参院行財政改革・税制特別委員会 6月16日午前の審議
(国公労連「行革闘争ニュース」1999年6月17日付 第128号)


 1.参院行財政改革・税制特別委員会−6月16日午前の審議
 2.6月16日参院議面行動
参院行財政改革・税制特別委員会
−6月16日午前の審議
 質問者は、大島慶久委員(自民)、田村公平委員(自民)、江田五月(民主・午前部分)
大島委員
 1885年の内閣制度以来の大改革だ。日本は、人口千人当たり37人、欧米に比べて既に少ないが、民業を圧迫している。より一層の効率化を。行政のスリム化の筋道を示すべきだ。
太田総務庁長官
 官から民へ、中央から地方への事務の移行が基本。民間委託、独立行政法人化、などとともに、公務員の25%削減の推進、あわせて特殊法人の整理、規制緩和などをすすめる。
大島委員
2001年1月のスタートは、年度途中となるが、地方公共団体の対応は大丈夫か。地方の対応に懸念がある。 河野内閣審議官 21世紀の初頭からやる意味が。手続きは、政令組織の整備、独法通則法から個別法の制定へ。万全を尽くす。
大島委員
1月1日実行した場合、支障ないのか。
太田総務庁長官
 円滑に運ぶことに重点を置く。けじめをつけるべきで、気合いでやる。いろいろ無理があったが、首相の大号令でやることに。
大島委員
勇気を持って、変更するところあれば変更すべき。国と地方の関係に万全を。深く協議をして、やり直しないようにスムーズな引き継ぎができるように。また、国には多くの許認可事務があり、例えば同じ省庁の中で補助金内容が、異なることがないように統合を。
大野審議官
補助金の統合など、改めて国会の判断を頂く点もある。
大島委員
官房・局は、128を96に削減。その結果、長のポストが減。職としての分掌官についても最小限に。
太田総務庁長官
 求められる統合・機動性を確保。機動的事務の活用はかる職として。しかし、必要最小限にする。衆院での付帯決議もあり、これは固定的組織でない。 大島委員 次ぎに、地方支分部局の統合は、最重要課題であり、思い切った削減を。
 84.6万の国家公務員の内、霞ヶ関には3.9万人おり、約50万人が地方支分部局の所属だ。そこの削減無しには(スリム化が)期待できない。合理化計画で、ブロックや県機関の総合化を。ところが、これは2001年1月以降に先送りしており、不満だ。廃止、整理、自治体化などの合理化をはかるべき。25%削減のためにも必要。第2の合理化計画は。
太田総務庁長官
 当面、地方建設局と港湾建設局の統合など、14の事項を決めた。地方支分部局の計画は、第1・第2段階に分け、目途つきしだい、第2段階を取り組む。
大島委員
地建・港建の統合は一つのスポット。あとは、第二は、腹案あるのか。
太田総務庁長官
 地建・港建の統合だけでなく、地方医務局や麻薬など・県組織を含めて14事項を決定した。まず、本丸から改革する。一斉の出発は失敗をおそれる。次ぎに、臨む決意あり。
大島委員
公務員の削減は、基本法で10%であるが、自・自合意で25%となった。53.2万人が対象で、25%削減は13.7万人になる。独法で7万人、残りの半分達成のため、独法化の拡大・民営化などアウトソーシングが必要。達成のためあらゆる手だての筋道は。 太田総務庁長官 10年間で25%削減は自・自合意で、それを閣議決定した。少なくとも各府省が10年間で10%を削減、残りは独法化、増員の抑制等で25%の純減をめざす。
 4.27の基本計画で、89機関の独法化に加えて、民営化など様ざまな努力をする。
大島委員
 独法化に力を入れることに期待。独法の評価委で業績評価を。89機関の内、85機関は公務員身分のままである。これは結局、外に置くだけだ。身分の見直しもはかるべきだ。 太田総務庁長官 独法の中期の見直しは、身分の見直しも含めてのことである。独立行政法人の運営は、国民の目にさらされ緊張感を強いられることになる。その役員は特別職で、緊張感を持ち、違った意識で取り組むことになる。
大島委員
 最も力を入れてきたことで、百%の達成を。思い切った定削のため、弾力的な運用を。給与は業績を反映させること。しかし、このことが国民の中に浸透していないのではないか。
太田総務庁長官
 独立行政法人は、事前の調整から、予算措置でなく、一括した交付金を渡し切り、その中で組織・定員など自己の責任で対応することになる。各省庁の統制下に置かれるのではなく、自立的・自己責任、事後評価で運営される。このメリットが国民の理解を得ているわけでない。マスメディアに取り上げられるよう努力する。
大島委員
 大臣の関与を最小限に。責任体制の明確化を。特殊法人の場合、問題が生ずると国会で主務官庁を追及した。独立法人は、どうするのか。
太田総務庁長官
 徹底的な事後評価を行い、大臣の関与を限定し、監督権は有しない。中期計画の変更など、明示的な権限を持つものにする。
大島委員
 12.5万人の国立大学を切り込む必要がある。教授の他の仕事との兼任などの検討を。
小渕総理大臣
 大学の独法化を含むあり方については、大学の自主性を尊重し、大学改革の一環として検討している。
有馬文部大臣
 審議会の答申と基本法を踏まえ、今国会での法改正をめざしている。大学のあり方は、改革の進行を見つつ、産学連携や社会貢献ができ、平成15年までに結論を得るよう着ちゃくとすすめている。
大島委員
 政策評価制度について、各府省は自己チェックを行うが、厳正中立となるか。民間の有識者による第三者機関でのチェックも行うべきだ。また、総務省のチェックで、各省の政策見直しまで迫れるか。基準のガイドラインは法律で定めるべきでないか。
太田総務庁長官
 チェックは事前・事後に行い、府省において、評価、企画立案に取り込み、客観性を持ったものだ。
 チェックは、厖大、多様なことから、三者の活用は実践的に行う。試行錯誤的になろう。
 総務省は、当該大臣に勧告し、勧告に対する報告を求める機能がある。また、総理大臣への意見具申権がある。
 内閣法の指揮監督権の行使は、命令を含め強力な権限を持つもの。
大島委員
 国民は政治不信があり、評価を国民の目にさらすことの検討を。
 医療・福祉などが重要になる。社会保障制度の構造改革を、どのようにすすめるのか。展望をみいださなければならない。
 社会のセーフティネットと社会保障は重要。厚生、労働省は、どのように統合するのか。統合のメリットは。社会保障各制度の横断的な整理が必要。全体の効率化、それからサービスと民活化も。
 2000年4月から、介護保険制度がスタートするが、今後のあり方は。
小渕総理大臣
 21世紀に向け、厚生行政と労働行政の連携強化が、少子高齢化を迎えて、増すます重要であり、統合もそこに意義がある。社会保障制度の企画、立案、実施の向上につとめることに確信を。
宮下厚生大臣
 21世紀における改革であり、国民が安心できるように、年金、医療等々のビジョンを示す努力をする。 大島委員 来年4月から、初の介護保険が試行される。うまく行くとは限らないが、後退することなく、来年スタートへ。

田村委員
 なぜ、1府12省庁体制なのか。
小渕総理大臣
 基本法の指し示すところによる。行政は、省庁の拡大傾向にあり、それを大括り、再編することによって効率的にするものだ。
太田総務庁長官
 大括りは、従来のタテ割弊害からの脱皮だ。また、任務から大括りにした姿が1府12省庁である。
田村委員
 71審議会を約3分の1にする根拠は。
太田総務庁長官
 6分の1だ。原則なくしたいが、政策審議型の審議会だ。
田村委員
 6分の1ならよいのか。なぜ、全廃しないのか。
太田総務庁長官
 おっしゃる通りだが、基本法には基本的なものを除くとある。
田村委員
 地方建設局と港湾建設局を統合して地方整備局とするが、その下の地方出先機関はどうなるのか。
関谷建設大臣
 出先機関は、地域に細かく網の目のようにゆき渡っている。改革とは、百%全ての方向から見ていいと言うことでない。
 職員の意識改革を通じて、地域の不安を払拭していく。
田村委員
 公務員にとっても、先が見えない不安がある。展望が見えないのではないか。
野田自治大臣
 点なぜ、改革をするのか。我われの意識改革が重要である。システムを変えることは、動かす人の意識を変えることでもある。個人、企業も自己決定するシステムを作ることである。
田村委員
 地方公務員も、国家公務員の25%削減の影響を受けるのではないか。
野田自治大臣
 地方にも、最終的には国への依存体質があった。地方の自主性、自立性を確立しなければならない。また、住民も、自立、自助性を持たねばならない。
田村委員
 規制緩和の中に、グローバルスタンダードとあるが何か。
堺屋経企庁長官
 グローバル化とは、モノ、カネ、ヒト、情報が越えて流通していく。大きな流れとしては、消費者の主権を信頼して、規制緩和をしていく。
田村委員
 これまでのやり取りに対する所感を聞きたい。
小渕総理大臣
 行革を成し遂げることは、時代の要請である。これを現実に実行するには、いろいろハードルがあると感じている。25%削減にしても、そこには現実の生活があることも理解している。
 ご指摘を憂慮しながら、はじめに行革ありきでなく、法律を通して頂いて、行革を実行する段で、問題は必要最小限にとどめなければならない。
 行革を真剣に取り組んでまいりたい。
江田委員
 明日で、国会は閉会だ。法案は多く残っているのに、どうされるのか。
小渕総理大臣
 政府としては、雇用対策などの補正予算等を講じたい。国会で、ご審議できるようにして頂きたい。

参院議面に80人
−6月16日
 国公労連は、16日、80人の参加で参議院議員面会所行動を行いました。行動では、国公労連西田副委員長が主催者あいさつし、「国のあり方をねじ曲げる動きが強められているが、反転攻勢の動きも幅広い団体が結集したガイドライン法反対5.21集会などのように広がっている」とのべ、奮闘を訴えました。
 国会報告に立った共産党・富樫練三参院議員(行革特委理事)は、「今回の法案は、国民をないがしろにし、国家権力を強化するもの。明日で国会会期は終わりであり、廃案が当たり前だ。しかし、自分たちに都合がよいように土俵を広げようとしている。参議院に来ると闘いが盛り上がる。全力で奮闘するので、皆さんも戦線をさらに広げて頑張って欲しい」と述べました。
 ついで公務共闘の仲間を代表して、郵産労田中書記長が連帯のあいさつをし、「郵政の職場でも今回の行革で民間参入への道が開かれ、郵貯の自主運用、逓信病院の独立行政法人化も行われようとしている。職場では人員が大幅に削減され、朝礼で列が曲がったら処分されるなど、攻撃が強まっている。行革によって、さらに国公労連との関係も深まる。ともに頑張ろう」と述べました。
 単組の決意表明では、まず全労働高木副委員長が、「地方分権では、自治労と一部野党が働きかけた結果、理不尽な修正がされた。いま、どのように闘ったか、後世に語れるよう、精一杯頑張ろう」と述べ、全運輸市川副委員長は、「国民サービスの低下を許さない闘いと、独法について当局交渉を強めてきた。今後とも国公労連に結集し頑張る」と決意表明しました。
 行動提起は福田書記長が行い、1.職場からの特別委員への要請決議送付など文書戦、2.30万枚ビラ宣伝、3.両輪の署名の最終集約、4.国家公務員25%削減に反対する団体署名、を進めようと述べ、全体の拍手で確認、行動を終了しました。

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