参議院で独立行政法人個別法にかか わる審議がつづく--なぜ独法化なのか 依然として不明確
(国公労連「行革闘争ニュース」1999年12月7日付)

 参議院の行財政・税制特別委員会は7日、先週金曜日に引き続き、独法化個別法など行革関連法の審議がつづけました。7日午前は、衆議院の予算委員会のため休会となり、午後から、独法化の個別法にかかわって集中して審議されました。
 依然として、なぜ国の業務からはなす必要があるのか、なぜ独法化なのかが、政府答弁でもあいまいなままで、さらに徹底審議が求められています。
 しかし、与党は、9日の特別委員会で採択、10日の本会議での可決、成立をねらっており、審議は重要段階をむかえています。
 7日の審議のやりとりについて、要点のみ報告します。

■独立行政法人は形をつくっただけ。あとで魂をいれる
○伊藤 基隆(民主) 今回の行革はイギリスを参考にしていると言われるが、イギリスの「市民憲章」(シチズンズ・チャーター)は、国民を公共サービスの消費者としての主権者に位置づけた。独立行政法人は、エージェンシーがモデルとなっているが、イギリスのこうした行政に対する考え方を、長官としてどう認識しているか。
●続 総務庁長官 ご指摘の通りであり、そうした考え方を受けとめている。主権在民は憲法の中に書いてあり、そのもとでの行革である。ご理解をお願いする。
○伊藤 イギリスのエージェンシーはサービスの質の向上をめざすものとされているが、その主旨が独法化で生かされるのか。
●続 その理想をもって独立行政法人の設立にむかっている。エージェンシーに勝るとも劣らないものに、その運営を確立していきたい。
○伊藤 基本法でもふれているが、国が直接やれないのに、独立行政法人になってできる業務などあるのか。
●続 行革基本法や通則法の各条項の基本的なとりきめにしたがって、独立行政法人化を決定した。
○伊藤 研究所が独立行政法人化されることで、研究の自主性が確保できるのか。予算など与えられたものをこなすだけの組織になるのではないのか。
●続 予算執行の自主裁量によって、柔軟な研究ができる一つのしくみができる。自主性により、役員や職員の意欲がより高まり、研究成果の向上につながるものと考える。
○内藤 正光(民主) 通則法では、業績評価によって、業務の継続について、民営化、業務の改廃をふくめて検討するとしているが、その評価基準は、外から見れば、きわめてあいまいだ。客観的な基準をもうけるのか。評価の透明化が必要だ。
●細田 通産政務次官 業績評価の公開については、法律でふれている。業務評価のあり方については、来年までに具体的な中身をつめるが、特殊法人なみか、それより一歩すすめるのかは検討中だ。
○内藤 特殊法人なみというが、たとえば、石油公団の実態を見ても、情報公開があいまいで、膨大な赤字を出しても放置したままで、前総裁も責任とらずに、4600万円もの退職金で退任した。独立行政法人も同じようになるのではないか。
●細田 石油公団については、たしかに公開が遅れたが、不正はなかった。故意や過失で赤字が生まれたものでないことはご理解いただきたい。

■国民生活に密接した研究は、国が責任を持ち、調査・研究を強化すべき
○岩佐 恵美(共産) 国立環境研究所の独立行政法人化は、国民の暮らしとのかかわりで幅広い分野の調査・研究が求められている。国の重要な氏名を担う研究所であり、国の施策の基礎となるものだ。独立行政法人にゆだねるべきではない。
●清水 環境庁長官 独立行政法人の対象としては、国民生活の面から継続して業務をおこなう機関のなかでいろいろ検討したが、環境研究所については、国が直接主体となって実施する必要がないと判断した。
○岩佐 防衛研究所や気象研究所など、他省庁をみても、独立行政法人の対象となっていない研究機関もある。環境研究所も、国が主体となって運営していくべきだ。とりわけ、環境の分野の研究は、市場原理になじまない基礎的で基盤的な研究をしている。独法にするどころか、国がきちんと責任を持ち、調査、監視、研究を強化すべきだ。
●清水 心配はわかるが、独立行政法人化されても研究所の本来の目的を阻害するものではない。目的に対して適切な運営につとめ、国民の立場にたった研究ができるようにすすめる。
○岩佐 金にならない研究が切り捨てられることになりかねない。手間暇かかる地道な研究については、十分な予算を保障すべきだ。中期目標で予測できない緊急な研究は財政措置されるのか。
●清水 社会のニーズにそくした質の高い研究となるよう努力する。そのために、中期目標の変更も可能だ。緊急な研究に応えられるよう財政も柔軟対応をしていきたい。
○岩佐 環境の監視、追跡、人間への影響など、長期にわたる研究もある。3年から5年という中期目標ではなく、10年、20年のスパンで考えるべきではないか。
●清水 たしかに基礎的な研究は重要だ。長期的なものも適切な評価ができるように、中期目標や計画の策定の際に検討する。
○石田 美栄(民主) 国立青年の家や少年自然の家は、特定独立行政法人からはずれ、職員は非公務員となる。給与や労働条件は、公務員とどう違うのか。業績評価によって職員のリストラもありうるのか。
●河村 文部政務次官 それらの機関が果たしてきた役割や教育的な性格から、今後とも確実に実施させていく必要がある。そのことから、職員の雇用をはじめ、勤務条件には最大の注意を払うべきと考える。
○石田 予算は渡し切りの交付金で弾力的運営や効率化をはかろうとしているが、その際、独立採算性は、どのように達成できるのか。また、予算は、中期計画のなかでどのようにしめすのか。
●河村 独法は独立採算制を前提としていない。予算は国が項目ごとに配分するのではなく、中期計画のなかで必要額を決定し、複数年度にわたる弾力的な運用ができるように国が予算措置する。
○石田 入場料や検定料収入の取り扱いはどうなるのか。
●河村 これまでは国庫に入っていたが、今後は独立行政法人に直接入ることになる。

■スリム化を数字にしてあらわせ〜民主・江田議員
○江田 五月(民主) 省庁再編や独立行政法人は、カンバンのかけかえにすぎず、行革ではない。政府の方策がすべて実現しても、それは行革に値しない。あくまで、どれだけスリム化するのかが判断基準である。単刀直入に聞くが、行革基本法が施行されれば、どれだけ財源・権限・人間が減らされるのか。
●続 総務庁長官 今が入り口であり、スキームができ具体化が進む中で明らかになるもので今は具体的な数字は出せないが、たとえば、親方日の丸の上にあぐらをかいていた研究機関が活性化し、効率的な運営がはかられる。そうしたのちに、国民に数字として示すことができる。
○江田 独立行政法人化によってどれだけ人や金を減らすことができるのか。スリム化を形にして表せ。
●続 具体的に動き出してからでないと、数字は出せない。
○江田 まさに行革に値しないカンバンのかけかえだ。まやかしの改革だ。本来の実施部門に手を着けず、研究所だけを独立行政法人化し、59法人のうち、非公務員になったのは、たったの4つだけ、わずか822人だ。それで本当にスリム化なのか。
●続 指摘はわかるが、仕組みをつくるだけでも大変な仕事だ。これから魂を入れていく。
○江田 独立行政法人化の要件が通則法でしめされたが、国立健康・栄養研究所は、どの要件にあたるのか。
●大野 厚生政務次官 国民の健康を守るため、公共上見地から確実に実施すべき業務のうち、国が直接やるべきではないが、民間では実施されない可能性がある業務を独立行政法人にする。それらの要件にかなっている。
○江田 同じように、産業安全研究所、産業医学総合研究所はどうか。
●牧野 労働大臣 労働災害の原因究明、再発防止などの点から重要な研究をしており、公共性が高く、民間委託などはむずかしい。国がやるべきであって、独立行政法人にした。
○江田 国がやるべきというのなら、独立行政法人にすべきでない。また、業務の停滞をおこさないために国家公務員の必要があるとしているが、それは、ストライキ権をあたえないためなのか。
●大野 公務員の身分とした理由は、公権力を行使する前提となる試験・研究を実施しており、職員もきわめて客観性が求められることからだ。

(以上)

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