給与法「改正」法の成立にあたって
(談話)

 本日(10月18日)の衆議院本会議で、一時金0.3月の切り下げ、史上最低の「平均0.28%・1054円」のベア勧告、高齢者層の賃上げ抑制などを内容とする給与法「改正」が、共産党を除く政党の賛成で成立した。国公労連は、賃金水準の引き下げとなる一時金切り下げに反対するとともに、労働基本権が剥奪され一方的に労働条件が切り下げられることの不当性を追及し、徹底した審議を要請してきた。しかし、政府・与党は、民間企業におけるリストラ「合理化」の実態や人事院勧告制度尊重を口実に正面からの論戦をさけ、衆参、半日づつの審議で採決を強行した。内容とともに、公務員労働者の労働条件を「最終的に決定」する国会審議の不十分さは、到底納得できるものではない。

 史上はじめて、賃金を年収ベースで切り下げる99年勧告が、社会全体に悪影響を及ぼしている。各都道府県の人事委員会は、一時金0.3月の切り下げを内容とする賃金水準引き下げの勧告を軒並みおこない、鳥取県ではベアゼロ勧告さえおこなっている。また、東京都、福岡県、宮城県などでは、人事委員会勧告さえ無視し、月例賃金の一律カットや一時金切り下げの「上乗せ」が提案され、強行される状況が相次いでいる。そのような国、自治体での賃下げ攻撃の強まりが、民間のリストラ攻撃を加速し、年末一時金闘争を困難にする状況を生みだしている。「民間企業の血の出るような努力」を口実に公務員賃金が抑制され、「公務員でさえ賃下げ」の口実で民間企業での賃下げ攻撃が強めるという「悪魔のサイクル」に陥っている。
 このような事態を回避し、「リストラをすれば株価があがる」という逆転した状況を是正し、国民生活の安定をめざした政策を充実するための政府や国会の責任発揮こそ求められていた。その点からしても、今回の給与法「改正」の問題点は小さくない。このような事態を拡大し、定着させないためにも、賃下げ攻撃反対のたたかいを自治体での「賃金確定」闘争につなぎ、さらには2000年春闘に引き継がなければならない。

 法案審議にあたって、連合・公務員連絡会が、賃金水準引き下げの99年勧告を評価し、「勧告完全実施」を政府等に迫っていたことが明らかにされた。労働者と家族の切実な生活実態をまともに受けとめず、雇用、賃金破壊に苦しみ、怒りを強めている労働者への配慮もない対応と言わざるをえない。マイナス勧告さえ想定される現状では、単純な「勧告完全実施」要求が、公務員労働者の労働条件改善を阻害しかねない。生活悪化に苦しむ労働者の生活実態に目を向け、賃下げに反対する一致点で、すべての公務関連労働者と労働組合の大同団結をあらためて呼びかける。

 21000人の人減らし「合理化」など異常とも言えるリストラ計画を発表した日産自動車をはじめ、大企業のリストラの嵐に批判の声が高まっている。そのような国民意識の変化にも目を向け、賃下げの「悪魔のサイクル」を突き崩すために、国公労働者も奮起することが求められている。不当な賃下げとなる99年勧告とその完全実施への怒りをエネルギーに、あらたな決意で生活改善をめざした賃金闘争に立ち上がろう。
 この間の、全国の仲間の奮闘に心からの敬意を表明し、引き続くたたかいへの結集を呼びかける。

1999年11月18日  日本国家公務員労働組合連合会
書記長  福 田 昭 生

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