公務員制度改革の徹底した交渉・協議を求める(談話)
 〜関連法案の性急な閣議決定に断固反対する〜

 第156回通常国会の会期末(6/18)が3週間後に迫り、有事関連法案、労働法制改悪案など、労働者・国民の「雇用、くらし、いのち、平和」を根底から脅かす諸悪法の成立強行をめぐって緊迫した情勢が続いている。
 こうした中で、政府・行政改革推進事務局は、公務員制度改革関連法案(国家公務員法「改正」案、能力等級法案、官民交流法「改正」案、地方公務員法「改正」案)を何とか今国会に提出しようとやっきになっている。
 国公労連は、この間、4月4日の行革推進事務局長との交渉などを通じて、(1)公務員制度改革に関わって、国公法第108条の5(労使交渉)の趣旨に準じて対応し、一致点が見い出せるよう交渉・協議を進める、(2)国公法「改正」案などの閣議決定を問答無用で強行しない、(3)ILO勧告をふまえた労働基本権の議論を切り離さず交渉・協議を進める、ことを確認して対応を強化してきた。
 しかし、公務員制度改革関連法案に関わって、国公労連との実質的な交渉・協議は未だ行われていないだけでなく、各府省との協議や国民的な議論を欠いたまま、「政官財ゆ着」の温床となる「天下り」の自由化、特権的キャリア制度の温存などを図ろうとしていることに国民やマスコミの批判が集中している。
 また、新人事制度の柱である「能力等級制度」について、「勤務条件性がなく、労使間の交渉事項ではない」とする枠組みは、集団的労使関係の否定であり、昨年11月のILO勧告と整合しないばかりか、労働基本権を侵害する憲法上の問題も有している。
 しかも、労働基本権制約の「代償措置」としての人事院の権限を規制し、使用者である内閣及び各府省の人事管理権限や人事院への関与を拡大する「中央人事行政機関の役割見直し」については、具体的な条文は未だ提示されず、議論の俎上にものぼっていない。
 さらに、給与法や政令、人事院規則などの関係法令については、その概要も一切示されておらず、「改革」後の公務員制度の全体像は不透明なままとなっている。
 以上のことからも明らかなように、政府・行革推進事務局による公務員制度改革は、その進め方が非民主的なこともあって、「何のための改革か」さえ曖昧なままであり、関連法案の閣議決定が行える段階とは到底いえない。
 国公労連は、国民のための民主的で公正・効率的な公務員制度を確立する立場から、また当該国公労働者の多数を組織する労働組合として、将来に禍根を残さないためにも、政府・行革推進事務局による公務員制度改革関連法案の一方的な閣議決定・国会提出に断固反対し、ILO勧告もふまえた交渉・協議を尽くすよう強く求めるものである。
2003年5月29日
日本国家公務員労働組合連合会 
書記長 小田川義和

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