独立行政法人制度に対して推進本部と折衝
(国公労連「行革闘争ニュース」1999年10月7日付)
  国公労連は、先般6月28日に独立行政法人制度検討に対して申し入れ(行革闘争ニュース6月29日付けbP30号)を行いましたが、個別法の検討が進められている現時点の検討状況や制度内容及び今後のスケジュールについて、9月30日(木)に、中央省庁等改革推進本部事務局と折衝を行いました。
 折衝には、小田川書記次長、黒田行革対策部長、飯塚、津田両中執が参加、推進本部からは、独立行政法人制度担当の井手参事官、千葉企画官、他1名が対応しました。
雇用関係の継承と労働条件悪化の禁止は推進本部が責任を持て
 冒頭、小田川書記次長は「独立行政法人の個別法にかかわって、6月28日に申し入れも行った。現段階での検討状況及び今後のスケジュールを聞きたい。特に、雇用の継承問題はどうなったのか。通則法では規定されていない。また、法人化に伴って労働条件の変化が考えられる。労働条件の改悪を防ぐ規定を設けるべきだ」と追求しました。

 これに対し、井手参事官は、6月28日の申入書の内容に沿って、以下のように回答しました。
● 「雇用の継続」については、個別法で法制化することは不可能ではない。(附則で検討している。行革闘争ニュースbP48号参照)
● 「労働条件悪化を禁止する規定」については、個別法で規定するような事項ではない。通則法の規定では、労働条件を労使で話し合って決めることができるようになっている。
● 「独法の解散」については、通則法で別法でやると書いている。
● 「独法の長の抗弁」については、個別法の分野なのか疑問である。
● 「機関・業務の特徴を踏まえた制度」については、優れて個別の運用の話しであり、法律で手当する案件ではない。

 この回答を受けて、以下のようなやり取りを行いました。
○ 「雇用の継承」と「労働条件改悪の禁止」は、一体のものだ。労働条件として、3月31日と4月1日で違うのはおかしい。育児休業を取っているときはどうなるのか?病休や休職していたらどうするのか。建て前上、新しい法人ができないと、独法の労働組合も発足していない。発足時に、誰が誰と交渉やって、労働条件を決めるのか?その際、労働者側はだれが当事者になるのか?
● 実態として、研究機関などほとんどの機関は、その組織が丸ごと独法になる。一方、2001年1月1日の新省庁発足後、独法の長になる人も決まってくる。4月までに、事実上労使の話し合いができると思っている。国の機関が公社になったり、特殊法人になったりしたことは、過去にもあまたある。その場合でも、何らかの組織変更があるときは、事前の話し合いを行っている。
○ 発足時の労働条件の決定ルールはどうなるのか?就業規則の作成と労働組合の関係はどうするのか?
● 2001年1月1日に新省庁ができるが、そのために、4月1日の独法発足までに3カ月間の期間がある。その間に労使による交渉をして、労働条件が決定できると思っている。
○ 具体には、育休を取っている場合はどうなるのか?
● 「国家公務員育児休業法」の適用はできない。適用する法律が違うので、新しい制度(就業規則、労働協約)で処理することになる。
○ 9月21日に開かれた推進本部顧問会議の資料に、今後の主なスケジュールを出していたが、中期目標なり中期計画は、どの段階で検討するのか?2001年度の概算要求との関係もあると考えるがどうか。
● まだそこまでの作業は行っていないが、来年のしかるべきタイミングからと考えている。中期目標の考え方とか、中期計画の作業が4月とか5月とかからはじまっていく。決まるのは、6月とか7月とかではないか。
(以 上)


<別紙> 1999年6月28日
中央省庁等改革推進本部
   本部長 小 渕 恵 三 殿
日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長  藤 田 忠 弘

独立行政法人制度検討にかかわる申し入れ
 開会中の国会で審議されている中央省庁等改革法案にかかわって、独立行政法人の個別法案の検討がすすめられていると承知しています。私たちは、独立行政法人の通則法案の国会審議が進んでいる中で、個別法案の論議が進行すること自体に少なからず問題意識を持っています。同時に、4月27日の時点で、当面の独立行政法人化対象機関・事務の閣議決定がおこなわたこともあって、独立行政法人通則法案で「個別法」にゆだねられている独立行政法人の目的、業務の範囲、組織、運営などの検討を関係省庁が急ピッチですすめている状況を座視する訳にはいきません。それは、個別法にゆだねられている検討内容が、該当機関・事務にはたらく公務員労働者の労働条件に、大きな影響をもっていると考えるからです。
 私たちは、独立行政法人制度が、行政実施部門のリストラ「合理化」策であると受け止めており、現段階でも反対の意見をもっています。しかし同時に、職員の労働条件にかかわる検討が一方的に進展することを認めることはできません。そのことから、あらためて下記事項を申し入れます。貴本部の誠意ある対応を求めます。

1 個別法において、独立行政法人化にともなう雇用関係の継続を統一的に明文化すること。
2 独立行政法人化に際して、賃金引き下げなどの労働条件悪化を禁止する規定を設けること。
3 独立行政法人の解散は、すべて別法を必要とするよう規定整備を行うこと。
4 大臣による中期目標の設定や、評価委員会の評価内容に対する独立行政法人の長などの抗弁の手続きを規定すること。
5 評価機関、業務内容、財源措置などは対象機関・業務の特徴をふまえた「制度」内容とすること。
6 個別法の検討、独立行政法人の設立にあたって、当該労働組合との協議を保障すること。
(以 上)

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