議面行動6日目 来週採決の動きストップを! 70人が結集
(国公労連「行革闘争ニュース」1999年6月1日付その2 第109号)


 国公労連の議面行動も6日目となり、あわせて、傍聴行動、衆院全議員への要請、全労連座り込みなど密度濃い行動を展開しました。
 議面行動には70人が参加。主催者あいさつには、森崎副委員長がたち、「憲法に基づく制度が、軍事・夜警部門偏重へと変えられようとしている。独立行政法人化へ反対が広がっている。全労連キャラバンも成功した。紹介議員も広がっており、確信をもって頑張ろう」と呼びかけました。
 国会報告にたった共産党・春名議員は、「7日には中央公聴会、8日は地方公聴会が開かれ、その後はいつでも採決が出来ることになる。重大法案の内容が国民に知らされないまま通されようとしている。国民サービス部門のスリム化と大企業奉仕の拡大が図られようとしている。25%定員削減の根拠について太田総務庁長官は「聞いていない」と答弁。こんな事でやられようとしている。独立行政法人が、評価によって廃止をねらいとしているものであることがはっきりした。皆さんが一番本質を知っている。広く訴えて欲しい」と呼びかけました。
 単組からの決意表明は、全運輸、全港建、全気象がたちました。全運輸伊藤中執は、「運輸行政は、公共性、安全性の確保が使命。行革で行政責任が放棄され、安全にとって大問題だ。ガイドラインとつながる内閣機能強化も重大だ。規制緩和法案も審議中だが、たとえ通っても改正する運動を行い、実施を許さない」とのべ、全港建小浜書記長は、「傍聴に行って怒りを感じている。春名議員の質問中、自民党議員などは、週刊誌・新聞を回し読みしたり、スケジュール消化的でまったく不真面目だ。小渕総理が「法案をよく読んでいない」といい、質問の野党議員も「私もよく読んでいない」と言っているような審議では、私たちの国の将来は任せられない」と糾弾し、全気象錦織副委員長は、「行革は、私たちの求める気象事業の拡充と相反する。25%定員削減なら1500人削減だ。これでは防災官庁の役割が果たせない。防災官庁の灯を消さないよう頑張る」と決意を表明しました。
 最後に、小田川書記次長が、「一両日、今週の闘いが非常に重要」と指摘、1〜4日の座り込み、3日の社会保障中央行動、8日の中央行動・署名提出を成功させよう、太田長官が25%削減のため独法対象を拡大すると言ったことなど事態を職場に知らせようと訴えました。

6月1日午前の審議
<自由党・中村鋭一、西田猛議員の質問>
中村議員:防衛庁は、英語でいうとエージェンシー、ほとんどの国はミニストリィ。自衛隊員の士気に多大の影響を当たる。省に昇格させるべき。 野呂田防衛庁長官:自衛隊は、国土、国民の生命、財産を守るのであり、出来ることなら昇格させたいと、行革会議で強く主張した。しかし、庁のままという整理になった。
中村議員:内閣法、国家行政組織法では、防衛庁は、閣議請求権、省令制定権、予算要求権がなく、最高指揮官は、総理。金融庁、宮内庁と横並びだ。日本の根幹を司る長が大臣でないのはおかしい。
野呂田長官:私は国務大臣。防衛庁は、総理府の外局であり、長官は主任の大臣ではない。行革会議の最終報告は、最大限尊重の閣議決定がり、尊重せざるを得ないが、主要国では省となっている。防衛は基本問題であり、議論を国会でつくされることが大事。
中村議員:改むるにはばかる事なかれだ。国民合意もあり、議員の多数もよしとしている。読売の社説も省昇格を主張している。防衛庁の外局に防衛施設庁が置かれるのは分かりにくい。
太田総務庁長官:国家公安委員会のもとに警察庁が置かれており、防衛庁の下に施設庁が置かれているのは論理的に同じと整理している。
河野内閣審議官:国家行政組織法は、国務大臣が長の庁には、外局がおけるという規定になっている。警察庁は国家行政組織法上の「特別の機関」だ。
中村議員:昭和36年に、防衛省設置法を閣議決定している。40年にも再提出が検討されたが、三矢作戦暴露で立ち消えになった。それから20年たって、諸情勢まったく変わった。PKOや、ガイドラインも行われている。今こそ省に昇格させるべきで、間に合うなら今国会中に実施すべき。
野中官房長官:39年6月12日に、省昇格を閣議決定したが、臨時行政調査会のご意見踏まえ見送った。省昇格には様々なご意見があったが、防衛庁に新たな業務の追加がなかったので、昇格は見送った。敗戦後、日本は武力放棄を宣言し、その後、警察予備隊等を経て、自衛隊が発足した。総理を最高指揮官とし、シビリアンコントロールをすることは重要な意味を持っている。
中村議員:国会議員たる野呂田長官に聞きたい。
野呂田長官:環境庁が省に昇格した。1000人でしょう、自衛隊は26万人いる。省令制定権、予算要求権、閣議請求権がないのはいびつ。行革会議最終報告は報告として、政治の場での決着を願う。
中村議員:在外公館の駐在武官は、防衛庁と直接連絡とれないし、独自の暗号が使えないのはどうか。
高村外務大臣:防衛庁から在外公館に駐在する職員はあくまで外務省職員で、外務大臣と在外公館長の指揮におかれる。ただし、防衛庁出身者は、自衛官の身分をかねる。それは、階級、制服着用の問題があるからだ。ただし、防衛庁との覚え書きは、昭和30年の古いもので文言すべてが妥当と言えず、当事者間で整理する必要がある。
西田議員:刮目すべきは、内閣機能強化、なかんずく首相権限強化であり、副大臣、政務官の設置。副大臣制度の意義についてどう考えるか。
野田自治大臣:政治主導の政策判断が迅速に行えるようになる。
西田議員:なぜこの時期に導入するかという点だが、政治行政改革を政治の責任で実行する、その1つは政府委員の廃止、2つは、与党は、大臣、副大臣、政務官として行政に入るということだ。なぜ政府委員の廃止かだが、政府委員は、大日本帝国憲法に定められていたもの。戦後は、国会法で、答弁が出来るとされている。議院内閣制の下、国会議員を半数以上にして内閣を作っている。専門分野について、政府委員が行政執行者として答弁することは、その限りでは意義があり、機能すべきもの。ただ、問題は、国民の諸権利、義務に関わる非常に重要な政策については、国会と国会議員が重大な判断をすべき。しかし、国会と国会議員の怠慢で、役所が判断していたことが多々あった。安全保障、財政、経済政策なども含め。それが現象的にあらわれるのが、国会答弁。発言に責任を負えないか、重大な責任があり、国民との間に緊張関係があり、答弁を回避し、国民との緊張関係がない役所に答弁させる。国会審議がどうなるかは、国民主権との関係で重大。
野田大臣:同じ思い。2つの視点がある。1つは、政治家が国民に直接責任を負う。自己規律、自己責任の問題。これまで、役所の責任にしてしまってきた。自己責任における決定が国会審議に反映されるべき。2つは、議院内閣制度のもと、内閣が替われば政策が変わるべきだ。官僚が、事実関係についてサポートするのは結構だが。国会審議はいろんなパターンあっていい。政治家同士の論議と同時に、法律の詰めの議論もある。
西田議員:大方針について、与野党議員が議論し、都道府県との関係、生活との関係、執行の問題など技術的なことはもっぱら政府の役人が参考人として答える。今は、国会が始まる前に、政府委員として決まり、言われなくても出てくるが、これはやめる。通常国会は回帰160日あり、その間役所が国会につきっきりになるのでなく、企画立案、危機管理業務などに専念してもらう。多数の立法府議員が行政府にはいるのは憲法に違背するという意見があるが? 太田総務庁長官:内閣法で、国会に閣法を提出できることになっており、企画立案は内閣にある。内閣を構成する国務大臣のうち、主任の大臣が省令、訓令、告示、通達で執行する。副大臣、政務官は企画立案を司り、助ける。一般の行政官は、執行について担当する。このことを峻別出来るのではないか。
西田議員:副大臣は、大臣について立案、立法の権限と責任を分担する。閣議の前段階として、副大臣が総合調整する必要があると思うが?
太田長官:副大臣の会議を開く出来るようになる案と承知している。手続きとしてより、意志疎通の場としてあるのは意義がある。大臣を助ける意味で。
西田議員:一番はき違えられると困るのは、役所の権限を誘導し、権益を確保しては制度創設の考えに反し、台無しにする。高い倫理観、使命感が必要。
太田長官:3権分立にも関係する。執行に政治家が深く関与するのを、企画立案と執行を分離することで防ぐ。律する法律が必要かは議論がある。
西田議員:与党と行政権の一体化で、与党が強くなる。いつまでも与党でいたいというのではダメ。有権者の選択で、政権交代可能。国会審議のあり方が変わることはコンセンサスが必要。
野田大臣:政策形成過程と公権力行使の過程がある。公権力行使にあたり、許認可を必要最小限にすることは非常に大事。フェアをどう確保するかだが、規制緩和し、オープンにすればチェックしやすい。
西田議員:与党党首と野党党首が1対1で、衆院で議論する。これをテレビ中継し、オープンにすれば国民がチェックしやすい。野党は、情報量で与党に追いつけない。イギリスでは、野党に対して、国家からお金を出して援助している。これも考えるべき。
野田大臣:個人的にはきちんと位置づけるのが、フェア、オープンになると考える。
太田長官:野党は具体的対案を示すことが大事。そのために与野党間の議論が深められることが必要。
西田議員:副大臣を複数おく意義は?
太田長官:大括りの所掌事務の実態に応じている。企画立案、政務で、国会対応で役割を果たす。 <公明党・太田昭宏議員、若松謙維議員の質問>
太田議員:政策評価、総合科学技術会議、行政書士会について質問する。総務省の政策評価はどのようなものか?
東田行政監察局長:4つのケース。1.全政府的立場での必要に基づくもの、2.複数省にわたるもの、3.各府省の評価を踏まえ、厳密に評価する、4.行政機関の希望によるもの、だ。
太田議員:事前と事後の評価は、各省では明確だが、総務省については分けていない。事前評価は非常に大事。
太田長官:事前よりも、事が起きた後が厳しい評価になる。事後評価が次の政策に反映する。事前評価と同じぐらい大事。
太田議員:問題点を抽出し、対策の優先順位を設定、解決の方策を立案し、方策を総合的に判断する、このことを検証することは大変な作業。
東田局長:行政は、これまで予算獲得などプラン偏重だった。政策評価に基づいて、企画立案に活かすことは弱かった。横断的な評価をすること、手前味噌でない評価をすることは難しいので、総務省が担当する。必要性、優先性、有効性をチェックする。
太田議員:何が目玉か?
太田長官:縦割り行政で無反省に自己増殖してきた。官僚の無謬性認めない。チェックも総務省が行う。行政監察は適法性をチェック。もう少し広く政策評価する。
太田議員:事前評価が大事。チェックの観点に効率性が入っていないのは問題。
東田局長:必要性、優先性の中に入っていると認識。行政評価監視委員会は、政策を前提として効率性をチェックする。そちらの方でやるのが適当。
太田議員:厳格な評価をすると言うが、内閣官房でやるのが適当ではないか?
太田長官:内閣官房と内閣府は企画立案を担当。政策提案する人が自分で評価するのは、客観的評価にならない。企画立案と分けないといけない。
太田議員:郵政、自治についてはだれがやるのか?
太田長官:民間有識者が入った評価委員会であり、公平、中立性を確保できる。 太田議員:自治行政の政策評価は?
野田大臣:1つは住民自治。自主性、自律性のもと、情報公開、外部監査を行う。2つは、地方行革、財政運営について、ガイドライン、通知を出して、個別自治体にでなく、全体に事前に方向性を示している。個別の起債については、財政状況を見て、優先順位は考えていく。コントロールにつながらないようにする。
太田議員:起債で自治体の政策評価しているのではないか?
野田大臣:自治体の自主性、自律性を確保する。地方議会が十分チェックし、住民に説明して実施。自治省のチェックは、財政力指標に基づき、客観的で恣意の入らないものでやっている。事前評価はいかがか。
太田議員:総合科学技術会議は、幅広い分野から議員を入れるべき。
太田長官:総理、官房長官、科学技術担当大臣、関係大臣と民間有識者で構成。人文科学、社会科学、自然科学の各分野から議員とする。有識者は半数以上だ。
太田議員:事務局も大事で、幅広く人材集めよ。
太田長官:行政組織のない学から多用な人材を確保する。特定省、特定分野にかたよってはならない。
太田議員:通産省がインフラ整備について、県単位であることの弊害を指摘している。グランドデザインがかけているということ。
野田大臣:1.ナショナルプロジェクトは国の責任で整備。2.市町村の区域を超えたものは合併で、事務遂行能力のレベルアップをするよう支援する。 (行政書士会関係の質疑応答は省略)
若松議員:社会保険職員の95%が地方公務員になることを希望し、自治労は110万署名を集めている。労働省、厚生省の地方事務官の業務を法定受託事務にしないのはなぜか?
野田大臣:分権推進委員会の勧告に基づき改正案をまとめた。国の役割であり、直接執行事務にする。社会保険は、国に経営責任があり、効率化や財政執行上の観点から直接執行とした。
若松議員:地方6団体は、社会保険について、利便性、効率性から法定受託事務とするよう要請している。雇用行政は、地域事情からして、自治事務とするよう要請している。
鈴木自治省行政局長:分権委員会において、法定受託事務とした場合のメリット、国の直接行うことの支障ついて議論。地方公務員になる職員の抵抗感、専門性確保の困難性が言われた。
若松議員:社会保険行政は4点の問題点がある。1.住民サービスの低下。自治体の相談窓口がなくなる。2.二重行政。所得の捕捉、20歳到達者の補足市町村が資料を持っている。3.年金制度の崩壊を招く。未加入者が増えている。4.省庁スリム化に反する。総定員法に繰り入れられる。
宮下厚生大臣:1.について。社会保険事務所は、厚生年金、政管健保を担当している。国民年金は、法定受託事務として、市町村が引き続き行う。2.について。住民基本台帳に基づく20歳到達者の資料は提供していただく。国と地方でなく、国と保険者の関係である。これは従来と変わりない。3.未納者の解消は、法定受託事務として市町村で行う。基本的に変わらない。4.について。これまでも国の定員。総定員法に入っていなかっただけ。社会保険を法定受託事務にすることは、業務量が増崇している中、合理化、電算化を進めているが、地方公務員に固定化されては対応が十分出来ない。
若松議員:雇用政策が国と地方で分断されないか?都道府県労働局構想は権益拡大ではないか?
甘利労働大臣:現場の職安は今でも国家公務員。中間が地方事務官だった。県の独自の雇用対策との連携は、雇用対策法改正で措置する。不安が払拭されるようにする。都道府県労働局は、これまであった労働基準局、女性少年室、雇用安定化を一本化し、効率化、サービス確保を図るもの。懸念は払拭されたい。
若松議員:地方財政の確保は分権にとって不可欠だ。
野田大臣:第2次分権推進計画の直轄工事見直しだけでなく、税財源見直しが必要。
若松議員:日本を支えた財投中心の財政の仕組みが持たない。
野田大臣:個別にも、全体にも地方財政は厳しい。地方行財政改革を進めつつ、税財源配分まで踏み込まないと難しい。早急に取り組む課題だ。
以 上

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