参院委員会での採決を強行
--自民、自由、公明、社民党などの賛成で可決

(国公労連「行革闘争ニュース」1999年12月13日付その2)


 13日午後1時15分から2時20分まで、午前中に引き続き、参議院行革・税制特別委員会が開催され、質疑終了の後、民主党及び共産党が反対討論を行い、最終的には自民・自由党等の賛成多数で、独立行政法人個別法等が可決されました。明日12時からの参院本会議で、個別法案等の採決が行われます。国会議面行動を予定していますので、各単組の総結集をお願いします。
 質疑等の概要は以下のとおりです。

<社民党・谷本たかし議員の質問>
続総務庁長官 総括政務次官が研究会を開催している。来年の2月にはたたき台を提出する。
谷本議員 農林水産省の定員は、20年間で6万1千人から3万6千人と半減している。これは食料自給率の低下に比例している。自給率を上げるための要員確保が必要である。
玉澤農林水産大臣 定員は平成11年で3万5千人となっている。これは自給率とは直接関係はなく、社会・経済情勢の変化に伴うもので、食糧や統計は半減し、林野は会計の苦しさから厳しい数字となっている。定削は政府の方針で、限られた要員で努力していくしかない。サービスの低下を招かないよう万全の措置をする。
谷本議員 高齢再任用制度は年金との関係で大歓迎である。しかし、これは定数の枠内ということだが、10%削減や新採との関係ではどのように考えたらいいのか。新採削減による活力の低下や継続性を阻害するようでは問題である。
続長官 新再任用については、フルタイムは定員内だが、非常勤職員として採用する方法もあり、その活用をお願いしたいと考えている。
谷本議員 環境保全型農業を目指すということだが、個々の農家の努力だけでは困難である。地域生産者と技術陣が一体となった取組が必要だ。今回の独立行政法人化で影響がでないのか。
金田政務次官 自然環境の変化への対応は重要。農業技術研究機構は、地域に事情に応じた適切な対応に万全を期したい。

<自由党・阿曽田清議員の質問>
阿曽田議員(自由) 独立行政法人化には運営改革、意識改革が必要。今回の59の独立行政法人化でその辺についてどのような改革ができるのか。長官の自信の現れを聞きたい。
続長官 独立行政法人でこれからの行政の仕組みができあがったと考えている。これからは、これに本当に魂が入れば国民の期待に十分応えられると考えている。
阿曽田議員 農業技術研究機構は地域生産者のニーズにどのように応えるのか。
金田政務次官 機構は全国の核となる機関である。機構においては、作物別の研究などで地域現場のニーズに応えたい。
阿曽田議員 国の研究機関は基幹的・専門的な研究を行う。一方県は実践的である。今回の独立行政法人化で国と県とのトラブルが起きるのではないか。一体化を図る必要があるのではないか。 金田政務次官 技術開発とその普及の流れの一体化を図れるような研究に努めたい。
阿曽田議員 国立青年の家は非公務員型だが、これは将来民営化するということか。 河村政務次官 現実的に民営化にはなじまない。独立行政法人化したとしても国の責任でやっていく。

<参院の会・菅川健二議員の質問>
○ 菅川議員  独立行政法人の成否は、役職員が一致して業務に邁進することにかかっているが、士気を高めるためのインセンティブをどう考えているか。給与、研修、人事交流などが考えられるが、とくに給与が国家公務員水準ではドライブがかからない。評価基準はむずかしいと思うが、業績を反映した制度が必要ではないか。
● 続総務庁長官
自分の研究が社会的な評価を得られるのか、職員にとっては給与も重大な関心事である。3〜5年の中期目標と業績評価、また自ら財源を生みだすといった業績に応じた配分もあり得るが、これは理事長が適切に判断することであり、国はタガをはめない。
○ それでは法人ごとに格差が生じる。ある程度の基準が必要ではないか。また適材適所の配置を行うためには、主務官庁との人事交流も必要ではないか。
● 人事交流は柔軟に考えてしかるべき。
○ それぞれの法人が業績を上げるための環境整備、特に職員が生き甲斐をもって働ける労働環境づくりを要望しておく。

以上の質疑を経て、民主・共産両党の最終討論が行われました。
○ 佐藤泰介議員(民主・新緑風会)は、「中央省庁等改革関係法施行法案」「独立行政法人個別59法案」「独立行政法人の業務実施の円滑化等のための関係法律の整備等に関する法律案」について、政府案では実質的な行革ははかれないとして、以下の理由から反対の立場を表明しました。
@ 次の時代に向けてトータルに変えていく視点がない、制度いじりにすぎない。行政をスリム化・効率化していくべきであるのに、有効な仕組みとなっていない。
A 独立行政法人とした59機関の選定基準も不明確・不十分であり、職員の意欲や倫理観に水を差すものでしかない。
B その内、ほとんどが国家公務員の身分であり、定員の25%削減にカウントするとなっているが、どこがスリム化か。単に見せかけの定削にすぎない。

○ 吉川春子議員(共産)は、名称を読み上げるだけでも6〜7分もかかる法案を、一法案あたりわずか7分程度しか審議せず議了したこと。国家機構の再編という日本の将来の在り方と、国民生活に重大な影響を与える法案を、国民にほとんど知らせないうちに成立させることは、立法機関としての国会の責務を放棄するものだと政府・与党に抗議し、以下の理由(要旨)で反対だと強調しました。
@ 国民が期待した行政改革は、政・官・財の癒着を断つこと、行政の姿勢を国民本位に切り替えること、財政の浪費に根本的にメスを入れることであるのに、政府の中央省庁再編は行政の責任を投げ捨て、市場原理や企業の経営手法を取り入れようとするもので、民主主義的社会制度の切り崩しといわざるを得ない。
A 外交、防衛、治安などの分野以外は行政責任を放棄し、社会保障施設や教育・研究機関、近い将来には国立病院や大学までも独立行政法人として、行政から分離し減量・効率化しようとしていること。
B 国家公務員の定数を25%も削減すること。国立病院の医師・看護婦、労働基準監督官、登記所の職員、国有林野の守り手など現在でも不足している公務員をなぜ25%も削減するのか。政府は根拠を説明できず、はじめに削減ありきだ。
C 研究所、美術館だけにとどまらず、国立公文書館を独立行政法人にして、政府が国権の発動として行った閣議決定の記録や、国民に公開されない秘密文書などの保管を独立行政法人にゆだね、行政の足跡を半永久的に保存するという、諸国家が行っている当然の国の責任を放棄していること。
D 不動産、動産を問わず国家財産を独立行政法人に「出資」として移行してしまうことは、国民の財産を理由もなく大量に処分し、いずれ民間に譲り渡すことである。東京・京都・奈良などの各国立博物館や美術館には、約12万件にのぼる高価な収蔵品があり、このような国家財産の不当な処分は許されない。

そして採決が行われ、いずれの法案も自民、自由、公明、社民、参院の会、二院クの賛成多数(民主、共産は反対)で可決、成立させられました。 なお、その後、次の附帯決議が提案され、同様に採択されました。

 国立公文書館法の一部を改正する法律案等独立行政法人個別法関係59法律案に対する附帯決議
政府は、右各法律の施行にあたっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。
1 独立行政法人の長の選任においては、自立的、効率的に運営を行うという制度の趣旨 を踏まえ、広く内外から適切な人材を得るよう配慮すること。
1 独立行政法人への移行に当たっては、中央省庁等改革基本法第41条の「労働関係へ の配慮」に基づき、対応すること。
1 独立行政法人の評価は、客観的かつ公正に行うものとし、また、業務の性格に応じた ものとすること。
1 外部有識者のうちから任命される独立行政法人評価委員会の委員については、民間か らの任命を積極的に進め、客観性、中立性を担保できる体制とすること。
 右決議する。

(以上)

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