国立大学法人法案の閣議決定について(談話)

2003年2月28日   
本国家公務員労働組合連合会書記長
小田川 義和


1.政府は、本日、国立大学法人法案外関連6法案を閣議決定し、国会に上程した。これら6法案は、高等教育と学術研究に対する国の責任を放棄し、むき出しの市場原理に委ねようとするものであり、断じて容認できない。

2.独立行政法人制度は、国の事務事業の内、「国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもの」を「効率的かつ効果的に行わせること」を目的に分離するものである。自主性、自律性の拡大のうたい文句とは裏腹に、主務大臣(省)による目標管理と評価、役員人事権、財務大臣(省)による予算査定を通じて、減量化・効率化を押しつけるものであり、国の機関以上に主務大臣(省)・財務大臣(省)の強い統制下に置かれるものである。

3.97年11月、国立大学協会は、「定型化された業務について効率性を短期的に評価する独立行政法人は、現在、多様な教育・研究を行っている大学に全く相応しくないもので、反対する」ことを決議した。しかるに国立大学法人法案は、通則法に定める独立行政法人制度と瓜二つであり、法人の長である学長選出手続と中期目標の期間が1年長い、評価を受ける機関が異なるという程度の違いしかない。国大協・学長がかつての方針を否定し、法人化を容認することは、高等教育と学術研究に責任を持った態度とは到底いえない。

4.それだけでなく国立大学の設置者を国でなく国立大学法人とすることで、学校教育法に定める設置者の経費負担義務から逃れている。また、教職員の身分を非公務員とすることで、身分保障をはずしている。可能な限り国立大学への経費支出を削減し、法人に職員の削減も含めた減量化を求めていこうという意図は明らかである。すでに非常勤職員の雇用承継についての明言が避けられており、大学内の「弱者」に最初の犠牲がしわ寄せされる可能性が生まれている。

5.文部科学大臣(省)・財務大臣(省)の強い統制の下、いわゆる「トップ30」(21世紀COEプログラム)をはじめとする企業の求める大学を、できる限り安価に国の支出を抑えて作ることが法人化の最大の目的であり、父母や学生には高学費が、職員には労働条件の悪化と雇用不安がもたらされようとしている。そして、法人化された「国立大学」は、短期的成果や設けにつながる分野が偏重され、高等教育と学術研究の公共性は決定的ともいえる破壊を受けかねない。

6.法案廃案と真の大学改革を求める広範な人々、大学教職員の声が澎湃としてわき起こっている。国公労連は、それらの人々と協力・共同を強め、国民世論への訴えを進め、国立大学法人化関連6法案の成立阻止に全力をあげるものである。

以上

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