衆院行革特別委員会・6月3日午後の審議その2
(国公労連「行革闘争ニュース」1999年6月4日付 第115号)


小林委員(民主党)18:15〜18:35
 男女共同参画基本法を軸にしての人権擁護に関するやりとり。特に、この課題を法務省で実施することは遺憾であり、政府全体で取り組むべき。
 内容は、省略

 児玉委員(日本共産党)18:35〜19:35
 5月28日の日本共産党推薦の野村参考人の証言をもとに、国立医療機関の重要性を述べ、2004年の国立医療機関の独法化を待たず移譲・統廃合を厚生省がすすめようとしている。移譲のケースでは美幌、足利、南の三機関について病棟及びベット数を上げ、それらが完全に満床で、地域の期待と需要に沿ってきた。これらのように、民間が引き受けられないところは、国の責任で行うべき。
 太田国務大臣
 その通り。民間ができないところは国で行い、その他は独立行政法人で行う。
 児玉委員 美幌のようなところは、国自体が抱えなければならない。
 太田国務大臣譲 療養所がどんな形態かわからないが、独立行政法人は民営ではない。
 児玉委員 このような独法化が大きな問題を含んでの方向での認識はあるか。
 太田国務大臣 含んで制度設計をやっている。
 児玉委員 そのこと確認して次ぎにすすむ。厚生省は今後、この分野の行政を政策医療に純化すると書いている。重要なのは、50を越す結核などの国立医療のネットワークであり、それを一律独法の対象にするのか。
 宮下厚生大臣 国として何を残して実施するのか。その一つとして、ナショナルセンター機能であり、六つに特化し、地方に任せられない政策医療だ。その他は、統廃合・移譲、廃止であり、昭和61年以降取り組んできた。もちろん、必要なものには一般会計からカネも出す。
 児玉委員 結核に対する国民の関心は強くなってきている。厚生省のデーターでも、諸外国との比較で罹病率の高かったことをネットワークで対応し、前進させてきてことは砂原重幸氏の論文で述べている。今、行おうとしていることは、三十数年の経過に逆行させようとしている。
 宮下大臣 砂原先生の言葉の通りだ。これまで力を入れてきた。まだ、結核は根絶しておらず、集団感染もある。どこでどお担保するかは、配慮しないといけない。
 児玉委員 この点は、さらに検討を。さて、昨日平賀委員が公務員の25%削減について触れたが、国立医療機関についても25%削減か。その場合、医療水準は維持できるか。
 太田総務庁長官 25%削減は閣議決定であり、実行する。その中で、国民サービスの維持は確保する。
 児玉委員 それは二律背反だ。国民生活関連部門は、手をつけるな。国民の命と健康の部門はむしろ強化を。
 太田長官 25%削減は、手をつけないとは言えないが、留意しながらすすめる。
 児玉委員 「留意」をしっかり見ていく。国立医療擁護の全医労のたたかいの到達点にふれながら、地域・自治体や職員と胸襟を開いて話し合いを。
 宮下大臣 恵那市の病院は廃止でなく、公的団体へ。水準・内容を低下させない方向だ。職員との信頼もその方向で。島根の太田病院は職員の一部を排除する方向にあったが、自治体と協議して努力した。
 児玉委員 誠心誠意の努力を。さて、4月の失業率は4.8%になり、深刻な問題だ。正社員がリストラで、その穴埋めをパートなど不安定雇用者の増で。被自発的離職者の増は何によるのか。
 甘利労働大臣 会社の都合、倒産などによるもの。いまは、景気の状況を受けて厳しいが、一番暗いトンネルだ。
 児玉委員 それは甘い。「論評」によれば、かって経験したことのない状況であり、連鎖的な傾向を示している。行革会議の議論の中で、当時の労働相の局長は、「産業行政とは一線を画していきたい」述べていたが、いまはどうか。
 甘利大臣 力関係では使う方が強いが、日本には健全な話し合いがある。それから認識甘いとの発言あったが、有利な面もある。
 児玉委員 被自発的離職者は、この 年間に1.7倍だ。労働白書でも「リストラによる進行」であり、労働行政の機動的、一元的展開が必要と述べているがどうか。
 甘利大臣 やらねばならないし、できる。
 児玉委員 行革会議の中間報告では、この間の議論を受けて、雇用福祉省としてわずか4行の文字(具体的に読み上げ)としている。これに対し、率直な考え方を示してくれ。
 甘利大臣 今日まで、縦割り行政の弊害なくせ、の指摘あり、それには再編で対応してきた。労働や社会保障行政を一緒にして、この弊害をなくすことだ。
 児玉委員 それでは、各論的に聞く。労働者の組織率は、1970年に34.5%だったが、、80年は30.8%、90年25.2%98年22.4%と、この間13.0%減である。これが力をなくした要因である。労使の力に差があるときこそ、労働行政が求められるものだ。
 甘利大臣 労働組合に入る、入らないは個人の意志だ。また、組合も先取りして魅力あるものにしていかねばならない。
 児玉委員 団結権の擁護は、憲法の規定だ。それをすすめることが、労働省の任務だ。このことは、労働省の設置法でも定まっている。それが任務だ。失業の深刻化は、毎日でも書いているが、政権をゆるがすものだ。労働大臣は、これらのことで忙殺されており、厚生大臣は介護や年金で忙殺されている。それぞれが忙殺されているのに、2人分の仕事を1人でできるのか、お二人に聞きたい。建前でなく、本音で聞かせてくれ。
 甘利大臣 私より優秀な人がたくさんいる。
 宮下大臣 淡々と仕事をすすめるし、またいっぺんに押し寄せてくるものでない。一概に言えないが、確かに両方をやれと言われたら大変だ。しかし、副大臣を置き、組織的にやっていくことになっているから、ポイントをおさえイニシアとってやっていく。
 児玉委員 この分野の世界の現状は、アメリカは労働、厚生大臣の2人、イギリス3人、ドイツ・フランス・イタリア・カナダが2人、G7の国では1人は一つもない。こうなるのは、数合わせだからでないか。見直すべきだ。
 憲法に基づく、行政組織法で佐藤先生は25条、労働は22条・27条・28条の執行あり、合併は憲法の要請に沿わない。
 太田長官 両省の行政が憲法の規定に基づくものと思っていないし、硬直的な解釈ができない。
 児玉委員 私の意見でなく、行政組織法の定説だ。21世紀に向け、どうゆう省庁を作るかが問われている。行政会議の2年間、その後の1年間のときと異なり、深刻化しており、立法事情が変化している。別個の省庁の設置での対応を。
 太田長官 厚生労働省の誕生で、積極的な役割を果たす。
 児玉委員 それでは今後も、議論をしていこう。

<社民党・中西績介議員の質問>
 社民党の中西績介議員は、中央省庁再編等行革関連法について、1.行革関連法案ははじめに内閣機能強化や事務事業の効率化、1府12省ありきで、国民生活向上の観点からの十分な検討が尽くされていない。国民生活を中心にすえた、国民の期待に合致した改革を行うべきだ。2.国家公務員の25%削減を決めるにあたって、公務員のおかれている状況、事務事業の内容精査を行ったのか。削減をして行政の継続性がはかれるのか。25%方針削減を見直し、基本法の水準にもどすべきだ。3.霞ヶ関では超勤・サービス残業が恒常化しているが、各省の実態を明らかにせよ。定削を強行すればサービス残業が増大するが、どのような対策を講ずるのか。労働省として具体的な改善指導を強めるべきだ。C日本の国家公務員は今でも欧米諸国よりも少ない人数で倍近い仕事をしている。削減によって行政サービスの低下をさせてはならない。D独法化にあたっては、労使の納得のうえ進めるべきだ。と政府の考え方を質しました。
 これに対して、政府側委員は、
 1.(太田総務庁長官)関連法案は行革基本法をふまえ、詳細な検討のうえ考えたものだ。国民生活向上の観点から不断の行革が必要であると考えている。
 2.(太田総務庁長官)10年で25%達成のため、89事務事業の独法化に加え、新規抑制や民営化、さらなる独法化、増員抑制などを実行していくが、組織感情にも十分配慮していく。国民全体の奉仕に支障を来さないように削減することはできる。
 3.(総務庁中川人事局長)超勤実態は各省ごとにバラバラで把握はむずかしい。人事院の平成8年度国家公務員給与実態調査では、超勤の一番多い月で31.1時間、本省で43時間、出先で30.2時間となっている。
 (総務庁滝上管理局長)今後、定削策定にあたり、各省庁の職場の実情を伺いながら進めていきたい。
 (太田総務庁長官)公務員の定削にあたり、職場の実情について各省の意見を聞き、あわせて職員全体の意向もできるだけくみ取っていきたい。
 (甘利労働大臣)他省の超勤については労働省の所管ではない。労働省として超勤を限りなく少なくなるよう範を示すことがベターだと考える。
 C(総務庁滝上管理局長)国・地方の公務員数は欧米主要国が日本を上回っているが、行政組織など前提条件が違い、一概に比較できない。事務・事業の減量化、重点化をすすめ、簡素・効率化をめざした。
D(太田総務庁長官)今後とも良好な労使関係には配慮していきたい。

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