参院行財政・税制特別委員会 6月16日午後の質疑
(国公労連「行革闘争ニュース」1999年6月17日付 第129号)

内容
 1.参院行財政改革・税制改革特別委員会ー6月16日午前の質疑
 2.6月17日参院議面行動

参院行財政・税制特別委員会
ー6月16日午後の質疑
 6月16日午後、参議院行財政改革・税制等に関する特別委員会は、中央省庁改革等関連17法案の総括質疑がおこない、江田五月(民主)、伊藤基隆(民主)、山本保(公明)、但馬久美(公明)、山下芳生(共産)、大脇雅子(社民)、高橋令則(自由)、奥村展三(参議院の会)、佐藤道夫(参議院の会)各議員が質問にたちました。  各委員がおこなった質疑の要旨は、以下のとおりです。

<民主党・江田五月議員の質疑>
○江田議員 内閣機能は、政府案ではどこが、どう強化されているのか。
●総理大臣 首相の発議権を明確し、リーダーシップを発揮する。副大臣、政務官を導入し、リーダーシップ発揮の背景をつくる。これらが改革の大きな柱だ。
○江田議員 発議権のこと以外は何もいっていない。今でも首相には発議権はある。これは、当たり前だ。そのことは、間接的には役にたつが、直接的ではない。もっと権限が行使できる内閣をつくる必要があると思うが、いかがか。
●総理大臣 新憲法下で、総理大臣の権限は強い。閣僚の任命権、罷免権も有している。さらに、リーダーシップを発揮するための権限を整備することで、権限を実行することができる。
○江田議員 最終報告は、政治的リーダーシップを発揮する点では、ちょっと弱い。

<民主党・伊藤基隆議員の質疑>
○伊藤議員 国益の実現と行革が一体となるために、どのような戦略をもち実行しようとしているのか。
●総理大臣 簡素かつ効率的な行政、自由かつ公正な社会の実現のために、法案を提出した。
○伊藤議員 行革を進める上で、国民の支持が必要だ。世論調査では、政府がやろうとしている行革と国民の関心に開きがある。どう受けとめているか。
●総理大臣 社会保障改革に関心が高いが、身近だからだ。この社会保障改革も行革との関連性は高い。土光さんは、行革に取り組む姿勢で国民にアピールした。国民の理解を一層求めなければならない。法案の審議を通じて国民の理解を求めていく。
○伊藤議員 郵政事業はギリギリの線で守られた。郵政事業の本質は郵便局があり、これが機能し、人が介在しておこなわれるネットワークがあることだ。これは、郵便局の努力のたまものであり、高齢者にとっては生活を支えるネットワークだ。総務省の中で、どのように役割を発揮していくのか。
●総理大臣 郵便局のもつ信頼性を承知している。内閣の方針に従って総務省の中で、自治省のもつ機能とも協力して、努力していくことを考えている。
○伊藤議員 自治大臣にきく。地方自治法の99条2項による、正規の意見書がだされた場合、政府はどのように扱うのか。
●自治大臣 99条2項は、「議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を関係行政庁に提出することができる」と規定している。受理をした関係省庁は、必要に応じ、行政運用に活用する。これからは、なお一層尊重することが大事だ。
○伊藤議員 答弁の内容に期待したい。21世紀の社会の安定基盤をつくることが大事だが、消費の冷え込みが大きく、雇用が悪化している。今、雇用を最優先することが課題であると考えるが、どうか。
●総理大臣 共通の認識をしている。ここでは、大変な構造改革をしようとしている。産業競争力強化と緊急雇用対策を速やかに進め、具体化する。これは、官民、政労使あげて取り組むよう、ご協力を申し上げた。予算も必要とあらば現在、大蔵大臣に総額5千億の予算が組めないか検討願っている。一刻も早く、対処しなくてはならない。
○伊藤議員 政府の緊急雇用対策は、大変明るいニュースだ。しかし、どう具体化するかが問題だ。リストラ、雇用調整で40代の働きざかりが対象になっている。労働大臣は、どう思うか。
●労働大臣 雇用の安定のために、政府は全力をあげている。世帯主の失業は、最も深刻だ。5千億の補正も組まれる。ありとあらゆる知恵と策を投じて、雇用の安定に努めていく。
○伊藤議員 労働者のセーフティ−ネットが崩れようとしている。
●労働大臣 企業で同一の事業は、30年で限界がくる。人の融通、移動をやらなければならない事態がくる。人材の移動がおきる。移動しても困らない社会保障の体制を整備するために全力をあげる。
○伊藤議員 答弁で、日頃からよく考えていることがわかった。しかし、企業と労働者の信頼関係は、アメリカ型社会とは違うので、とんでもないことになる。

<公明党・山本保議員の質疑>
○山本議員 韓国と北朝鮮との銃撃戦がおこなわれたが、これは周辺事態法でいう周辺事態にあたるのか。
●外務大臣 注意しなければならないが、周辺事態にあたらない。注視はしている。
○山本議員 少子高齢化は重大問題だ。どのような対応を考えているのか。
●総理大臣 少子高齢化が進行している。このことで社会的・経済的な影響を懸念している。年金、医療、介護が安定して運営できるよう、構造改革を進める。少子化対策の、国民的な広がりある取り組みを進める。
○山本議員 内閣の中に、少子化対策の合議体があってもいいのではないか。
●総務庁長官 合議体をつくるには、多数の省庁にまたがっていることが要件にある。少子化対策は、すぐれて厚生省についての集中が大きいテーマであり、厚生省を中心に調整する。○山本議員 各省がからむ問題だ。検討して欲しい。特殊法人のあり方についてだが、役員の報酬が公開されていないのは、なぜか。
●総務庁長官 特殊法人は、中央省庁の再編と同時に、整理・合理化を進めていく。独立行政法人通則法は、特殊法人も意識してつくってある。平成7年12月、8年12月の閣議決定にもとづき、情報を官報で公開している。 ○山本議員 役員の報酬についてはやっていない。ぜひ、やってほしい。
●総理大臣 ディスクロージャー(情報公開)については、国民に理解されるようやっていく。
○山本議員 方針がそうなら、急いでやってほしい。ゼロ歳児のお母さんの支援で、有給の育児休業の現状はどうなっているか。
●労働大臣 受給者数は、7万1千人となっている。
○山本議員 ゼロ歳児保育の入所者数の現状は、どうか。
●厚生大臣 入所者数は、5万9千人。年間1500億円の費用の2分の1を補助している。○山本議員 労働省は遅れている。厚生省と労働省の2つの省がいっしょになる。労働省はしっかり、見直して欲しい。

<公明党・但馬久美議員の質疑>
○但馬議員 大規模地震が発生した時の総理の役割は。阪神大震災の時、村山首相の対応がおくれた。首都圏で大規模地震が起きるとおわれているが、どう改善してきたか。
●総理大臣 これまでの対応を反省して、災害対策基本法を改正し、緊急対策の要件を緩和し、災害緊急事態での本部長である総理の指揮権を強くした。
○但馬議員 迅速な対応を、総理自らおこなうよう要望する。国土交通省ができるが、巨大な公共事業の省になる使命感や、省としての調整などのついて、どのようにしていくか。建設省として吉野川可動堰にどう対応するのか。
●建設大臣 あらゆる機会を通じて誠心誠意、住民に対し説明をしていく。住民参加を大切にし、対話のルールづくりを話し合う懇談会の設立を考えている。

<日本共産党・山下芳生議員の質疑>
○山下議員 戦争法で、政府として自治体や民間が協力するための解説書をつくっているときいているが、どうか。
●総理大臣 これまでも、要望に応じて協力の内容を説明してきた。政府内でよりわかりやすい、周辺事態法9条の解説書をつくっている。
○山下議員 協力を要請された自治体は、拒否することができるのか。
●運輸大臣 日米地位協定では、港湾での混雑を理由に断ることができるとしている。
○山下議員 自治体が港湾・空港施設などの米軍使用によって周辺住民に被害がおきる場合は拒否することができるのか。
●運輸大臣 そのようなことは、想定できない。
○山下議員 想定できないと、いいきれるのか。
●運輸大臣 基本的な認識の差の違いだ。
○山下議員 実際に自治体から、住民に危険がおよぶことを懸念する意見書が採択され、心配の声があがっている。自治体の長として入港を拒否することはありうる。
●運輸大臣 港湾が混雑している場合と、今の話は結びつかない。混雑している場合は、断る正当な理由になる。協力の依頼であり、強制ではない。
○山下議員 解説書の原案で、国が直接に民間船舶会社や航空会社に港湾・空港の使用予定を変えるよう依頼できるとなっているが、どうか。
●内閣安全保障・危機管理室長 国が場合によっては、使用内容の変更を依頼することはある。
○山下議員 国が港湾の混雑をなくさせ、自治体が拒否できなくなる仕組みになってしまう。 自治体病院で負傷兵の受け入れる際、ベッド数の増床をおこなうことはありうるのか。
●内閣安全保障・危機管理室長 国からの依頼を受けて、医療関係者の判断による。医療法の中で、許される範囲の判断でおこなえる。
○山下議員 ベッドの増床で、一般患者の治療や看護が米兵のために手薄になるが、どうか。
●運輸大臣 周辺事態を前提にしている。協力は強制力をともなわないことを繰り返しいっている。
○山下議員 周辺事態は、日本の平和と安全と言えば、何でもゆるされるわけではない。一般患者を排除するわけではないというが、増床しても行うのか。
●厚生大臣 一般患者に支障がないように、ベッドの増床の時、臨時応急の場合の判断は、ガイドラインの運用として判断されるべきだ。
○山下議員 アメリカの医療支援教本では、傷病兵の治療は、戦力増強が目的であると言っている。解説書の原案では、公共施設は優先使用を認めるものではないとあるが、場合によっては、優先使用がありうるのではないか。
●内閣安全保障・危機管理室長 解説書は、作業中だ。
○山下議員 優先使用は、できないと書くべきではないか。
●自治大臣 承知していないものだ。自治体が自主判断する問題だ。
○山下議員 協力内容は、非公開もあるのか。
●内閣安全保障・危機管理室長 何を運ぶかについて、何から何まで公表するものではない。
○山下議員 非公開の対象は、だれが決めるのか。地元の住民に知らされない武器・弾薬の輸送など、非公開なら協力できない理由になるのか。拒否することは、正当な理由ではないのか。
●自治大臣 情報を赤裸々に公開しないということと、学校の施設を武器・弾薬の倉庫になるのとは、直結しない。
○山下議員 自治体の施設管理は自治事務だが、地方自治法の改正の中で、国の方針と違う場合は是正の要求ができるとしている。是正の要求を行うのか。
●自治大臣 是正の要求は、国の関与の一つとして決めている。自治大臣ではなく、各大臣が要求する。ガイドラインの運用とは、関係がない。

<社民党・大脇雅子議員の質疑>
○大脇議員 行革・省庁再編に対する国民の期待は、政官財のゆ着にメスを入れる、国民の政治に対する信頼を回復することにある。行政に魂を入れるには、行政改革と自己改革はセットであり国家公務員倫理法は急務だと思うが、どうか。
●総理大臣 そういった線で、適切に対処したい。
○大脇議員 国土交通省は、巨大な公共事業官庁になる。政官財のゆ着をたつことが必要だと思うが、どうか。
●建設大臣 社会資本の整備を、襟を正してやる。
○大脇議員 行政に対する不祥事が後をたたない。国家公務員倫理法の制定が必要だと思うが、どうか。
●大蔵大臣 国会に法案が提出されている。この法案で決定いただくのが、一つの道を示すものだ。
●防衛庁長官 一連の不祥事を厳正に受けとめている。議員立法として、自衛隊倫理法案を提案している。
●総理大臣 国会で成立することを期待している。成立したら、適正に運営する。
○大脇議員 今なお審議されていないが、成立にむけてさらなる努力を要請する。審議会が6分の1に削減することになる。削減は、どのような基準でおこなったのか。
●総務庁長官 基準というより、政策を目的にした審議会はなくし、総合的なものは、残すべきものとした。21の省庁のうち、1つか2つは残すことにした。線引きは、総合的なものかどうかだ。
○大脇議員 政策の立案が不透明にならないか。
●総務庁長官 広く民間の有識者の声を聞くことは、やらなければならない。充分に聞いて、内閣が決断するのが今回の改革だ。
○大脇議員 国家公務員の一律25%削減で、サービスの低下につながらないかの危惧がある。25%の根拠は何か。
●総務庁長官 10年で25%の削減は、自・自連立の合意であり尊重する。10年で10%の定削、独立行政法人化によって達成する。
○大脇議員 なぜ、25%なのか。公共職業安定所では相談待ちであふれている。臨時的な増員も必要ではないか。
●労働大臣 10年間で25%のしばりがあり、行政需要の多いところに限られた中で濃淡をつけていく。最新鋭の機器を導入して、人手をカバーする。官民相まって、職業紹介機能が働くように取り組んでいる。
○大脇議員 現代の行政は、機動力に富む人員配置が必要だ。行政サービスが低下しないための対策が必要だ。
●総理大臣 25%の削減は、乾いたタオルを絞るように苦労している。行政サービスが後退することがあってはならない。職員の努力をもって、実施しなければならない。
○大脇議員 国民主権の立場で行政を不断の努力で見直すことが大事だ。総理の決意は。
●総理大臣 より効率的、効果的な行政のために必ず達成していきたい。

<自由党・高橋令則議員の質疑>
○高橋議員 2つの法案は、さらに展開されていく第一歩だ。それによって改革ができると考えている。あるべき姿、基本的考え方を明らかにすることが必要だし、国民の意識を変えなくてはならない。歴史認識についてのご指導を。
●大蔵大臣 戦争に負けて、よくやったなと感じている。もう一度、自分が責任をもって考えなければならない時期にある。この法案のご審議をお願いしたい。
○高橋議員 こういう時代、一人一人が変革しなくてはならない。総理を中心に21世紀を繁栄させるために、自己責任をもって不退転の決意で努力しなければならない。総理の決意は、どうか。
●総理大臣 今は、第3の改革の時期だ。21世紀を前にした改革は、自らの力でやらなければならない。私自身、真剣に取り組む。
○高橋議員 行革、地方分権のキィーワードである官から民へ、中央から地方への具体化は、きちっと検証して見ていかなければならない。緊急雇用対策と産業競争力強化は、基本的に賛成している。しっかりやってほしい。
●労働大臣 雇用対策は民間の力をつかい、雇用促進交付金などで前だおしでおこなう。
●通産大臣 政府は産業の競争力強化では、不要の分野に張りついている資本と労働を他の分野に移動させる環境を整備するのが役割。それが、大原則だ。
○高橋議員 市町村合併に、どう取り組むのか。
●自治大臣 地方分権を積極的に進めなければならない。システムづくりと自治体の基盤強化が必要だ。市町村合併はそのための中心課題の一つだ。合併は、住民が中心になり進めなければならないが、合併特例法の改正でバックアップし、財政的な支援をおこなう。

<参議院の会・奥村展三議員の質疑>
○奥村議員 大蔵省の財政と金融の分離について、自・社・さの3党合意が踏みにじられ、金融改革は、期待に応えたものになっていない。自民党の単独政権はもうありえないのだから、政党間の信頼、信義が損なわれないように願いたい。
●総理大臣 原則としてご指摘はそのとうりで、公党の約束はまもるべきものだ。政府としては、努力した結果、国民に理解を得られる方向で考えた。新しい財務省と金融庁がその責任を果たしていく。
●大蔵大臣 提出した法案の中で、財政と金融については明確に分離されている。財務省では、金融について何ももっていない。金融庁は、全て金融が任務になっている。現実には、はっきり分離している。
○奥村議員 巨大な公共事業官庁になる国土交通省のもとで、まず公共事業の見直しをおこなうことが不可欠だ。地方整備局ではブロックにおける公共事業の整備が目玉だが、充分な手だてが必要だと思うが、どうか。
●総務庁長官 地方整備局は体制整備にあたり、管轄区域、組織、人員の配置などを検討している。
●建設大臣 権限が委譲されるが、組織と体制をしっかりつくらなければならない。ハードとともにソフト、人的な問題と意識もいる。そのために、努力と熱意が必要だ。
○奥村議員 環境省の体制について、充実強化をはかると答弁しているが、その中味は何か。
●総理大臣 庁から省に格上げする。平成13年の発足時に省にふさわしい組織・定員の充実強化をはかる。

<参議院の会・佐藤道夫議員の質疑>
○佐藤議員 衆議院の竹下登氏の動静について、どこで何をしているのかわからない。きちっと知る権利がある。一体いま、何をしているのか。
●総理大臣 4月から病院に入院し、治療をうけている。記者会見をされることはない。
○佐藤議員 竹下氏も言う気がないのか。
●総理大臣 逐一、承知していない。
○佐藤議員 それは、問題だ。近々、首都機能移転の候補地が決まるといわれながら、総理官邸や霞が関の庁舎の建築が進んでいる。国会だけが移ればよいなどと思っているのか。首都移転する気があるのか。どの規模でおこなうのか。
●総理大臣 首都機能移転は、内閣として取り組む重要な課題だ。秋頃に移転の候補地があがる。東京とも比較し、交渉などもある。現時点では、明言することはできない。

盗聴法反対実行委員会などと共同で
議面行動150人が参加−6月17日昼


 6月17日昼、「不況打開、いのち、平和、民主主義を守る国会行動」の参議院議面行動が行われ、国公労連40人を始め、150人が参加しました。
 国会報告に立った共産党須藤美也子参議院議員は、「政府与党は、盗聴法案や、地方分権一括法案、省庁再編法案、日の丸君が代法制化などの悪法を成立させるため、回帰の大幅延長を行おうとしている。会期内で成立しないものは、廃案か特別の場合継続審議という原則を踏みにじる暴挙だ。自自公の暴挙は、自らの基盤を崩している。最後まで頑張ろう」と呼びかけました。
 決意表明に立った国公労連安部副委員長は、「国公労連は、すべての行革特別委員への職場からの要請書送付、30万枚ビラ宣伝などを展開し、省庁再編法案に反対し頑張る」と述べました。決意表明は、このほか憲法会議、自由法曹団、社保協、全教が行いました。
 最後に、国民大運動実行委員会事務局長の沢中全労連国民運動局長が、6.24集会の成功や国会行動の強化などを提起。全体で確認し、行動を終えました。

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