省庁再編法案の委員会採決を強行 自民、自由、公明、社民が賛成
(国公労連「行革闘争ニュース」1999年6月9日付 第121号)


 本日夕刻、衆院行政改革特別委員会は、中央省庁関連17法案を、自民、自由、公明、社民4党の賛成多数で可決、明日10日、本会議で採決に付されることになりました。また、自民、自由、公明、社民4党提案の付帯決議が採択されました。なお、民主党提案の内閣法改正案、内閣府設置法案、首相府設置法案については、民主党のみの賛成で少数否決されました。法案の委員会採決強行に対し、別送の書記長談話を発表しています。

衆院行革特別委員会・6月9日午前の審議 民主党案の質疑なされる
 6月9日午前の行政改革特別委員会は、民主党提案の「内閣法の一部を改正する法律案」「首相府設置法案」「内閣府設置法案」について、自民党・岩永峯一、民主党・山本譲司、公明改革・若松謙維、共産党・平賀高成各委員による質疑が行われた。国公労連本部は、緊急に傍聴行動を行った。質疑の一部であるが、概要は以下のとおり。
 民主党の答弁では、民主党案は「トップダウンを強めなければ改革はできない。首相のリーダシップを強め、内閣がチームとして国政の方向性を定め、官僚・各省庁を手足のように使わなければならない」との趣旨であると述べている。
 若松委員の「政府案でも内閣機能の強化が出されている。政府案との違いはどこにあるのか」「首相府を設置した意味」「予算の作成はどうなるのか」等の質問に対し、民主党は「総理の閣議運営方法の決定権を持たせている。首相府として総理の補佐機関を定めている。政府案では官僚支配が残されている。首相のリーダーシップを強めるため、首相府は政治任用で数十名、事務は100〜150名のスタッフをそろえる」と答弁するとともに、イギリスを参考にし「イギリスでは役所は道具にすぎないといわれる。役所の統廃合は首相の権限である。行政改革は政治指導で目標が定められている。民営化、エージェンシー化の手順も定められている」「民主党案では首相府に行革推進室をつくりすすめる」「特殊法人等は、廃止の方向ですすめる」と答弁した。また、予算の作成権限については「首相が全部配分する権限がある。総理に権能がある」と述べた。
 平賀委員は、民主党案は「大統領に近い総理大臣とするものである」と指摘するとともに、「行革は政官財の癒着を断ち切るべきである。温床でもある企業団体献金をどう考えるか」「省庁再編、独立行政法人化について対案が出されていない」「公共事業に50兆円、社会保障に20兆円、これを是正しなければならない。政府案の巨大な利権官庁・国土交通省をどう見ているのか」「独立法人化をどう捉えているか」「日本は先進国のなかで人口1000人あたり最も少ない公務員であり、政府案の25%削減では、高級官僚を温存したまま、公共サービスは低下することを招く」などを質した。
 これに対し民主党は、情報公開制度を明確にさせることで政官財の癒着構造に大きな改善ができる。党も企業団体献金に反対であると述べ、公共事業については「抜本的な見直しを図らなければならない。地方分権を中心にするともに、五全総にこだわらず、国民が求めているものに重点配分を行う。国土交通省は肥大化し問題が起きる危惧がある。スリム化・効率化・スピード化に反している」と述べた。さらに独立行政法人化については、「全体をスリム化する手法として賛成である。ただ、政府案は基準がない。廃止、民営化を図った後、国の内部機関として独立行政法人化する」と答弁。また、削減問題では「まず権限、財源を地方に移譲化した上で、スリム化する。政府案よりスリム化できると考えている」と答弁した。
 民主党は今回は時間的な問題もあり、基本案件について法案をまとめたものであり、このほかの点については修正の方向で議論していくと答弁した。

衆院行革特別委員会・9日午後−締めくくり総括質疑
<中井洽議員(自由)の質問>
中井議員:公務員削減は、基本法で10%、首相の公約で20%、3党合意で25%で盛り込まれたこと全面賛成。経過を報告して欲しい。
小渕総理:責任ある立場での公約、大臣として話し合いの重要性にかんがみ10年間で25%を合意で決定した。尊重し、緊密な連絡をとり実施していく。計画的削減と独立行政法人化で一層削減し25%の純減に最大限努力する。
中井議員:ナマ首を切れとは言っていない。一律25%とも言っていない。大田長官、計画的削減を進め、来年の採用から増員抑制を積極的におこない、10年間で25%削減は間違いないか、決意を聞かせて欲しい。
大田総務庁長官:合意を尊重し、連携しつつ純減を実施する覚悟。独法化、民営化、規制緩和、新採抑制でさらにすすめる。
中井議員:政治主導強化が盛り込まれた。副大臣、政務官の配置や内閣官房に補佐官を3人増やす。内2人は、国会議員をあてるという内閣官房でも政治主導とすることを確認したい。
小渕総理:ブレーンとして進言するうえで高い見識を有する、そのためにも国会議員と考え大書すると理解している。
中井議員:防衛庁は省に昇格し、国防に誇りをもって当たらせるよう強く主張。いつまでも古い防衛論や平和論で良いとする考えなさけない。菅発言は、有事法制の提案と受け取っている。国防を論ずべきだ。
小渕議員:変貌する国際情勢で国として適切な防衛は必要と認識し防衛省の名が議論あることは承知している。

<上田清司議員(民主)の質問>
上田議員:郵政の5年後の公社化は基本的に賛成。省庁、特殊法人、新たな省、独立行政法人といろいろなかたちができる。独法の対象基準はどうか。
大田総務庁長官:89の事務事業で非公務員型4つ(国立青年の家、国立少年自然の家、貿易保険、通商産業研究所)。
上田議員:具体的な対応はどうか
河野内閣審議官:基本的に独立採算ではない。座製措置の振り分けは個別の法律を設置し中期計画を定め予算措置を判断する。
上田議員:何のためにそうするのか。現在でも財団法人や社団法人、特殊法人に4兆6千億円が出されている。新たに公金を入れる仕組みがアウトソーシングの視点になるのか。
小渕総理:独法にすることで公務員として存在する人とそうでない人がより具体的にそれぞれで目標を達しうるようにする。
上田議員:公益法人に種々の公金が入っている。あえて独法にして公金を出す仕組みを作ることに異議あり。郵政公社の中で簡易保険事業をクリアしておかないとよいかたちにならない。1兆1370億円が財投から特殊法人に使われている。ハートフルプランは配当金がもらえるといっているがそうではない。簡易保険は営利目的しいないか。保険者に損をさせない考えていいのか。
野田郵政大臣:そうだ。保険と貯金の区別の問題だ。万一の時のためにはいるもの。利用者が選んでいる。
足立簡易保険局長:低金利で養老保険も30才ならいいが40才以上になると支払いオーバーになる。
上田議員:国営でやっているものが儲けていいのか。止めるべきだ。まともなパンフをつくるべきだ。
小渕総理:保険制度の中でいろいろなメニューの中で選択していると思っている。サギ的なものというが、政府としてはそのようなことはない。丁寧に説明することは必要。あくまでも保険として万一を約束している。窓口で指導を強化する。
上田議員:国民を保護する野は我々の仕事。国営が率先してやっている仕組みに問題がある。郵政の新たな構想、根本のところでミスをおかしている。クリアしてもらいたい。京都共栄銀行の破綻が健全銀行の幸福銀行を破綻にした。3ヶ月前に幸福銀行は健全銀行と認めていた。中身の検討はしたのか。
松田参考人(預金保険機構):欠格の認定を受けて援助の申し出があり、預金保険機構で決定する。
乾金融監督庁監督部長:欠格の認定要件はすべて認められ、6月15日に認定された。10年3月の決算は適正にされていた。
上田議員:320億円の債務超過と言われる。検査のところで明らかにならないのか危惧する。政府の信頼がなくなる。金融監督庁は長銀の超過債務についてつかめないのは問題あるのか。
乾部長:当時は債務務超過ではなかった。
(以下略)

<田中慶秋議員(民主党)の質問>
田中議員:改めて総理の見解を聞きたい。明治、戦後に次ぐ第3の見直し。簡素、透明、スピードある行政が、この1府12省庁で実現できるのか?財源、権限を地方に移譲すべきなのに、今回は、国の出先に移譲する。行革の大きなミスではないか?
小渕総理:努力し、それなりの成果を得てきている。大変革で、新しい時代が迎えられる。
田中議員:郵政事業をかかえる総務省に公取委を置くのは問題。情報や通信の分野で競争が激化するときに、客観性が確保できるのか?
太田総務庁長官:行革基本法で総務省の外局とすると決められている。職務権限について、中立、独立性を保障するため、委員長、委員の身分保障を定め、委員長、委員の人事は、両院同意の下、総理が任命するという点は何ら変更がない。
田中議員:内閣府のおくのがベター。諸外国からの誤解も招かない。
小渕総理:職務権限の中立、独立を確保する。そのため、委員長、委員の任命は従来通り。段々の経過の中で総務省におくことが適当とされた。
太田長官:内閣府は、企画立案を担当する。準司法的なものを置くのはどうか。法務省におくべきという意見もある。そうしたことはともかく、基本法において決められている。
田中議員:宮内庁は内閣府に置かれるのであり、内閣府は企画立案ばかりではない。基本法以上に定員削減はするというのに、基本法に書いてあると逃げてはいけない。
太田長官:白地に描けるわけではなく、まずスタートするのが大事。
田中議員:水の問題をいいたい。上水道は厚生省、工業用水は通産省、農業用水は農水省、下水道は建設省。バラバラでいいのか?
太田長官:環境省は、環境保全について、一元化や共管し、調整、勧告をする。排水、下水道、河川環境について、関係部署と共同で当たる。一つの対象にいろいろな角度から当たる。
田中議員:審議会にメスを入れないといけない。半数近くが役所関係者だ。あり方についてどう思うか?
小渕総理:重要な問題。さすればこそ、整理合理化し、委員は原則として民間とし、役所OBの任命を厳に抑制し、適切な人事を徹底する。
田中議員:もう少しきめ細かく、設置要項などを作る必要はないか?
太田長官:審議会については、役所OBはほとんどいなくなる。今後、審議会は、総理や各大臣が、意見を聞きたい人から聞く。意見で尊重すべきものは尊重し、政治の責任で政策を決定する。
田中議員:行政のコスト削減についてだが、30%減らすためには、民間企業でいえば50%削減をめざさないといけない。人件費も含むのか、事業費だけなのか、どの省庁も一律なのか? 小渕総理:あらゆる部署で行う。10年で30削減だが、単年度でもあらゆる角度から見直す。スローガン的であってはならない。省庁再編を機にしっかり調査、検討し、目標達成へ努力する。
田中議員:具体的には賃金も含むのか?
小渕総理:行政分野全体を削減。年金の通知書の発行を単発でするのか年間契約でまとめるのかとか、会計処理をペーパーレス化するとか、質的向上と負担軽減をさらに検討。
田中議員:特殊法人は原価意識が欠けている。同じ住宅でも、労働省所管の雇用促進事業団住宅は、時代にあった形でリフォームして長持ちさせているが、住都公団の住宅は、耐用年数を下回り、平均37年で建て替えしている。ニーズにあった住宅を提供すべきで、結婚した手は家は小さくてよいが、家族が増えると大きくないといけない、そして老後はまた小さくてよい。
関谷建設大臣:住都公団の住宅が耐用年数以前に建て替えられているというのはその通り。ニーズの問題では、中古住宅市場の開発が必要だ。立て替えについては、償還していない部分は、立て替え後の家賃収入で補完する。新たな土地で立てるのではなく、元の土地に立てるのだから家賃が上がる要素にはならない。65歳以上の方については、家賃が以前より高くなることは避ける。
田中議員:副大臣制を定着させ、今後、徹底して活用するためにも法案の早急な制定を。
小渕総理:副大臣実現の暁には、内閣としての機能として検討する。内閣と国会の関係にも及ぶ。せっかく導入するのだから活かしていきたい。

<若松謙維議員(公明党)の質問>
若松議員:国際情勢や国民のニーズの変化に応じ、組織のあり方は政治主導で見直しが必要と思うが?
小渕総理:お説の通り。
若松議員:林野行政は、採算が合わない事業となった。国土保全に役割を転換してきている。一方環境省は1000人しかおらず体制が弱い。国立公園内の国有林の移管をして、環境省の体制強化をしてはどうか?
小渕総理:府省の局が削減される中で、環境省については削減なく現行のまま。今後、林野行政と環境省は、特に国立公園内の分野について、機能分担できるよう、連携を強化する。
真鍋環境庁長官:林業は産業としての役目を失いつつある。その他、ダイオキシン、酸敗などに対応した体制整備を方針にしたがって図る。
若松議員:都道府県社会保険事務をブロック機関に移行させる。今の地方事務官の処遇に配慮すべき。
宮下厚生大臣:地方医務局と麻薬取締官事務所を統合して地方厚生局を作る。地方事務官は文字通りの国家公務員として、保険課、国民年金課職員は厚生事務官とする。場合によってはこの人たちの中で地方厚生局に勤務する人も出てくる場合もあろうが、勤務地によっては生活に影響が出る。ブロック機関への異動については、意向を聴取し不安のないようにする。
若松議員:内閣官房と内閣府の関係についてだが、内閣府は各省庁の上に立ち総合調整をし、内閣官房は最終、最高の調整の場か?内閣府に置かれる重要政策に関する会議の決定は最大限尊重されるのか、また、内容は可能な限り公表されるのか?
野中官房長官:内閣官房と内閣府は、ご指摘の通り。重要政策に関する会議は、総理、関係大臣、民間有識者を議員とし、調査審議を行い、総理が方針として閣議に発議し、閣議決定により内閣の方針となる。十分尊重されるものと承知している。透明性確保のため、可能な限り内容は公表。
若松議員:経済財政諮問会議は、経済運営、財政運営、予算編成方針を調査審議する。財務省は、予算編成の過程で、会議の意見を求め、その方針を尊重すべきではないか?
小渕総理:経済財政諮問会議の方針は、閣議決定される。財務省は、会議の方針を尊重することは当然だ。緊密に連携しあって、予算編成されると承知。
若松議員:経済研究所は、シンクタンクとして拡充強化すべき。
野中長官:ご指摘の通り。各省に広範に関係する政策研究機関として強化する。
若松議員:各府省の分掌官は課の再編で重要になる。その数は必要最小限とし、部下は固定すべきでない。また、人事は適材適所で行い、将来の人事に影響を与えることのないようにすべき。
太田長官:分掌職は、効率的、機動的に活用する。その数は必要最小限とし、また、固定的な任務ではないから部下も固定しない。適材適所で、将来の人事に影響を与えないようにする。各人事権者の責任で任命。
若松議員:公取委は、行政が事後監視に重点を移す中で、重要となっており、当然内閣府移行も見据え、体制強化すべき。
太田長官:公取委の体制強化は、委員の考えも踏まえ、内閣府移行も含め検討する。
若松議員:行政評価法の制定を急ぐべき。
太田長官:まず、各省庁が自ら評価するとともに、総務省が統一的で客観的な評価を行うというのが方針。平成13年1月までに評価法について考えたい。省庁再編後、速やかに法制定に着手する。
若松議員:独立行政法人について、中期目標期間終了後の評価は、客観的基準を作り、それに基づいて行うべき。
太田長官:平成15年度までに基準を作りたい。その基準により、社会経済情勢の変化を踏まえ、身分変更を含め適切な対応をする。
若松議員:特殊法人についても、独法化、民営化、国の機関化のいずれかを選択するため、民間第3者機関に提言を行わせ、それを尊重すべき。
太田長官:特殊法人改革は極めて重要。総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会で重点的に検討する。行政評価局に担当体制を敷く。
若松議員:人権政策についてだが、政府内閣全体で取り組むべき。
野中長官:人権教育、啓発は、政府全体で取り組む。人権擁護推進審議会の答申をいただいて、適切に対処する。
若松議員:会計制度は発生主義にすべき。
太田長官:行政、政策評価に当たり、独立行政法人、特別会計については、公の仕事であり、効率性と適正性が求められる。適正性は説得力の問題だが、効率性は、今の大福帳形式では説得制に乏しく、複式簿記にすべき。大変な努力をして切り開く。
若松議員:決算に関わる人員は、アメリカが250人、日本は主計課22人しかいない。無理がある。
宮澤大蔵大臣:企業会計を一般会計に導入するのはなかなか難しい。お説のように、会計検査院が入る前に、決算ではやることがいっぱいある。
若松議員:行革は連続性が大事。諸外国は行革を推進し、スピーディに行政を行っている。ニーズへの対応は、トップレベルの早さで行うべき。
小渕総理:世界に冠たる行政をめざし、抜本改革が必要。国民の信頼に応える。

<中島武敏議員(共産党)の質問>
中島議員:国土交通省が出来て、公共事業はよくなるのか?98年11月の分権推進委の第5次勧告の具体化は?
小渕総理:5次勧告を最大限尊重し、第2次分権推進計画を策定。補助金の統合化などを盛り込んだ。
中島議員:効率化という点では、地域住民や地方公共団体が判断できる仕組みが大事。分権の公共事業のあり方は?
関谷建設大臣:4次勧告で、効率的公共事業の推進をいっており、それにそって真摯に取り組んでいる。国土交通省では、地方局の行ってこなかった、都市、住宅、収用について、大幅に委任する。予算を一括配分して、地方局に主体的に行わせる。地方公共団体と地方局が横の線でならんで、住民の意見も聞きつつ、行う。
中島議員:地元に自己決定権を与えることが大事。
野田自治大臣:ご指摘の通り。
中島議員:8局作り、そこに予算を一括移譲し、箇所付けも行わせるのは、地方自治体に任せるという考えに反しないか?配分は?
関谷大臣:予算は、地方局に一括配分し、補助金の箇所付けは地方自治体が行う。平成12年度に向け、詳細を検討中で、現時点では申し上げられない。
中島議員:特に大都市は財政難。国の事業をことわりたいが、仕返しが怖いので出来ないというところが多い。国の直轄事業も負担させられる。東京都では300億円になる。検討中では白紙委任に近い。
関谷大臣:逆だ。今後補助事業の箇所付けは地方自治体。財政的に無理なら計画を出してこない。
中島議員:8ブロックごとに予算のぶんどり合戦が生じるのではないか?
関谷大臣:心配ない。地元のニーズを把握したものを行うのは可能。大型プロジェクト偏重にもならない。
中島議員:地方局はどこがチェックするのか?
関谷大臣:大臣が国会に対して責任を持つ。
中島議員:今でさえ、公共事業長期計画も、全総も閣議決定。議会にかからない。8ブロックに権限移すと議会から遠くなりチェックしにくく、ムダや利権が発生する。
関谷大臣:ないと確信。
中島議員:吉野川可動堰問題で、大臣は、賛成側の運動が弱かった、運動を起こしてもらいたいと発言しているが、権力を嵩にきてやっているとしか言えない。
関谷大臣:権力を嵩にきているのでない。反対の人と同じように努力してもらう運動をと言った。
中島議員:経済財政諮問会議で公共事業も審議される。ますますトップダウンになるのではないか?
関谷大臣:総理の主導性により、有識者の意見も含め、調査審議する。すべてトップダウンということはあり得ない。全総でも、地元地方公共団体の意見を聞いている。

<深田肇(社民党)議員の質問>
深田議員:定員削減について、1.長期的視点で配慮が必要。2.計画は、職員団体と事前協議をして、仕事に意欲持てるよう配慮願いたい。強制的、組織的に肩たたきをしたり、新規採用をとめていくと行政の継続性を維持するのが困難。
小渕総理:徹底的に国の役割を見直して達成したい。定員削減は最も重要課題。雇用に留意し、実現する。各省と相談して行っていくが、その際各省当局と職員団体の話し合いを通じ、移行を可能な限りくみ取る。
深田議員:循環型社会を作る上で、環境省は非常に大事。省にふさわしい事務事業にしないといけない。水道行政の一元化をする必要。
小渕総理:今回の法案は、基本法を忠実に反映している。水道行政については、自社さ3党合意を踏まえ、改めて検討したい。
深田議員:人権行政について、法務省の人権擁護行政は一定の役割を果たしてきた。それを認めた上で、人権政策、事業推進は、人権全体に配慮をし、法務省だけでなくどこかのセクションで担当すべき。
小渕総理:人権擁護は全体として取り組むべき課題。法務省の役割は重要。人権擁護を所掌事務としている。政策調整制度を活用し、各省から報告を求め、他府省へ意見を言う。人権擁護委員会は、人権侵犯について勧告する。
深田議員:内閣が全体を見るということか?
太田長官:内閣府は総合調整を担当しており、内閣全体で取り組む。
深田議員:副大臣制度で、族議員が増えたり、利権政治になることがないよう、あっせん利得罪等で腐敗防止を。
小渕総理:政治倫理については、各党各派でご議論いただき、その結果を踏まえ、適切に対処。
深田議員:あっせん利得罪の必要は感じているか?
小渕総理:政治は信頼されねばならない。必要な措置はとる。
深田議員:独立行政法人について、個別法制定時に、基本法41条の「良好な労働関係に配慮」規定の順守を。雇用には万全を期してもらいたい。
小渕総理:89事務事業について、97年12月の自社さ合意により、41条が出来た。各省において、職員団体との話し合いを通じ、良好な労働関係に配慮していく。
深田議員:特殊法人改革では、雇用、労働条件に配慮を。事前協議を。
太田長官:十分に意見交換する。
深田議員:省庁再編は、適時適切に見直すべき。
小渕総理:時代に合わない行政を抜本的に改め、中央省庁は時代に合わせ不断に見直す。

<討論−法案への賛否の表明>
●自民党・杉山憲夫議員
 政府提出17法案賛成、民主党3法案反対。
賛成理由
1.総理、内閣のリーダーシップ。
 閣議における発議権、内閣府の特命大臣など総理を直接補佐し、機動的で迅速な行政となる。各省においても、副大臣、政務官配置により、リーダーシップが発揮され、政治主導が一段と強まる。

2.各省庁の大括り再編
 1府12省庁で、高い視野から行政が行われ、各省間の政策調整で縦割りの弊害を排除する。権限規定も廃止される。

3.スリム化
 89事務事業が独立行政法人化。定員削減も25%純減めざし、最大限度力する。審議会を減らし、総理と大臣の責任で政策決定。

4.公正、透明
 独立行政法人化で、自主性、自律性を持つ。外部評価で透明性を確保。各省の政策評価を公表し、ニーズにあっているか問われ、立案能力が向上。  民主党案は、内閣機能強化は一致するも、内閣を総理の下に置き、総理が単独で行政各部を指揮するのは憲法の規定から見て問題であり反対。

●民主党・平野博文議員
 政府案反対。民主党案賛成。
理由
1.内閣機能
 民主党は、独英にも調査団派遣した。政府案はまったく不十分。それは、内閣機能強化さえ、官僚まかせにしたからだ。

2.省庁再編
 財金分離実現できなかった。総務省や、国土交通省は、簡素化、効率化、透明性に逆行。

3.独立行政法人
 単に行政の周辺部を拡大するに過ぎない。羊頭狗肉だ。
 民主党案の最大のポイントは政府と与党の一体化で、政治に責任を持つことだ。

●公明党・並木正芳議員
 政府案は、次の各点で改善されており、賛成する。

1.内閣官房、内閣府
 内閣府は、各省の上に立ち、総合調整を行い、内閣官房は、最終草稿の調整機関であることが明確になった。

2.経済財政諮問会議
 経済、財政、予算の基本方針を決定するが、重要事項は予算編成に盛り込むこと、財務省が編成に当たり、意見を求め、それを尊重することが明確になった。

3.所掌事務
 権限規定と異なることが明確になった。

4.環境省
 国有林事業について、環境省との連携が明確になった。

5.行政評価
 行政評価法の検討が表明された。

6.公務員削減
 25%の純減努力が表明された。

7.独立行政法人評価
 平成15年までに客観的基準を策定市、それを踏まえ評価されることが明確になった。それに基づき、職員の身分は、特定独立行政法人から独立行政法人に移行することなど、適切に対応することが明確になった。

8.特殊法人
 行政評価局において、中期的計画で重点的に整理・合理化、独立行政法人化、民営化などが行われることが明確になった。

9.公取委
 体制強化が内閣府への移行も含め検討されることが明確になった。

10.経済研究所
 総合的な研究機関として充実させられることが明確になった。

11.人権
 人権教育、人権啓発が、内閣全体で取り組む課題であると確認された。

●共産党・平賀高成議員
 政府案に反対。
1.福祉など、国民生活部門が削られること
 独立行政法人は国からの切り離し。国立病院は、採算優先で不採算医療の切り捨て。国立研は、3〜5年の短期間の業務の評価で独創的研究がつぶされる。制度のねらいは民営化の道筋を付けることだ。わが国の公務員数は先進諸国で一番少ないのに、もっと減らそうというのは行政サービスの低下をもたらす。25%削減の根拠も示されていない。自自合意の党利党略だ。このままでは、一般職国家公務員41万に対し、自衛隊が26万で、国家公務員の40%が自衛隊になる。これは軍事国家だ。

2.財界奉仕の強化
 対米公約の630兆円の公共投資計画に基づき、それを推進するため、巨大公共事業官庁が作られる。重複計画はそのまま。

3.首相権限強化
 アメリカの戦争に協力する態勢作りで、強権的国家作りだ。

●社民党・深田肇議員
 政府案に賛成。自社さ合意を反映している。我が党は、基本法に賛成している。定員削減や、副大臣制、政治倫理、環境、独立行政法人など、国民の要望に応えていない面がある。しかし、情勢に対応し、適宜見直しがされる。

付帯決議
1.中央省庁の在り方については、国際情勢、国民の行政ニーズの在り方、例えば環境、福祉等への期待等を踏まえ、組織の在り方、所掌事務、定員配分等について、政治主導で見直すものとする。

2.@内閣府の総合調整は、各省の上に立った総合調整とし、内閣官房の総合調整は、内閣としての最高かつ最終の調整として位置づけた運用を図ること。
A内閣府に置かれる重要政策に関する会議の審議結果等は、最大限に尊重すべきものとするとともに、会議内容は可能な限り公表すること。
 また、経済財政諮問会議におい調査審議された経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、予算編成の基本方針その他の経済財政政策に関する重要事項の内容を予算編成に反映させるため、財務省は予算編成過程において当会議の意見を尊重し予算の原案の作成等を行うこと。
B経済研究所は、内閣府のシンクタンクとして、民間シンクタンク等の機能も幅広く活用できるよう拡充・強化すること。

3.各省設置法案について
@所掌事務規定は、各府省の任務を達成するため必要となる明確な範囲を定めたものであり、所掌事務を根拠とした裁量行政は行わないこと。
A各府省の分掌官の任命は最小限とすること。なお、分掌官の部下となる職員は分掌官の下に固定されてはならないこと。
B大括り省庁再編に伴う人事については、適材適所を旨とし、将来の人事に影響を与えるような既存省庁間の合意等は一切行わないこと。
C公正取引委員会については、行政の関与が事前監視型から事後監視型へ移行している現状から、その体制強化を図ること。

4.行政(政策・業績)評価について
 行政評価の実効性を高めるため、行政評価法(仮称)の制定について早急に検討に着手すること。

5.削減計画について
 国家公務員の定員削減計画の策定等により、25%削減の実現に万全を期すこと。

6.独立行政法人及び特殊法人について
@中期目標の期間の終了時において、主務大臣が行うとされている「当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討」については、そのための客観的な基準を遅くとも平成15年度までに検討し、独立行政法人の存廃・民営化はこの基準を踏まえて決定する。
A独立行政法人の職員については、行政改革会議最終報告の趣旨にかんがみ、今後の見直しにおいて、社会情勢の変化等に応じて特定独立行政法人以外の法人とするようできる限り努力すること。 
B特殊法人の整理合理化を積極的に推進するとともに、現時点で継続している特殊法人についても、それぞれの業務内容を踏まえつつ独立行政法人化、民営化・国の機関への編入等いずれかの経営形態を選択することを検討する。また、特殊法人の組織・業務内容等の評価及び存廃・民営化・国の機関への編入、業務の見直し等の提言を第三者機関に行わせ、政府はそれを尊重すること。

7.@独立行政法人化、事務・事業の廃止、民営化、民間委託の実施及び特殊法人の改革等については、雇用問題、労働条件等に配慮して対応するとともに、関係職員団体の理解を求めつつ行うこと。
A 特に、独立行政法人の適用、独立行政法人個別法案の策定に当たっては、中央省庁等改革基本法第四十一条を尊守し、関係職員団体等、各方面の十分な理解を求めつつ行うこと。

8.人権政策について
「人権の21世紀」実現にむけて、日本における人権政策確立の取り組みは、政治の根底・基本に置くべき課題であり、政府・内閣全体での課題として明確にすべきである。

6月9日(水)
議面集会に80人、強行許さぬ決意固める
 国公労連は6月9日、12日目となる衆議院・議員面会所行動を80人の参加で成功させました。
 冒頭、国公労連藤田委員長が「一昨日の中央公聴会で、経団連事務総長の話しを間近で聞き、改めて彼らに基本的人権を大切にする思想がないことを実感した。行政改革は国民諸階層に対する攻撃であり、最後までしっかり闘い抜こう」と主催者あいさつ。日本共産党の春名衆議院議員が国会情勢報告をかねて「今日委員会で採決。明日10日に衆議院本会議で採決を強行しようとしている。審議を進める中で、マスコミの危惧の報道が急激に広がっている。もしも強行採決の暴挙を行って国民は許すはずがない。今回の法案のねらいは、1)国民サービスの切り捨てであり。2)財界本位の政治の実現であり。100害あって1利なし。粉砕していこう」と激励のあいさつをしました。
 続いて全労連の西川副議長、公務共闘の吉田事務局長が激励あいさつ。西川副議長は、「多国籍の日本企業がどうしたら生き残れるのか、国民生活もお構いなしに突き進んでいる。ガイドライン法も省庁再編法も根っこは同じだ。その中で連帯が広がっている。国民的な共同を広げ、全力でたたかおう」と述べました。吉田事務局長が「今の行革の流れは市場経済万能論から来ているが、元日経連会長が市場経済万能論で本当によいのか、雇用や教育や福祉が大切だと7日の毎日新聞で述べている。サービス残業をなくせば95万人の雇用が新たに生まれると言われているが、強い規制がないと実現しない。そのためには行政がどう関わっていくかだ。広く国民に訴えながら最後まで闘っていこう」と述べました。
 単組を代表して全厚生の市川書記次長、全運輸の横枕中執、全港建の小濱書記長が決意表明し、最後に国公労連の小田川書記次長が行動提起。「国会は盗聴法、行革法、地方分権法案を軸に参議院での審議が進められる。委員会及び本会議の傍聴行動の強化と今の状況を職場地域に広く伝えて欲しい。参議院段階での廃案に向けて、職場からの意思統一を行い、総力を結集してたたかおう」と呼びかけました。

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