独立行政法人への職員の引き継ぎ等に関する付則案が明らかに、推進本部事務局から各省庁に提示
(国公労連「行革闘争ニュース」1999年10月6日付)
 10月初め、中央省庁等改革推進本部事務局から、ペンディングになっていた身分の承継や職員団体についての経過措置、積立金の処分等についての規定内容が以下の通り各省庁に指示がありましたので、若干の法文解説を付けて、お知らせします。

【職員の引継等】
附則第2条 研究所の成立の際現に○○省の部局又は機関で政令で定めるものの職員である者は、別に辞令を発せられない限り、研究所の成立の日において、研究所の相当の職員となるものとする。

【職員団体についての経過措置】
附則第4条 研究所の成立の際現に存する国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百八条の二の規定による職員団体であって、その構成員の過半数が引継職員であるものは、研究所の成立の際国営企業及び特定独立行政法人の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)の適用を受ける労働組合となるものとする。この場合において、当該職員団体が法人であるときは、法人である労働組合となるものとする。
2 前項の規定により法人である労働組合となったものは、研究所の成立の日から起算して六十日を経過する日までに、労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)第二条及び第五条第二項の規定に適合する旨の労働委員会の証明を受け、かつ、その主たる事務所の所在地において登記しなければ、その日の経過により解散するものとする。
3 第一項の規定により労働組合となったものについては、研究所の成立の日から起算して六十日を経過する日までは、労働組合法第二条ただし書(第一号に係る部分に限る)の規定は適用しない。
国公労連の注:(1)「国家公務員法108条の2の規定による職員団体」=国公労連傘下組合を始めとする非現業一般職国家公務員で組織する組合のこと。
(2)「国営企業及び特定独立行政法人の労働関係に関する法律」の適用を受ける労働組合=「独立行政法人通則法の施行にともなう関係法律の整備に関する法律」により、旧国営企業労働関係法が改正され、特定独立行政法人(公務員型)の職員に、従来の国営企業に所属する現業国家公務員の労使関係−労使協議による賃金、労働時間等労働条件の決定−が適用され、国公法上の職員団体ではなく、労働組合法上の労働組合となり、労働協約締結権が付与される。争議権は否認。
(3)労働組合法第2条及び第5条第2項の規定=労組法第2条は、使用者の利益を代表するものの参加を許すもの(第1号)、使用者の経理上の援助を受けるもの(第2号)、福利事業のみを目的とするもの(第3号)、主として政治活動又は社会運動を目的とするもの(第4号)を労働組合として認めないとしている。第5条第2項では、規約に含まなければならない事項を定めている。
(4)労働組合法第二条ただし書(第一号に係る部分に限る)=使用者の利益を代表するものの参加を許すものは、労働組合として認めないという規定。中央労働委員会は、職員のうち使用者の利益を代表するものの範囲を認定して告示することとされている。各組合において、使用者の利益を代表するものの範囲を整理する期間を法人発足から60日間とすることになる。

【積立金の処分】
第11条 研究所は、通則法第二十九条第二項第一号に規定する中期目標の期間(以下この項において「中期目標の期間」という。)の最後の事業年度に係る通則法第四十四条第一項又は第二項の規定による整理を行って、なお同条第一項の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額のうち○○大臣の承認を受けた金額を、当該中期目標の期間の次の中期目標の期間に係る通則法第三十条第一項の認可を受けた中期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)の定めるところにより、その中期目標の期間における前条に規定する業務の財源に充てることができる。
2 ○○大臣は、前項の規定による承認をしようとするときは、あらかじめ、○○省独立行政法人評価委員会の意見を聴くとともに、財務大臣に協議しなけれぱならない。
3 研究所は、第一項に規定する積立金の額に相当する金額から同項の規定による承認を受けた金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなけれぱならない。
4 前三項に定めるもののほか、納付金の納付の手続その他積立金の処分に関し必要な事項は、政令で定める。
国公労連の注:(1)独立行政法人通則法29条第2項第1号=3年以上5年以下で大臣が定めるとされる中期目標の期間。
(2)通則法第44条第1項又は第2項の規定による整理=第1項では、独立行政法人は、利益が生じたときは、前年度からの繰り越し損失を埋め、なお残余があるときは、積立金として整理しなければならないが、主務大臣の承認の上、残余額の全部又は一部を中期計画の定める剰余金の使途に当てることができるとしている。第2項では、損失を生じたときは、逆に積立金を取り崩し、なお不足があるときは繰越欠損金として整理するとしている。
(3)通則法第30条第1項=主務大臣の中期目標の指示により、主務省令に定めるところにより、中期計画を作成し、主務大臣の認可を受けなければならない、これを変更しようとするときも同様という規定。

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