衆院行革特別委員会・6月3日午後の審議その1
(国公労連「行革闘争ニュース」1999年6月3日付 第114号)
(前半30分は傍聴できず)



近江巳記夫(公明・改革)
 アメリカでは、科学技術担当の補佐官がいてその下に事務局がある。それとは別に、国家科学技術会議、大統領科学技術諮問委員会があり、科学技術戦略をリードしている。行革の中で我が国にもこれに匹敵するようなものができるのか。
有馬科学技術庁官
 できると思う。カミオカンデぐらいの成果を出せる仕事が日本にはたくさんある。生命や環境に関する科学技術も進みつつある。
近江
 17兆円の5カ年計画は、2000年度に3兆7千億つければ終わる。21世紀の科学技術発展のため今後の財政的な面について聞きたい。
宮沢大蔵大臣
 13年以降をどうするかだが、今年度もシーリングをはずして伸び率はかなり高くなる。期待に応えたい。科学技術に重点を置くのは、通り一遍の計画ですむわけがない。
近江
 科学技術担当部局についてどのような体制を考えているのか。
河野内閣審議官
 内閣府の内部部局に総合調整をする会議を設け、内外から人材を集めて対処する。
加藤科学技術政策局長
 アメリカの科学技術担当の事務局は40人ぐらいのスタッフ、我々も似たような事務局体制としたい。
太田総務庁長官
 総合科学技術会議は14人の委員だが、総理大臣や官房長官も入る。政治家や専門家が科学技術に問題意識を持ってスタートすることに意味がある。
近江
 文部科学省では、巨大な文部省に科学技術庁が飲み込まれるという意識があるのではないか。プラス面を生かせるよう合併のメリット、デメリットや基本方針についてどう考えているか。 有馬文部大臣 科学技術、教育の面で連携が進んでいる。規模の大小の問題はあるが、学術面に限れば科学技術庁と似たような人数になる。人事交流も実施されている。今後も双方が担ってきた行政の良さを活かしていきたい。
近江
 独立行政法人は、研究者が働ける土壌ができるのか。何年かかるかわからない研究が絶えず評価される、こういう方針でいいのか。
太田
 研究の評価は簡単ではない。数値による評価はやりにくいことがあるが、様々な研究について一律の目標を設定するものではない。日本以外では国立が主流でない国が多い。何らかの評価をして財政資金の配分をすることも必要だ。
有馬
 研究の長さは分野で違う。3〜5年の評価が短いか長いか、いろいろあろうが、中間の評価をやってどこを直すか検討し、重要なものは伸ばす、将来性のないものはやめる。独立行政法人は研究の自立性を高めるために考えている。日本の研究を弱めてはならない、向上が図られるようにすべきと考えている。
近江
 独立行政法人はマイナスのイメージが強い。日本の研究機関で最大のものは、理化学研究所、電子技術総合研究所の600人台、あとは、500人、300人など。フランスの国立研は25,000人、アメリカは17,000人、ドイツも12,000人程度のものがある。抽象論だけではだめではないか。
有馬
 フランスのCRNSは多くの機関に研究者を派遣する。ドイツの機関も多数の研究機関をまとめている。日本もそれぞれの機関の歴史を踏まえながらまとまっていくことを検討したい。総合的な協力は必要だ。
近江
 評価の問題がある。すばらしい人材を集めてきちんと評価することが必要だ。
太田
 他の人の仕事を評価するのは命がけ。評価委員会を設けるがその人選も大切。政治家として命をかける気迫が必要。
有馬
 狭い範囲の研究の評価は比較的楽だ。特許の数、論文でみられる。違った分野は難しい。丁寧に話を聞くことで客観的な評価ができる。内部と外部の評価も違うし、完全な第三者による評価とでも違う。いろいろ組み合わせて行うべき。 近江 原子力委員会、原子力安全委員会は内閣府に置くことになっているが、国民の負託に応えられるのか。
野中官房長官
 現在総理府においているが、委員会の独立性が不十分。内閣府が事務局機能を担うことで独立性の強化を図った。
山中華子(公明・改革)
 日本のODAは金額で世界最高だが、GNP比では21カ国中19位だ。その質では最下位にランクされている。日本のODAはイギリスなどに比べて、フィロソフィーにかけている。各省がバラバラに同じようなプロジェクトを組んでいて、無駄も多いし、世界的に貢献していることがわかりにくい。ODA担当部局を一元化するなど考えるべきではないか。
太田
 これからは外務省が政府全体の中核となり、政府間援助全体の調整、企画立案の調整もやる。
大蔵省主計局次長
 これまでもODA予算は、外務経済協力担当の主計官、主査、係長が一元化している。重複することのムダは査定でみるようにしているが、今後とも一段と無駄をなくすようにしたい。
高村外務大臣
 顔の見えるODAは極めて大事。総理の指示もあり、基本的方向性や、重点分野、課題について5年程度の中期政策を立てる。こうしたことでメリハリのある援助政策を立てたい。 山中
 どういう基準で援助が決定されるかなど、これまでわかりにくかった。ODAに関する情報公開はどう考えているか。
高村
 政府開発援助に関する情報は法の規定に基づき公開される。他国との信頼関係を損なうものとか、我が国外交を損なうものなど規定されているもの以外は、積極的に公開していきたい。
大島経済協力局長
 入札情報は開示している。膨大、煩瑣なので閲覧してもらっているが、個別の要求があれば、それぞれ対応したい。インターネットも予算の制約はあるが、基本的には開示する。
○富田茂之委員(公明・改革):行政書士制度についての改革に関する質疑(省略)
このたび司法制度改革審議会が設置されることとなったが、法曹三者の周りにいる方々の役割、司法につながる行政手続きが重要となってくる。行政書士に関する問題も含めて慎重な審議を要望したい。
●田村司法法制調査部長:司法制度改革審議会は、21世紀の司法制度のあり方について調査・審議することを目的として設置されることとなった。さまざまな意見があることは承知しており、慎重に検討してまいりたい。

○上原康助委員(民主):行政改革の必要性は否定しないが、果たして政府のいう簡素化、効率化、透明化が実現されるか疑問だ。国民が受けるサービス、利便性は向上するのか。基本的な見解を伺いたい。
●太田総務庁長官:今回の改革は、国民が選択可能な政治家を通じてリーダーシップを発揮することができるよう、政治主導ですすめること、また、縦割り行政で自己増殖してきた行政組織に対する批判を受け、簡素で効率的な行政とし、国民負担の軽減をはかること、これらが可能となると考える。
●野田自治大臣:国と地方を通じて行政機構を再編整理し、官主導の国づくり、事前チェックから事後評価へと転換することが大きな目標である。そのキーワードは自立と自律。それだけに、行政サイドは情報をオープンに、簡素に提供しなければならない。同時に地方分権、規制緩和、そして意識改革が求められている。
○上原委員:沖縄開発庁の位置づけについて、一時は雲散無消する気配もあったが、内閣府に置き担当大臣も配置されたことは評価する。この大臣の権限の具体的内容はどうなるのか、また、事務次官に相当するポストも不可欠だと考えるがどうか。内政審議室で行っている沖縄政策協議会との関係はどうなるのか。
●野中官房長官ほか:担当大臣は常置され、資料提出請求権、調整機能、総理に対する意見具申も認められている。事務次官相当ポストは、総理の命を受けて重要な施策を担当する内閣府審議官を置くことができるとされており、総理の判断だ。また、内閣府は総合調整機能を所掌することから、沖縄政策協議会については局長級の分掌官が担当する。したがって、現行の体制はほぼ維持されると考えている。
○上原委員:地方分権について、475本もの法案を一括して審議するというのは、与党側からすれば効率的かもしれないが、きわめて多岐にわたっておりじっくり担当委員会等で議論すべきではないか。これだけの配付資料を、いったいどれだけの方がちゃんと目を通しているのか。97年の改正時にもたいへんな苦労をしたが、知事への機関委任事務を国の直接執行とするのは余りに強引だ。なぜこうするのか。
●野呂田防衛庁長官、野田自治大臣:国と地方の役割分担を整理する観点から、機関委任事務を廃止することとしたため。国の責任でやるべきことは直接国が執行し、地方公共団体の長は、その職務に徹していただく。
○上原委員:基地の存在によって多くの犠牲を被っているのは総理ではない。納得しがたいことは、(1)国民の財産権よりも基地や安保体制を優先していること、(2)法改正が地方分権の流れを逆手にとってやろうとしていること、(3)収用委員会の権限を骨抜きにする形骸化に他ならないことだ。もっと沖縄の心を大事にしてほしい。
●野中官房長官:たいへんな心労は十分承知しているつもりだ。
○上原委員:基地の問題、安保は国の役割というが、少なくとも基地における安全管理、基地による自然破壊の防止、事件・事故への適切な対処、環境汚染防止の徹底、民主的な跡地利用、などについてきちんとしてほしい。
●野呂田防衛庁長官:ご指摘の点は、所管が分かれているため関係省庁が連携して、是非やらなければならないと認識している。
●野中官房長官:国がすべての責任をもって対処すべきことと承知している。
以  上

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