第146回臨時国会の閉会にあたって(談話)


 10月29日から開催されていた第146回臨時国会は、本日(12月15日)閉会した。この国会では、一時金0.3月切り下げなどを内容とする給与法「改正」法、独立行政法人個別法などの行革関連法、官民交流法(国と民間企業との間の人事交流に関する法律)が成立した。これらの法が、国民生活への影響、行政のあり方、特権官僚制の現状などに目を向けた本質的な論議を抜きに、まともな論議もないままに相次いで成立させられたことは極めて遺憾である。行政改革関連法案の審議は、衆参あわせても32時間でしかなく、その中で59法人(86機関・事務)の独立行政法人化が強行されたことは重大な問題と言わざるをえない。

 また、借家人の追い出しにつながる「定期借家」法や、中小企業の保護施策を後退させる中小企業基本法「改正」など、経済効率や自由競争のみを前提とする規制緩和法も成立している。あるいは、治安体制を強化する「オウム新法」も成立している。さらに、財政破綻を一層深刻にする予算の「ばらまき」中心の第2次補正も成立している。このように、国民生活を破壊する規制緩和をさらにすすめる一方で、国民統制の強化につながる法の成立や、介護保険料の「徴収猶予」に示されるような財政を政権党が私物化する利権政治が、自自公連立政権の国会内の数を頼りに繰り返されたことが臨時国会の一つの特徴であった。自自公政権のもとでは、悪政が「理念」もなく進められることが一層明確になった。

 今一つの特徴は、国会内の数を頼りに悪政を推進しようとした自自公に対し、国民の批判・怒りを背景とした野党の結束が、それに一定の歯止めをかけた点である。
 それは、年金支給開始年齢を65歳に繰り延べ、支給額を5%切り下げるなどの年金改悪法の委員会採決日程を、公聴会開催以前に決定するという民意無視の国会運営に批判が集中し、衆議院議長の裁決で委員会に審議が差し戻され、今国会での成立を阻止したことに示されている。また、臨時国会冒頭の「処理」が狙われた衆議院比例定数削減問題も、国会最終盤に法案が提出されたが、国会内外の同様のたたかいで、継続審議とさせた。強大にみえる自自公政権が、「理念なき迷走」を繰り返し、国民の反撃の前にたじろがざるを得ない弱点を持っていることも、また明らかになった。選挙を通じた国民の審判を経ないままに成立した政権の一面のもろさを示している。

 政府・与党は、1月下旬から開会される予定の第147回通常国会の冒頭で、年金改悪法案や「定数削減」法案の成立強行を狙うとともに、医療保険制度や雇用保険制度の改悪など一層の悪政推進を目論んでいる。また、憲法改悪や有事法制なども狙っている。国公労働者にかかわっては、「25%削減」を前提とした「総定員法改正」も予定されている。
 国民的な正当性をもたない自自公連立政権に、国民生活破壊の悪政、行政改革の具体化などをゆだねる訳にはいかない。
 国公労連は、行政サービスの切り捨てに反対し、自らの労働条件をまもる立場からも、あらためて国会の早期解散・総選挙の実施を求める。通常国会にむけ、国民的な要求・運動とも結んで、たたかいを強化する決意である。
                                      1999年12月15日

日本国家公務員労働組合連合会
書記長  福 田 昭 生

トップページへ  前のページへ