することとする。また、特殊法人等の役職員の給与改定に当たっても、国家公務員の例に準じて措置されるよう対処するとともに、事業及び組織形態の見直しを通じた給与等の適正化を進めるものとする。
5 地方公共団体における地方公務員の給与改定に当たっては、現下の極めて厳しい財政状況及び各地方公共団体の給与事情等を十分検討の上、国と同様、行政の合理化、能率化を図るとともに、既に国家公務員又は民間の給与水準を上回っている地方公共団体にあっては、引き続きその適正化を図るため必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
 また、地域における国家公務員給与の在り方については、人事院において、地域における民間給与の実情等がより一層反映できる仕組みとなるよう検討を進めていくこととされたが、地方公務員給与の在り方についても、国の検討状況も踏まえつつ、地域毎の公務員給与と民間給与の比較方法をより一層精確に示すなどの方法により、地域毎の実態を踏まえた見直しを行うよう要請するものとする。

【資料2】内閣官房長官談話
 政府は、本日の給与関係閣僚会議及びそれに引き続ぐ閣議において、一般職国家公務員の給与改定を人事院勧告どおり実施するなどの公務員の給与改定の方針を決定しました。
 本年度の国家公務員の給与改定に関する方針を決定するに際しては、民間が厳しい経済状況にあること及び我が国の財政事情等を踏まえ、政府としては、納税者たる国民の理解の得られる適正な結論を出すべく、検討を進めてまいりました。
 本年度の勧告は、現下の民間の給与実態を反映し、昨年度に引き続き、俸給等を引き下げるとともに、期末手当を引き下げることとするものであり、この結果、職員の平均年間給与が5年連続、かつ、過去最大の引下げになるという厳しい内容であります。これを踏まえ、人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立うて、国政全般の観点から検討を行った上で、本日、勧告どおり実施することを決定したところであります。
 政府としては、この給与改定の実施については、新たな追加財政負担は要しないが、ますます深刻化している財政事情等にかんがみ、行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を極力抑制するとの基本方針を今後とも堅持する必要があると考えております。そのため、行政の合理化、能率化を強力に推進するとともに、定員については、引き続き国家公務員数の純減を行う所存であります。
 公務員諸君は、今回の決定が現下の厳しい諸情勢を踏まえてなされたものであることを十分理解し、今後とも、国民の信頼にこたえ、公務能率及び行政サービスの一層の向上を図るとともに、官庁綱紀の厳正な保持、公正な公務運営の確保に努めるよう強く期待するものであります。

【資料3】総務大臣談話
 政府は、本日の閣議において、一般職の国家公務員の給与改定について、人事院勧告どおり実施する決定を行いました。
 この決定を踏まえ、総務省としては、今後、関係府省との連携を密にしつつ、早急に給与改定法案を国会に提出するよう努力する所存であります。
 また、行政改革に積極的に取り組むことを基本とし、従来にも増して、行政事務・事業の整理、人事管理の適正化等行政の合理化、能率化を強力に推進するとともに、引き続き厳しい定員管理に努めてまいる所存であります。
 地方公務員の給与改定については、国家公務員の給与改定に準ずるべきものと考えます。
 各地方公共団体においては、地方財政が引き続き極めて厳しい状況にあり、その健全化が重要な課題となっていること及び地方公務員の給与のあり方について国民の強い関心が寄せられていることを十分認識し、給与水準等が不適正な団体にあっては、給与制度・運用の見直しを行うなど、必要な是正措置を併せて講ずるべきであります。
 また、分権型社会にふさわしい行政体制の整備に努める必要がありますので、引き続き、数値目標を掲げた定員適正化計画の着実な実行及びその積極的な見直しを行うことにより人件費の抑制を図るとともに、自主的・計画的な行政改革の推進と簡素かつ公正を旨とした行政運営に一層努力を払われるようお願いいたします。
以上

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