中央省庁等改革関連17法案 地方分権一括法案
強行採決、可決成立

(国公労連「行革闘争ニュース」1999年7月8日 第144号)

(内容)
1 参議院本会議採決
2 7月8日参議院議面集会

中央省庁等改革関連17法案 地方分権一括法案
強行採決、可決成立
 太田総務庁長官、野田自治大臣の出席の下、8日午後1時30分から開かれた参議院本会議で、中央省庁等改革関連17法案が、自民、自由、公明、社民各党の賛成、民主、共産各党の反対により、可決成立しました。地方分権一括法案も、自民、自由、民主、公明、社民の各党の賛成、共産党の反対により、同じく可決成立しました。
 採決に先立つ、各党の討論の要旨及び採決の投票数は以下のとおりです。

<民主党・新緑風会・福山哲郎議員の討論>
 中央省庁等改革関連17法案に反対の立場で討論します。
 反対の理由は明確である、政府は簡素で透明な行政を公約に掲げていたが、余りにもかけ離れている。委員会でも人間、権限、財源の3ゲンの内どれがスリム化するのかの質問に、太田総務庁長官は、どれがスリム化するとかではなく、減らす手法がビルトインされたのだと答弁している。これでは到底簡素で透明な行政は実現できない。反対の主な理由は、(1)基本理念が欠如している。何のための改革なのか。未来が見えない。国土交通省、総務省は逆行している。(2)手順に問題がある。大括りから出発してた数合わせである。本来、あるべき行政を定め、国、地方の役割を決め、残った中央の仕事を民間に任せられるか検討すべきだ。巨大省庁のどこが簡素なのか。(3)国土交通省の誕生である。巨大な地方出先機関が権限を持つことで、地方の民意を反映できるのか。(4)財政と金融の分離問題だ。公党同士の公約を破るものだ。金融システムに禍根を残す。(5)定員削減のごまかしだ。総理が唯一リーダーシップを取ったのが、公務員の25%削減と行政経費の30%削減だが。しかし、25%の定員削減は、10%削減と何ら変わるものでなく、独立行政法人化は見かけだけだ。行政経費の30%削減も、何ら具体的なものではない。(6)総理のリーダーシップは、議院内閣制の下に、初めからあった、総理の発議を確認しただけだ。内閣府にも、各省をコントロールする機能がない。

<自民党・石渡清元議員の討論>
 自民党・自由党を代表して、中央省庁等改革関連17法案及び地方分権一環法案の政府案に賛成の討論を行う。
 20世紀の幕引きに当たり、日本の行政は重大な岐路に立っている。経済のグローバル化や少子・高齢化など様々な問題を抜本的に見直し、閉塞状況を打開し、新しい仕組みの構築が求められている。その柱となる、中央省庁の改革や地方分権を今国会に提出した。行政システムの在り方を抜本的に見直していく。
 内外の諸情勢を乗り切るため、政治がリーダーシップを発揮し、政策の決定を迅速にするため、また、危機管理のために、内閣府を設置し総理のリーダーシップを発揮しやすくする。独立行政法人や局・官房の削減などによるスリム化の着実な実現を求める。
 一方地方分権は、平成5年に衆参両院で決議した流れの大きな到達点である。国と地方の関係を、上下主従の関係から対等平等の関係に切り替えていく。また、国の関与や必置規制の見直しが行われている。特別措置法で合併もより進むことを望む。
 両法案を新たなスタートとして、更なる地方への権限移譲を行っていくよう、政府として積極的に取り組むことを期待する。

<共産党・吉川春子議員の討論>
 共産党を代表して、中央省庁等改革関連17法案及び地方分権一括法案の政府案に反対する。
 ます、同時に議案を特別委員会に提出し、衆議院で僅かに81時間、参議院で65時間の審議しかしておらず、本法案の数の多さと、国民生活への重要性から、もっての外だ。国民に周知する時間もない。問題を沢山残したままだ。不十分な審議に抗議する。
 反対の理由は、@内閣機能の強化がガイドラインの実効性を高める。それを実現するところが、18省庁局長会議だ。A内閣府に設置される、経済財政諮問会議が、国の基本となる重要方針を決める。憲法65条では、内閣が決めるとなっている。B政治家が副大臣や政務官として行政に入ることで、行政への国会のコントロールが低下する。C公共事業の8割が集中する国土交通省という、ゼネコン奉仕の省庁を作る一方で、厚生省と労働省を合併縮小しようとしている。D医療、教育、研究機関を独立行政法人化する。国の医療を採算性だけでよいのか。研究機関を短期の評価にさらしてよいのか。また、将来の国立大学の独立行政法人化にも反対する。E公務員の25%削減に反対する。日本の公務員の数は決して多くない。行政を行うには人がいる。
 続いて、地方分権に反対する理由は、@国の関与を強める。A地方議員定数の削減、必置規制の削減などは、地方行政のリストラである。B通達行政は温存している。C米軍用地特別措置法の改悪を盛り込んでいる。
 また、中央省庁再編では、女性政策の後退が行われている。内閣府に男女共同参画会議が設置されるが、これは点検だけである。労働局が設置されるが、女性少年室が廃止される。重大な後退である。

 各法案に対する賛否は以下のとおりです。

投票総数賛 成反 対
○地方分権一括法23521025
○内閣府他(財務省を除く)各省設置法23315479
○国家行政組織法23315479
○財務省設置法・行政組織関係整備法23214983
○独立行政法人通則法23515481
○独立行政法人通則法に伴う整備法23515481


採決強行に抗議 120名の仲間が集まる
新たな闘いのスタートを確認
 国公労連は、7月8日24日目 となる参議院議面集会を120名の参加で成功させました。
 冒頭、国公労連藤田委員長が主催者を代表して、「本日、行革関連法案が強行されたが、内容と手続きの何れも許し難く、全体で抗議の意志を確認したい。行革闘争も既に3年経過したが、当初、行政改革は財政や景気の回復がはかれると、国民の期待を持たせた。しかし、今日、国民の中には確かなる変化が生まれている。それは、21世紀の国の基本的形・性格に関わる問題であるという認識であり、行政改革の反国民性との矛盾が拡大している。我々は、本日を起点に、引き続き憲法擁護・行政民主化の旗を掲げ、闘い続ける」とあいさつされました。
 つづいて、日本共産党、小泉親司議員から「たった11日の審議で、国の在り方や地方との関わり方を決めてしまうのは、国会の軽視だ。様々な問題を残したままである。今後国公労連の皆さんが行政の内部から監視する役割に対して奮闘されることを期待する」と国会報告を兼ねた激励のあいさつを行いました。
 つづいて、全労連・岩田事務局次長、公務共闘・吉田事務局長から激励のあいさつがあり、その後盗聴法反対実行委員会を代表して、自由法曹団の工藤弁護士、全厚生の岡野書記長、全建労の大塚委員長から、引き続き闘うとの力強い決意表明がありました。
 最後に、国公労連小田川書記次長から「議面集会は24回延べ1900名、国会傍聴は延べ400名、デモや座り込み等の行動に延べ4000名を越える仲間が結集した。行政のスリム化や首相権限の強化は、明らかに憲法の理念に反する。闘いの大儀は我々にある。引き続き様々な悪法と切り結んで、民主的行財政の確立のために闘っていこう」と行動提起があり、大きな拍手で確認しました。

トップページへ   前のページへ