「戦争法」の発動を許さず、平和憲法の遵守に全力を尽くす決議

 いまこの国は、軍国大国化にむけて急速に舵を切っている。小泉内閣は、先の通常国会で、日本を「戦争をする国」に変質させる「有事関連法」と、自衛隊の海外派兵をねらう「イラク復興支援特別措置法」を、多くの国民の反対を押し切って強行成立させた。そして、小泉首相は、早ければ来年すぐにも自衛隊をイラクへ派遣しようとしているだけでなく、2005年をめどに自民党の憲法「改正」案をまとめるよう指示し、改憲にむけた「国民投票法案」を早ければ来年の通常国会に提出することを明らかにした。憲法9条を明文上も改悪し、アメリカの求めに応じて集団的自衛権の行使に踏み出そうとしていることは明らかである。

 「イラク特措法」の国会審議を通じて、「イラクの大量破壊兵器保有」というアメリカとイギリスによるイラク攻撃の根拠が破綻しただけでなく、その後イギリス・ブレア政権による証拠捏造事件も暴露されるなど、戦争の「大義」などかけらも残されていない。そればかりか、アメリカ・ブッシュ政権による「イラク戦争終結宣言」以降も連日武力衝突が続く中で、8月19日にはバグダッドの国連現地本部が爆破されて百数十名の死傷者が出るなど、依然として全土が「戦闘地域」となっている。こうした事態での自衛隊派兵が、アメリカのイラク占領への加担という国際法上も憲法上も許されないことは明らかである。

 自国の利益のためには戦争に訴えることをためらわないアメリカに対し、イラク攻撃をくい止めようと、世界各地で人類史上空前の反対運動が湧き起こった。日本でも若者を中心に自発的な反戦運動が各地で起こり、労働者・労働組合や市民・民主団体が幅広く連帯した大集会が幾度も開催された。そして、今年の原水爆禁止世界大会は、イラク戦争反対の国際的な運動の高まりの中で、非同盟諸国の代表をはじめ約1万もの人々が参加し、その約6割を占めた青年たちのパワーが平和な未来への確信を与えるなど、核兵器も戦争もない世界をめざす壮大な反核平和運動を発展させる新しい契機となった。

 私たちは、過去の侵略戦争の惨禍と反省の上に立ち、日本国憲法を遵守し発展させる義務を負う国公労働者として、「戦争をする国」へのあらゆるもくろみに断固反対する。「戦争法」の発動はもとより、今後予定されている「国民総動員法(国民保護法制)」の制定準備や自衛隊の海外派兵を常時可能にする「恒久法」の制定策動を許さないたたかいに全力をあげる。そして、強まる改憲策動に反対し、戦争放棄と恒久平和、基本的人権尊重など憲法の諸原則を擁護・発展させるため、「憲法遵守職場宣言」をはじめ「憲法を職場、くらし、行政に生かす」運動を旺盛に展開し、国民的なたたかいの一翼を積極的に担って奮闘していくことを決意する。

 以上、決議する。

2003年8月29日
日本国家公務員労働組合連合会第49回定期大会

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