<1999年11月18日 160>
11月18日午前・衆院行革特別委の審議

<田中慶秋議員(民主党)の質問>
田中議員
首都機能の移転について、候補地の答申が年内にもあるが、都知事が反対。首都圏の人は都知事と同じ考えだ。首都機能の移転の一方、2001年の新体制も見込んで、総理官邸や中央省庁新設が進んでいる。財政状況や民間的考えから行ってこれはむだ遣い。国民の批判は免れない。 続総務庁長官:
同意見だ。予算委員会でかつて追及した。財政再建の渦中であり、いっさいの建物建設をストップせよという方針で臨んだ。政府の答弁は、首都機能は議論している最中であり、一方、建物の老朽化はどうしても建て直ししなければならない。われわれは、その答弁を了とした。
田中議員
民間は大変なリストラしているときに、中央省庁だけが狭隘だからと立て替えすることは、国民の注目するところだ。独立行政法人については、基本的に賛成だが、やり方が問題。天下りの受け皿であり、不透明さが指摘される特殊法人から先に手をつけるべき。役割の終えたものは廃止し、民間に委ねられるものはゆだね、どうしても必要なものは独立行政法人にすべき。独立行政法人化と並行して進めるべき。情報公開の対象からも特殊法人は外され、3年後になった。特殊法人に手をつけなければ、行革を遅らせ、独立行政法人のあり方を狂わせる。
続長官
同じ思い。不断の見直しが必要で、これまで3次にわたって議論しており、今後も議論し、改めるべきは改める。
田中議員
独立行政法人の長の公募は基本的な方向だと政府は述べている。民間人を含め公募するのか。
続長官
法にも明記してあるが、それぞれの法人にふさわしい人を当てるのであり、民間からの公募もあり得る。
田中議員
独立行政法人は行政の一部。事故を起こした場合の責任体制は?
続長官
もちろん主務大臣。独立行政法人は、民間経営の効率性を考慮し、これは独立行政法人になじむというものを独法にする。国が長を任命し、業績を評価し、万一の場合、主務大臣が責任を負う。
田中議員
いまの行政の責任の取り方は目に見えていない。せっかく独立行政法人にするのだから、中央省庁の口出しは絶対にやめるべきだ。
続長官
その通り。
田中議員
独法化は、ほとんどが研究機関や研修機関で、実施部門の多くは政府部内に残されている。
続長官
企画立案にかかわる研究は政府に残す。仕分けは出来ている。具体的な研究実施の部門は、民間の知恵もいただき、予算的にも柔軟対応できる。
田中議員
廃止されたのは真珠検査所と建設機械工作所のみ、民営化は食糧検査だけで、あとはすべて独法化。役割の終わったもの、民営化できるものはして、それでも残ったものは独立行政法人化するという精神に反している。
続長官
法成立後の引き続き検討する。
田中議員
統計業務については、総務庁統計センターは独法化されるのに、他省庁の統計は国の業務として残る。
続長官
他省庁の統計は、政策の企画立案に関係しており、省におく必要ということだ。
田中議員
国をあげて統計をするなら統計センターに一元化すべき。各省庁に統計が必要なら独法化すべき。農水省は統計だけで5000人もいる。総務庁は1200人で、農水省は5倍。こういうところにもメスを入れないと独立行政法人化に賛成できなくなる。
続長官
趣旨を踏まえ、懸命に努力する。
田中議員
国会審議活性化法で、相互調整の副大臣会議が開けることとなった。今後は、閣議決定の議題整理は副大臣会議で行うべき。
続長官
閣議の有り様はそれにふさわしい決定がされるものと思う。
田中議員
文部科学省関係で、国立大学の独立行政法人化は、平成15年までに結論を出すことになっているが。 河村文部総括政務次官:
大学の教育・研究の特殊性を配慮。国際競争に勝てる大学づくりに時間を要する。文部省として、早い機会に検討をということで、国大協にも、平成12年度の早い時期に結論を出すようお願いしている。しかし、制度の詳細設計には時間をかけたい。
田中議員
独法化のメリットは?
河村次官
教育・研究の自主性、自律性、自己責任の拡大。各大学に法人格を付与し、自己責任を拡大する。組織、教職員配置、予算執行の規制の緩和で、自主性を拡大。大学運営をより自由に制度設計士、大学間の競争を促す。
田中議員
すばらしい発想だが、文部省は、私学であってもしばっている。独法化だけでは不十分だ。少子化で個性的な大学が必要。大学自治を担保しつつ、勇気を持ってやってもらいたい。
河村次官
内部で検討し、正すべきは正す。
田中議員
原子力行政について、平和利用であっても間違えれば大惨事だ。原子力行政はバラバラ。省庁再編後が不安だ。 斉藤科学技術総括政務次官:
安全規制とバラバラな規制体制の問題指摘だと思うが、原子炉等規制法の規制で想定しなかった事故。法律の強化と、万が一の場合への対処のために、2法案を提出した。現在は、発電は通産省が規制し、核燃料は科技庁が規制、独立して、原子力安全委員会がダブルチェックしているが、省庁再編により、核燃料も含め通産省の原子力安全・保安院が規制し、ダブルチェックとして安全委員会がチェックするが、人員を拡充し、独立した事務局を内閣府に置く。かなり実を上げると思う。魂を入れるために、政令や人員配置で、志を実現させていきたい。
<古賀一成議員(民主党)の質問>
古賀議員
行革は原点に戻って議論しないといけない。いま求められるのは政治経済社会の基本システムの革新だ。省庁の権限を政治にシフトし、肥大化した省庁を絞るために、地方分権を進め、市場にゆだねる。独立行政法人は、何が変わるのか。
続長官
独立行政法人発足の後、評価を加え見直して生きた。取りあえず59法人として発足させ、不断の見直しにより、国民ニーズに応える体制にしていく。
古賀議員
この内閣で決めないと霞が関は動かない。独法の狙い、戦略がはっきりしない。建設省出身だが、土研、建研が独法化されるが、そこがはっきりしないからモラール、士気にかかわる。
続長官
美濃部都知事が作った世界に冠たる4研究所を、鈴木知事時代に財団法人化した。学者はこぞって反対したが、心配いらないと説得した。研究がやりやすく、予算が潤沢で、官民交流も進んでいる。結果は大変よかった。
古賀議員
政治のリーダーシップが重要で、鈴木知事が自らリーダーシップを発揮したからだ。小渕総理や、長官のリーダーシップを期待する。国立大学の独法化が見送られたプロセスについて聞きたい。
河村次官
自主性を尊重し、大学改革の一環として、特殊性を尊重した。その後文部省は、早期に検討する方針で臨み、9月20日には、有馬大臣が検討の基本方向を提示した。平成12年度の出来るだけ早い時期に方向付けをする。これは、中央省庁等改革基本法の規定する、機関の性格に応じた検討ということを踏まえたもの。
古賀議員
大学時代の同級生が、検討の役目をやっているが、大学そのものがどうなるか分からずおろおろしている状況だ。文部省として、自主性尊重の方向でリーダーシップ発揮を。
<岩国哲人議員(民主党)の質問>
岩国議員
行革は、小さな役所で大きなサービスが、根本精神だ。石原都知事は、鈴木、美濃部時代の不良債務の処理をしている。鈴木知事は、本体の人員を外に出して、本体は黒字にしたが、連結対象の子会社にしわ寄せをした。そのツケがのしかかっている。長官の貴重な経験を生かすことを期待している。長官は重く受け止めると答弁しているが、重く受け止めて軽く流すのではだめだ。いつまでに何をやるのかはっきりさせるべき。
続長官
都のかかえる7兆2000億円の借金は鈴木時代の数字ではない。美濃部時代は3000億円の借金を残したが、私がやめたときは2兆円のお金を残した。将来の経済状況を見誤ったという点では反省はあるが、鈴木、美濃部知事ともに自治の実現に汗をかいた。
岩国議員
定員削減は10年間で25%だが、韓国は3年で30%減らす。1年目、2年目どのくらい減らすのか。
続長官
25%削減は総理が国民に約束。現在平成12年度予算を査定中だが、それが終わった後改めて計画を作る。
岩国議員
大蔵省時代と、金融監督庁時代とで金融機関の苦情処理を比較してどちらがサービスが上か。 村井金融再生総括政務次官:
大蔵省時代は突っ込んだサービスをしたが、監督庁は介入して裁く立場にないので、銀行協会連合会、保険協会の相談機関を紹介している。
岩国議員
行革は、行政の介入がない方がいいという方向だというのは誤り。強きをくじき弱きを助ける方向で介入すべき。大蔵省時代より後退しているのは問題。いい点を残していくべき。何でも規制緩和すればいいのではない。アメリカでは金融の規制を緩和をしすぎたので再規制をしている。独立行政法人についてはもっとまとめるべき。農業がついたものが8つもある。私も農業を愛しているが多すぎる。まとめて基盤強化をすべき。
続長官
3年から5年の業績評価による見直しで、存続させる必要があるかないか検討。
岩国議員
採算とれるものか。赤字続きでは困る。
続長官
法人の統合は、国会の審議で整理された基準による。59法人で出発させていただき、3年から5年の見直しの際に整理。
<松本善明議員(共産党)の質問>
松本議員
行革の基本は、国民のために、肥大化した部分をスリム化し、汚職で行政をゆがめることをなくし、国民の意見を反省させ、基本的人権を守ることだ。そこで、日本は大きな政府か小さな政府か聞きたい。政府の大きさの一つの指標はGDP比の政府支出だが、OECDの資料では、日本は29%、フランスは49%、ドイツ38%、アメリカ29%、イギリスは23%。公務員数も、就業者比で日本6%、アメリカ14%、イギリス16%、ドイツ15%、フランス27%。むしろ小さな政府だ。
続長官
欧米と政府の役割が違う。肥大化した行政をスリム化し、権限を中央から地方、官から民へ移し、600兆円の借金を処理していく。それが議員が言われた哲学を実現する最良の道。
松本議員
方向性が違う。日本の政府の中で何が大きく何が小さいかだ。社会保障の支出は、日本が13.5、アメリカ12.2、ドイツ16.8、フランス21.5だ。公共事業は、日本が6.6、アメリカ1.7、イギリス0.8、ドイツ2.2、フランス3.1だ。社会保障が小さく、公共事業が大きい。
続議員
欧米より社会資本整備が遅れている。遅れを取り戻す必要がある。社会保障については、給付と負担の関係が重要で、欧米よりも負担が少ない。
松本議員
ムダ、浪費は削るべき。ところが、国際水準比で小さい部分を縮小しようとしている。独法も、国立病院、国立研、国立博物館を対象として、国立大学にも広げようとしている。これらは国が直接行うべき分野ではないか。
続長官
サービスはいかなる行革でも落としてはいけない。しかし、ぜい肉は落とす。独立行政法人は、サービスを落とさず、スリム化するもの。民間感覚も取り入れる。国民の期待するものにすべきだ。
松本議員
どこがムダか議論すべき。公共事業に無駄が多いことは宮沢大蔵大臣も認めている。行政需要の多いところを充実すべき。他の国に比べて特別に公務員が少なく、国民から見るとサービスが低い。原子力の安全問題でも、規制と推進の分離は条約上の義務だ。規制に当たる職員は290人だが、アメリカでは3120人、10倍以上であまりに違いすぎる。
続長官
今回の行革でも心しており、実施と規制の二重チェックを行う。
松本議員
体制を増やすのか。
続長官
適宜、適切な対応をする。 間宮科技庁原子力安全局長:ダブルチェック体制で、200人がたずさわっている。今回原子炉等規制法の改正で機能が強化される。計画段階のチェックだったのが、建設、運転段階もチェックすることになる。
松本議員
審議会の統廃合とならんで、答申、意見の尊重が、意見を聞くことという風に変わる。原子力安全委員会もそうで、軽視につながらないか。
続長官
意見を求めるのであり、意見具申の内容は当然尊重されるのは言わずもがな。同時に最終責任は行政府にある。
松本議員
審議会は大切で、共産党は審議会通則法を提案している。それは、委員の人選の公正、公開などだ。
続長官
委員の人選の公正をはかり、意見尊重をしつつ、最終責任は政府がとる。
松本議員
独法対象は国において強化すべきものばかりだ。スリム化は公共事業であるべき。独法問題でも、国土交通省は、土研、建研を独法化しつつ、一方で国土総研を新設というが、いかがなものか。 小川建設省官房長:
国土総研は、国が直接実施すべきものを担当。分野の調節は平成13年4月までに行う。
松本議員
これは国民の理解を得がたい。独法化することが国民のためか十分検討しているのか。
続長官
政府の方針として、政策研究機関は存置する。
松本議員
独法の業務は確実に実施される必要があるといいながら、廃止があり得る。矛盾している。一つ一つの法人化が国民にとってプラスか国会でも行革会議でも議論されていない。農業関係はほとんどが独法化。日本の農業は根本的に考えないといけない状況。国として農政をあらゆる角度から行うべき。
続長官
政府部内でケンケンガクガク議論し、決めたもの。廃止については、時代の変化に対応し、3年から5年の評価で、拡大するか統廃合するか決めていく。
松本議員
20年から30年で初めて成果が出る研究がある。3年から5年の評価では、確実に実施することが出来なくなる。優秀な人材も集まらなくなる。根本的議論をすべきだ。政府部内の議論をすべて明らかにすべき。最高の行政需要がある医療も独法化されていいのか。 続長官:
政府部内の議論は出せない。ご理解賜りたい。
松本議員
行政の腐敗は何とかしなくてはならない。天下り禁止を早急に行うべき。
続長官
公明党の前身の平和・改革は、天下り禁止法案を出した。早期退職の慣行があり、受け皿が必要になっている状況がある。公務員制度を真剣に検討していく。
<畠山健二郎議員(社民党)の質問>
畠山議員:
25%削減でいいのか。
続長官:
大変難しいテーマ。55万人のうち14万人を減らす。さけて通れない課題。来年度予算査定後に、目標数字を作る。
畠山議員:
省庁再編と25%定員削減は一体。中長期の見通しを持って、拡大すべきもの、縮小、廃止すべきものを明確にすべき。
続長官:
中長期の目標を働くものの理解を得て策定していく。総定員法の参院決議にある出血整理はしないということを踏まえていく。
畠山議員:
職員数と行政サービスは不可分。国民に対する行政責任の明確化をすべき。
続長官:
定員削減計画と仕事の配分を吟味して、計画を立てる。
畠山議員:
行政評価のガイドライン策定スケジュールはどうなっているか。
続長官:2001年1月6日に間に合
わせるのは無理。なるべく早く評価法を作りたい。
畠山議員:
行政評価は学会でも定まっていないのに進めようとするのは乱暴。
続長官:
走りながら考え、足らざるはあとで補う。7人の学者に研究してもらっている。
畠山議員:
評価のための作用法がなければ実効が上がらない。 続長官:過渡的問題だ。
畠山議員:
不祥事が続く警察に行政監察は出来ないか。警察庁長官の指揮・監督権限が県警に対してあり、警察庁の判示による犯罪なら監察の対象ではないか。
続長官:
県警は監察の対象外だが、警察法等の法解釈で許されれば当然出来る。事実として陸続と起こるなら当然対象になりうる。
畠山議員:
制度疲労を正すために制度の改正が必要。
続長官:
国家公安委員会がどう対応するかが第一義的。陸続として起こるなら、監察し勧告を行う。

11月18日午後・衆院行革特別委の審議
 11月18日午後からは、約2時間の質疑が行われた。 
 相沢英之(自民党)議員は、国の会計は一般も特別もある。特殊法人もたくさんあるし、認可法人もある。独立行政法人と、特殊法人や認可法人との区別はどうなるのか。特殊法人も認可法人も整理統合や独法の検討がいる。公務員の身分を持つとする独法の給与の扱いはどうなるのか、国立病院や大学の独法はどうなるか、と政府の生ぬるさを指摘し、独法は民営に特殊法人や認可法人についても整理統廃合と独法移行をすすめるなど積極的に推進する立場で追及。
 答弁に立った持永総務庁政務次官は、特殊法人や認可法人は各種多様は事実と認め、できるだけ統合・廃止をしているが、これからも改廃、見直しをする。特殊法人については多種多様なので一概には言えないが、特殊法人の中身や性格を見て独立行政法人へ移行する。定数はあらかじめ自主性を見ながら主務官庁と相談。給与については機関による差が生じることを認めた。
 河村文部政務次官は、大学の独法化は自主性を尊重しつつ15年までに検討。12年のできるだけ早い時期に方向を出すと、答弁。
 大野厚生政務次官は、国立病院の独法は16年度中に移行する。法人の組織、業務の方向も検討する。組織形態は高度医療をになう各施設毎に機能を設定する。政策医療をやるには全体を一つにした方が望ましい、と答弁。これに対して相沢議員は、独法で1本にして経理は病院毎がよい、検討がまだ不十分とさらに追及したのに対し、続総務庁長官は推進本部として鋭意検討している、と答弁。公益法人や財団法人、社団法人についてかなり整理・統合が必要、中には特別会計がやるべきところもある。これに関する方針の考え方をただしたのに対し、続長官は経理を明確にし目的に添ったものにする、と答弁。
 相沢議員は、この他、地方行革についても地方公務員の増加をあげ、地方行革推進の中央指導について追及をおこなった。
 中川正春(民主党)議員は、民間は産業再編の大きなうねりの中で例えば公的資金でもリストラを条件にしている。国のやっていることは、人的リストラのない名前を書き換えているだけのもの、本来の機能の見直しも人員の見直しもない、中身を議論しないで形から入っている、として政府の行革に対する基本的見解を求めた。
 続総務庁長官は、国のありようを考え、いろいろな手法を駆使して国民の要望に応える行革をすすめる。と答弁。
 引き続き中川議員は、独法から除外された消防、自治、防衛各大学や研究分野でも残っている組織があるがなぜか、基準を示すよう、また、それ以外でももれているものがいっぱいある、続いてやるのか、誰がやるのか、特殊法人については今後の責任はどこにあるか、民営・廃止もあるのか、役所の機能がどうなのか情報公開も不十分、独法に行政監察が入っていけるのか、と残りの特殊法人についての廃止をすすめるよう求める積極的推進の質問をおこなった。
 持永政務次官は、公権力の行使の部門、文教、行政機関職員養成学校は除いた。特殊法人でも行革の視点は変わらない、対象事業は89,うち国立、印刷、造幣は時期をずらし、作業の結果で類似のものはまとめた。対象は59に固定しているわけではない、内閣の責任において前向きに検討する。サンセット方式だから総務庁が引き続き統廃合、独法について見直しをする。行政監察の手法も及ぶ。特殊法人の民営、廃止の方向もある。


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