国家公務員退職手当法「改正」法成立にあたっての談話

 本日(5月28日)参議院の本会議において、国家公務員の退職手当の支給水準について、官民均衡を図るために設けられている調整率を100分の6引き下げることを主な内容とする退職手当法「改正」法が、共産党、社民党を除く政党の賛成で可決・成立した。
 国公労連は、連年にわたる年収マイナスという厳しい生活実態や長時間・過密労働の実態の中、公務員労働者の退職後の生活の糧となる退職手当の引き下げは断じて認められないという固い決意の下、運動を積み上げてたたかってきた。
 職場からも政府・総務省に対し、「退職手当引き下げ反対署名」や中高年を中心とする上申行動などの大衆行動をとりくむとともに、中央行動をも配置し追及を強めてきた。
 しかし、政府は、こうした職場からの声に耳を傾けず、公務員労働者の退職後の生活を直撃する退職手当引き下げの意向を変えず、使用者として切り下げの姿勢に固執し続けた。
 国公労連は、退職手当法「改正」法案が閣議決定され、国会に提出された段階においても、法案に反対するたたかいを取り組んできた。
 にもかかわらず、国会では、衆議院・参議院を合わせて5時間に満たない短時間の審議において採決が強行された。
 このような短時間の審議ではあったが、国会論戦を通じて総務大臣は「勤続報償だが、生活保障的な性格や賃金後払い的な性格もある」「職員団体の意見を聞く必要は十分ある」と退職手当の性格について勤務条件性を否定できない回答を行い、高級官僚の高額な退職金についても「制度改正を視野に入れながら、総合的な検討が必要」との問題意識を表明した。このことは今後のたたかいに引き継ぐ成果であった。
 しかし、国家公務員賃金の社会的な影響からすれば、退職手当についても、消費不況下をいかに打開するかといった日本経済に与える影響などの真剣な議論が必要にもかかわらず、わずかな審議で採決が強行されたことは重大な問題である。また、公務員の労働基本権制約のもとで、民間準拠にのみ基づく一方的な改定は容認できるものではない。
 国公労連は、生活改善に向けたたたかいを強化するため、引き続き労働者・国民との共同拡大めざして全力をあげてたたかう決意である。この間の全国の仲間の奮闘に心から敬意を表しつつ、人勧期の賃金闘争も展望したたたかいへのさらなる結集を呼びかける。
2003年5月28日
日本国家公務員労働組合連合会
書 記 長  小 田 川  義 和

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